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任務と海と無重力

昼休み、ナギサは校舎裏でリオにハンドキャノンの銃口を向けていた。任務の実績により実力が認められ、正式に武器が支給されたのだ。


「どう言うつもりだ、変態マゾ野郎」


「そんな風に呼ばれちゃうと…唆るなぁ///」


ナギサの射抜くような視線を物ともせず、クネクネと体を動かすリオ。


「まぁそんな焦らないでさ、僕の話きこ?」


ヘラヘラと笑いながら両手をあげる動作が神経を逆なでするが、ナギサは大人しく銃口を下げた。


「うん、ありがと。んで説明するとね、僕が所属してたのは元々あの二人の異能力者で結成された暴力団だったんだけど、キミ達の情報をどっかで入手したらしくてね。襲撃される事を知った彼らに雇われたのが僕ってわけ」


「だから俺たちが侵入したのも秒でバレたのか…」


「そう言う事。そんでぶっちゃけさ、金だけの関係で契約結んでた僕にとってあの暴力団との関係とかペラッペラだからさ、大人しく降伏したわけよ。


そんでその後隊長さんと喋っててさ、イレギュラー調査隊?に入らないかって誘われたんだ。楽しそうだし二つ返事で承諾したら、この学校で働くよう命じられたの。ワープホールの設置にも限界が〜だとかなんだとか言ってて、ここの屋上にあるワープホールを使って欲しいみたいな」


「はぁ、なるほどな…まぁ銃口を向けて悪かったよ。これからよろしく」


「あら、すぐに信じるんだね意外と」


「まぁすぐに調べれば嘘だってわかるような嘘は吐かないだろ、お前みたいなやつは」


「なーるほどねぇ、良い観察力だ♪」


二人の間に妙な絆が生まれ始めたその時、同時に二人の携帯に通知が届いた。


「悪い予感しかしねぇ…」


恐る恐る画面を見ると、ナギサの顔色は更に悪くなる。


『件名:任務

二日連続で申し訳ないですが、任務です。AA級のイレギュラーが最低でも15体発生中。既に隊員一人が現場にいるので至急、合流をお願いします。』


「わぁ、僕の初任務だよ!」


やる気のないナギサだが、相対的にリオは興奮を抑えきれないと言った様子だった。


「さぁ今すぐ行こう!屋上へレッツゴー!!」


生徒と立ち入り禁止エリアに侵入するなど教師としてどうかと言う話だが、国の力によって保護された二人に常識は通用しないのだ。


屋上に入ると、やはりワープホールがそこにはあった。


リオとナギサはお互いを見ると、同時にワープホールへと踏み出した…





転移先でまずナギサが目にしたのは、見渡す限りの海だった。地上が見えない。そして、二人を襲うフリーフォールの感覚。上空数十メートル上での転移のため、着水まで数秒かかる。


「ちょっとこれやばくないナギサきゅん!?」


「うわぁああああ!?!?」


恐怖に目を瞑るナギサだが、着水の衝撃が来る事は無かった。代わりに来るのは背中にポンと触れる感触と浮遊感。


「…へ?」


そう。海に体が付くギリギリで、飛んでいるのだ。


「こっちです」


背後からの声に二人が振り向く。


(ちっこい…)


ナギサとリオは、同時にそんな事を思っていた。


「あなた達が新人の二人ですね!私の名前はマヤ、マヤ先輩と呼んでください」


先輩風を吹かせたいオーラが満々だが、見かけ小学生なだけあって威厳もクソもない。


「先に説明しておくと、私の能力は触れた物体の重力を弄る事ができます。無重力にしたり、こう言う風に重力の方向を変えたり」


マヤが人差し指を右に向けると、二人は右に”落ちて”行く。


「よろしくお願いします、マヤ先輩。もうご存知かもしれませんが、俺がナギサでこっちがリオです」


「よろしく、マヤちゃん!...てかふと思ったんだけどさ、なんでナギサきゅんは目上に敬語のスタンスなのに僕にはタメなのさ?まぁ気にしてないけど?」


「いやお前に敬語使うくらいだったらゴキブリにすらお辞儀しなきゃいけなくなるだろ」


「ゴキブリ以下なの僕!?」


二人の会話を聞いてクスクスと笑うマヤ。


「二人とも、仲良いんですね。」


「そんな事ないです!!!」


突っ込むナギサだが、リオは何も言わずに呆然と一点を見つめていた。


「あのさ、ちょっと…やばくない?」


リオが指差した先に視線が集まる。


「あぁ、今回のターゲットのお出ましですね。まぁ、報告された数の倍くらいいますが…」


澄ました雰囲気を漂わせつつも顔面蒼白なマヤ。ナギサに至っては無言で虚空を見つめていた。

リオが指差した先には、体長5メートルはある巨大な空飛ぶサメの群れがあった。その数、最低でも30匹…


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