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不穏とタバコと初任務

「よっ、ナギサ!」


「あー…おはよ…」


朝から太陽の如く暑い輝きを見せるツカサと、朝から屍のような顔色のナギサ。圧倒的に対極の位置に属する二人が何故親友なのか、というのがクラスの中でのちょっとした七不思議になっていた。


席に座ると携帯を取り出し、その画面に映る一つのメールをぼんやり見つめるナギサ。


『件名:初任務

初任務が決まりました。最初は軽くイレギュラー退治をとでも思いましたが、ちょっとした非常事態です。明日の放課後、再度屋上へと向かってください。ブラックホールの先で全てを説明します。』


昨日の夜送られたものだ。危険な香りがプンプンとする、絶対に新人には任せてはいけない類の任務に違いない。


「はぁ…」


メールを見ながら何度目かわからない、重く深いため息を漏らす。


「どうした、昨日と続いて今日もだいぶストレスに圧殺されそうな顔だけど?」


「あー、なんでもないよ大丈夫。ちょっと厄介な事があってそれの対応に困っていると言うかなんと言うか」


「そかそか。まぁいつでも相談相手になるからな!」


くしゃっと顔を歪ませた純粋な笑顔を見ただけでクラスの女子たちは悶え苦しんだ。


「尊い…」


「やっぱツカXナギだわぁ…」


______________________

_________

__



放課後。屋上に再度侵入したナギサは、目の前にある禍々しいブラックホールを見つめていた。固唾を吞む。悪い予感しかしないのだ。


「まぁ乗りかかった船…てか、もう乗っちゃった船だしな。拒否権なんてねぇか」


悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなり、先ほどの躊躇がなんだったのかというくらいあっさりとブラックホールを通るのであった。


その先は基地の中ではなかった。周りを見渡すと、夕焼けの中田んぼやらが見えて街灯などは見当たらない。


「よぉ、お前が新入りのナギサか。俺はカイト、お前の子守をしに同行することになった。よろしくな」


背後からの声に振り向くと、そこには場違いな執事服を身につけたタバコ臭い男が立っていた。身長は185センチは超えるだろうか、ナギサからは見上げなければいけないほどの高さだ。


「よろしくお願いします」


ナギサが一言いうと、男…カイトはポケットから見たことのない銘柄の箱から黒色のタバコを取り出し、火を付けずに咥えた。


「んじゃ行くぞ」


カイトが歩き始めると同時に、ナギサは驚愕した。火がついていなかったタバコからは確かに火が出ているのだ。


(不思議な人だ…普通ある程度は感情が読み取れるのに、この人は読みにくい)


観察力が人一倍あるナギサだから気づいた点だ。

冷静沈着ではない、むしろ荒々しいタイプだが、だからこそ微表情などが読みにくいのだ。


「さてと、そんじゃ任務の内容を説明する。まずこれは新人が受けるレベルの仕事じゃねぇ、控えめに言ってユウキはなにをしようとしてるのかが意味不明だ。

普通は無難なイレギュラー退治から始まるもんなんだよ、こういう任務ってのは。だが、お前の場合は違う。その内容はーーバンディット退治だ。」


「…バンディット?」


「あぁ。簡単に言うなら自らの異能を悪用する人間のことを一括してそう呼んでる。例えば透明化の異能を万引きに使うやつとかがいるとしたらそいつは『バンディット』として俺たちが処理しなければいけなくなる」

「バンディットの特徴は群れることだ。あいつらは俺たちに狙われてることを知ってるから、あらゆるギャングやらの頭として数を揃えてる。だから厄介なんだよバンディットってのは」


「なるほど…」


「そんでもって今日の任務はドキドキバンディット集団退治だ。2名の大物バンディットとその他無能力の構成員約40人がチームを組んでいるらしい。全員国のどこにも居場所がないような悪党ばかりだ。」


(いや、そいつらを掃討って…無理ゲーじゃね?)

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