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1ー2 もう何も怖くない!

 見切り発車過ぎて主人公の名前考えて無いや。まぁ、いいか。


 はじめはあまりにも気持ち悪く、正体不明で、怖かった。だから僕は地下室の金属製のドアを固く閉じていた。


 保存食や飲料水が豊富にあり、本来なら災害時のシェルター代わりに使えるこの部屋。もしあの苔の化け物が来ても安全だろう。


 僕は深呼吸をして辛い運動をしたあとの様にバクバクと音をたてている心臓を落ち着かせる。

 狭まっていた視界が広がっている様な感覚を覚えた。


 そして落ち着いたからか、他人の事を考える余裕が出来た。そう。母と姉の事だ。


 玄関のドアも金属製。だけど地下室のドア程良いものじゃない。あの化け物にどれだけの力があるかは分からないが、もしもドアが壊れたら・・・。


 母も姉もあの苔の化け物に・・・・・・?


 その考えに至った僕は部屋のすみにあったエアガンと金属製のバットを掴んで武装し、ドアを蹴破る勢いで飛び出した。


 廊下を走ってリビングに転ける様にして入り込み、母と姉が無事かを確認する。しかし姿が見えない。不安になって小声で声をかける。

 するとか細い声で返事があった。どうやら無事なようで、僕の荒々しい足音にビックリして隠れただけだったようだ。


 安心してその場に座り込む。これでもし母と姉が化け物になっていたと思うとゾッとした。

 少ししてソファーの陰から母と姉が出てきた。涙や汗、鼻水で化粧が落ちて化け物見たいな形相だったけど、不思議とその不気味な顔に安心感を覚えた。


 姉が僕に抱き付こうとしたその瞬間。



 ガンッ!!!


 ガンッガンッガンッ!!!


 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!!



 乱暴な化け物のノック音。強烈な打撃で家の壁が震えている。母は泣き出し、姉はヒステリック気味に取り乱した。

 僕は震える体を意思の力でねじ伏せると母と姉にこう言った。


「僕が行く。あの化け物を倒せなくとも追い払ってやる!!!」


 返事を待たずに僕は駆け出した。引き留める甲高い声を無視し、BB弾を込めたエアガンを構え、バットを引きずり、玄関に立った。


 アドレナリンが出ているのか体が軽く全能感に満ち溢れていた。さっきまでの震えはなくこんな気持ちになったのは初めての経験だった。

 体を蝕む恐怖は今はもう無かった。


「もう何も怖くない!!!」


 ――――化け物を直視するまでは。


 喰われる。そう思った。絶対的捕食者を前にした弱者。さながらライオンの前のガゼル、蛇に睨まれた蛙。

 この化け物の前に等しく人間は弱者なのだと思い知らされた。


 吐き気が込み上げてきた。とてもじゃないが生物とこの化け物を呼びたく無かった。冒涜的。あまりにも冒涜的なその姿。

 カメラ越しに見た映像より細部まで見れた事が災いした。


 四つん這いの人は首があらぬ方向にねじまがり、腕はそこには間接が無いはずと言った所で折れ、腹部と背中からは緑の青々とした柔らかそうな苔が飛び出している。

 しかも腹部の苔は突き破って出たと言うよりも、限界まで膨らませてさらに膨らませた風船。投げつけた水風船の様に割れて飛び散った様に腹部から出てきている。


 不意に苔の化け物の葉が揺れ、死体となり苔の根っこになったものの口だった部位が膨らんだ。

 サーッと血の気が引き、嫌な予感がした。


 近くにあったトイレに駆け込み鍵をかけた。そして扉の小窓から外の様子を見た。

 化け物は何か粉状の物を撒き散らしていた。


 その粉はリビングやキッチンの方へと広がっていく。そう、リビングへ広がっていく。


 リビングには母と姉が!!!


 しかし先ほどの恐怖に僕の体が言うことを聞かない。むしろトイレに駆け込み鍵をかけて、一時のセーフゾーンを作ったため根を張った様に動かなくなった。


 ああ・・・神様・・・!助けて・・・!!母と姉を!!!


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