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暇つぶしにドラゴン狩ってきます。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
知らない世界を見よう。
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第81話:ラタン宮の地下深く。

 二か月以上ぶりにこんにちは。超絶スランプ真っ只中です。トランプじゃないです。

 本当は次話も連続で投稿したかったんだけど、時間が掛かってるので先に投稿しました。


=1,894=

「前話までのあらすじ」

 ツェーオントを出発したフール達は、ユウが風邪を引いてしまうものの、長旅の末雪国オヒニアの首都ニザロに到着した。

 一日目はユウの不調もあって観光は後回しにし、買い物をして回った。

 雪の都ニザロでの二日目。調子を取り戻したユウちゃんを連れて朝早くから街に繰り出す。


 ニザロは東に海、北西(ホクセイ)に山、南に湾を配した古都である。街の中心では石造りの住居が割合多く、外部へ行くほど木造の建築が増える。時代によって建築技法が変わった為である。

 外部の比較的新しい居住区が生活の基盤となっているが、まずは古い時代の街並みを観光する。



「ラタン宮、何処にあるんでしょうか?」

「中央広場からそれほど離れてない筈なんだけど。」

「妾も此処は訪れた事の無い土地。お主が頼りじゃぞー。」

「何処にも地図は売ってない、標識も立ってないとは予想外。」

「地図は無いじゃろ、軍事機密じゃぞ。」

「あー、そう、そうだった。」


 私は街を一周すれば【神眼】で地図を作れるけれど、空を飛ぶ技術に乏しいこの世界では当たり前ながら国が地図に規制を掛けている。


「あ、あれか。向こうの屋根から覗いてるの、塔の先だ。」


 神眼の地図を見ると、目星を付けた辺りに正方形の建物が見える。成程、疑って見れば確かに特別な場所の(テイ)をしている。四隅に塔らしき円もある。


 広場から歩いて数分の所に建っていたラタン宮は、思いの(ホカ)人は少なく、並ぶ事も無く入場できた。


「400年も昔の建物とは思えませんね。」


 ユウちゃんは巨石が積まれた壁を撫でながらそう言うものの、アテネやローマを知っている者としては400年くらいと思ってしまう。日本でいえば江戸時代初期の建物だ。木造ですら美しく現存する。


「カファイドの旧城壁は、更に古いとはいえ状態は良くなかったのう。」

「そうだよね。石が違うのかな。」


 そんなもんかねぇ。



 ラタン宮には地下がある。4,5mほど薄暗い階段を下った先に広がる空間、その中央には天井のガラス窓より光が差し入る。外は雪なので、ライトが仕込まれているのだろう。



「へぇコレが……。」


 柵から身を乗り出して下方を覗くと、白き竜が薄暗い地下にとぐろを巻いていた。


「骨だけでも大きいですね。」

「純血種は全部これくらいの大きさだったんだから、戦った人は勇者だなぁ。」

「そもそもこの竜の死因は何でしょうか?」


 地中に化石の如く埋まった竜の骨は、物言わずともその強大さを実感させる。過去には家屋よりも巨大なこの竜が飛翔していたと言うのである。天井のライトによって純白に輝くその骨には未だ魔力が篭っているのではないだろうか。


「純血種の竜は餓死しないんだったよねフィアちゃん。」

「……ん、……ああ、魔力があれば餓死はせぬよ。」


 ボンヤリと竜の骨を覗くフィアちゃん。先祖ではないと自分で言っていたけれど、感慨深いものはあるのかな。

 顔を上げるフィアちゃんの顔に暗い色は見えない。


「……ま、レプリカにしては良く出来ておる。」


 ん?


「本物じゃないの?」

「あれは石じゃろう。骨ではない。」

「目を凝らしてもさっぱり判らない。でもそう言われて見ればそうかも。」

「魔力を纏っては無いですよね。青飛竜(ヒ・フォセイ)は解体した後でも魔力が残ってました。」

「竜種の骨は魔力が残るからの。」


 そう言う物なのか。


「原種なら骨以外は魔力に還元されて跡形も残らぬ。要するに竜骨はモンスターの系譜な訳じゃ。特別強靭であるのはその名残じゃろう。」

「じゃあ竜人も?」

「人骨を使用する事など無いから良く知らぬが、骨折しにくいとは聞く。」

「へー、いいじゃない。」


 種族にアドバンテージがあるのか。……差別もあるんだろうな。





「……して、これからは妾だけ別行動しても良いかの?、探し物があるのじゃが。」


 薄暗いラタン宮の底から雪の町に出ると、フィアちゃんから唐突に告げられる。


「手伝うよ?」

「いいや、必需品ではない故、一人で良い。」

「昼に一度合流できる?」

「うむ、では1時に西公園の入り口で会おう。」

「気を付けてね。」


 中央広場の雑多に消えていくフィアちゃんに手を振り返す。



「フィアは時々一人で何処かへ行ってしまって、……不安です。」


 フィアちゃんの前では表情に出さなかったものの、ユウちゃんは俯き、心配そうだ。戦闘に関しては寧ろ相当の信頼を持っているのだけど、風貌に出ないから誰かに絡まれそうである。


「大丈夫、私より余程しっかりしているよ、フィアちゃんは。」


 安心してくれるように頭を撫ででやると、少し落ち着いてくれたのか、


「ま、フールさんはしっかりしてないのは何時もの事ですけど。ほら、早く次に行きましょう!」

「一人で行くとはぐれるよー。」


 楽しそうに一足先を行くユウちゃんもフィアを信頼しているように思えた。

 まぁ、心配するのも悪い事じゃない。全幅の信頼なんて、狂信と何ら変わりない。少し不安な方がいいさ。





[第81話]12/4 (日)(after 2w+3d)投稿予定。


 ……と言いたいですが、はっきり言って不明です。なるはや目指します。

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