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シーン11
――サトルはクズだ。
――知ってるよ。突然どうしたの?
――あいつの名前を口にしてたよ。
――下手なカマかけだね。そんなわけないでしょ。
――でも、あいつのことを考えていたのは本当だろ?
――どうだろうね。
――サトルのこと好きなの?
――よく分からない。
――じゃあ、どうして。
――サトルくんは、頼めば、一緒に死んでくれる。たぶんそういう人。そんな彼のために命を使い果たしたいの。ピーくんは、死んではくれないでしょ?
――責任を負う覚悟なら持てるよ。
――何それ? 質問の答えになってないし、そんなこと望んでない。
――死というものが分からないんだ。
――自分という存在が消えるってことだよ。
――僕は実体を持たないカゲみたいな人間だ。だから初めから存在していないようなものなんだよ。これ以上、消えようがないな。
――言い訳にしか聞こえない。
――もう一度抱き締めてくれたら、存在を実感できるかもしれない。




