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暇つぶしにドラゴン狩ってきます。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
知らない世界を見よう。
82/83

第82話:四叉路の先へ。

2016/11/17ぶりにコンニチハ。重い腰が上がりました。


=2,343=

前話までのあらすじ

 遠征先の雪の都ニザロに着いて二日目、ラタン宮で白き竜の骨……のレプリカを見たフール達。ラタン宮を出た後はフィアとは別行動することになった。

 Side of Luk(ルク) Kenfar(ケンファー)

□□□


 シルート帝国の東方、寒風吹きすさぶガガールの山々を越え、目的地ニザロに到着して2日。捜索を兼ねた観光にも、一区切りが付いた。


「ラタン宮も駄目でしたね。骨だけでもと思いましたが、まさか骨も偽物だったなんて。」

「文献すらないからなぁ。図書館を名乗るには史書が少なすぎやしないか。」

「言われてみれば、歴史ってあまり知らないですね。数年前のエルト帝国暦400年でも特に祭事も無かったですし。節目なら国を挙げてのお祭りとかあってもいいと思うんですけど。」


 港のベンチに座っている。屋根付ゆえ雪には濡れないが、着込まなかったらニザロの外は寒い。

 レイナと出会ってからもう2ヶ月にもなるか、一時はどうなる事かと思ったが今は共に旅する仲となった。二人旅も悪くない。


「確かにあってしかるべきだろう。100年の節目に『慎ましく一家で過ごせ』と御触れが出る理由が判らない。祭りでもすれば経済も回るというのに。」

「ルクメスク王国では十干じっかん祭というのを10年に一度するらしいじゃないですか。一度は行ってみたいなぁ、国を挙げてのお祭り。」

「……今年の王暦は何年だ?」

「2000……幾つでしたっけ。」

「……調べておくか。今年なら参加するのもいいな。確か6月だから、アルメルを経由するルートなら時期も丁度いい。戦争で中止でなきゃいいが。」

「アルメルなら船旅ですね!、距離もあるし、乗るなら大型の帆船かな。楽しみです。」

「ああそうか、レイナは海を見るのも今回が初めてだったな。」


 冒険者稼業をしていた時、拠点の関係で行動範囲が内陸限定だったらしい。北方は依頼に事欠かない、遠征しないのも頷ける。


「しかし、この嵐だからな。航行してくれる船があるだろうか。」

「そうですか?、それ程ではないと思いますけど。」

「いや、沖が荒れている。湾の中に船が集まっているだろ?」

「漁に出れていないってことですか。」


 昨日から天候がよくないらしい。朝の市でも活魚が少なかったように思える。


「ああ、そうなんだろう。


 ……ん?」


 ふと、前を横切る黒髪の少女を眼が追った。

 雪の降るニザロに似合わない薄着にもかかわらず、何事も無いかのように静かな足取りで遠ざかっていく。妙齢の少女にそぐわぬ威風たる振る舞いに、肌寒い恰好を気にする大人はいない。


「……レイナ、先に宿に帰っていてくれ。用事が出来た。」

「一人で行くんですか?」

「ああ。」

「……判りました。」


 屋根付きのベンチから立ち上がり、防寒着のフードを被り直す。


「夕時には帰る。」


 一言残し、何度も踏み付けられ固くなった雪道を早足で追い始めた。



□□□

Side of Fiasta(フィアスタ) od(オド) kile(カイル) (False)

□□□


 フール等と別れた後、東部の港を目指した。目的地は局所雪原ないしスノースポットと称されるニザロ周辺地域、その中央だ。

 ガガール山脈群とオヒニア海により正確な円周が判り得ないが、推定される亡骸なきがらの魔力強度および実測した魔力密度を考慮すると、対象はニザロ東部にあると考察できた。

 あとは正確な測定が出来ればポイントを断定できるが、いかんせん此処はオヒニアの首都だ。実質的な政府はアルメルに遷都しているが、それでも測定用魔方陣を展開できる場所など無い。他の貼付型魔方陣と干渉しやすいからだ。

 面倒だ、なぜ街中なんだ。


 ……そして、尾行されるとは、面倒だ。


「妾に何か用か?、ほとりのベンチにいた青年。」


 少し進んだ先、魚市場の前で立ち止まる。漁を休んでいる為、誰もいない。


「……どうも、見つかっていたなら仕方ない。」


 二つ手前の路地から先程の青年が姿を見せる。


「妾に何か用か?」


 反転し、青年に向き直る。

 見た所一般人ではないが、装いを鑑みるに盗人にも見えない。派手ではないが特注の品々だろう。冒険者ならA以上か。


「ドラゴンの一族かと思い、付けさせて貰った。どうだろうか。」

「教える義理は無いが?」

「そうか。

 ……お前は、いや、お前も『竜』を探してるのか?、もしそうなら情報を共有したい。」


 竜。強調したなら、まぁ、そう言う事だろう。ヒトの中にも知っている者がいるのか。

 されど、この青年は大した情報を持ち合わせていないだろう。魔法適性が見受けられない。つまり捜索手段を持っていないのだ。


「白竜が討たれたというこの地に竜族がいるなら、白の亡骸を取りに来たと考えるのが妥当だ。

 ちなみにラタン宮は外れだった。石の推定骨格模型しかない。」

 

 ……ヒトの割には博学だ。

 話を聞くのも悪くはないか?


「繰り返すが、俺は竜族と一度話したい。」

「……場所を変えよう。近くに良さそうな甘味処があった。」


 青年の隣を素通りし、さき見かけた甘味処に向かう。尾行のせいで寄れなかったのだ、代金は青年に払わせてやろう。



□□□

Side of Fool(フール) Springs(スプリングス)

□□□


 昨日はユウちゃんが風邪ひいてて行けなかったし、買い物に行こう。上着は大体の寸法が判ってれば買えたが他はそういかない。折角の旅行だ、靴だろうと本だろうと何でも買う。


 ニザロ中央の大広場を眺めるユウちゃんに話しかける。


「唐突だけど、靴、要らない?」

「靴ですか?」

「ほら、濡れるでしょ雪道。折角だし良いやつ買おうよ。防水性の。」

「でもカファイドではあまり雪降らないですよ?」


 確かにカファイドは雪が少ない。手乗り雪ダルマくらいしか作れない。


「取り敢えず行ってみよう。思いがけない物があるかもだしね。」


 何処に何があるかは昨日の散策で概ね確認した。靴屋も目星を付けている。


「判りました、行きましょうか。ふつうに予備の靴も欲しいですから。」

「よしきた。」

翌日7/7,12:00に【第83話】も投稿します。

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