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ショートストーリー ホームセキュリティ

作者: 夢前孝行

私が現役だった十四、五年前うちの会社によくドロボーが入って困っていた。

 勿論セキュリティ会社に頼んで、窓や入り口、部屋の中のドアなどすべてセンサーで張り巡らされていた。

 それでもドロボーが入るのである。

 会社の金庫には一銭も入っていないがそれでも入られると気分が悪い。

 いくらセキュリティ会社が見張りをしているからといって、ドロボーが会社に侵入してからセンサーが働きセキュリティ会社の警備員が駆けつけるまでには二十分ほどかかる。

 その頃にはもうドロボーはいないのである。

 それでも真夜中に警備会社から電話がかかってきて、会社によく行くことがあった。

 ドロボーも賢い警備員が駆けつけるまで間に素早く用件おすまし、逃げて行ってしまう。

 一体何のためにセキュリティを高い金を払ってやってもらっているかわからない。

 二十分の空白時間がドロボーに取ってはやりたい放題なのだ。



 ところで最近ホームセキュリティがはやっているし、テレビ宣伝までして一般家庭にもセンサー付きのセキュリティをするよう呼びかけている。

 実際、今から四十年ほど前は夜でも家の玄関の戸は鍵をかけずに寝る時が良くあった。

 それでもドロボーは入ることはなかったが、最近は玄関の戸の鍵も二つ付け、用心に用心を重ねている。

 それも私たち貧乏人の家ですら二つも鍵を付けているのである。

 金持ちや有名人は鍵の二つや三つでも気が休まらず、セキュリティ会社に頼んでホームセキュリティを設置するのである。



 超有名な俳優Tはそのセキュリティ会社のCMをテレビでやっている。

 CMも好評でセキュリティ会社は全国の資産家から個人セキュリティの注文が殺到し、業績も順調に伸ばし、CMの効果は素晴らしいし、超有名な俳優Tを起用したことが当たった。

 勿論、Tの豪邸も自分が宣伝しているセキュリティ会社のセキュリティを施している。


 

 ところがTがCM宣伝をしてから二年半の月日が流れたある日、Tの豪邸にコソ泥が入り一千万円ばかり盗まれた。

 Tは超有名人だし、たちまちテレビのニュースやらラジオ、新聞で一千万円取られたことが報じられた。

新聞の読者、ラジオのリスナー、テレビの視聴者は一斉に、

「何で、ホームセキュリティをしているはずなのにドロボーにまんまとやられてしまったの」

 と疑問がわいていた。

 やっぱりドロボーは二十分の空白時間を利用してTの豪邸に侵入し、まんまと一千万円を手にしたのだ。

 しかしドロボーは一週間ほどして捕まったが、ドロボーはセキュリティを破って侵入し一千万円を難なく手にできたと、自白したモノだから、さぁ大変。

 すぐさまセキュリティ会社のCMが中止になり、TはCMを降ろされてしまった。

 


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