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暇つぶしにドラゴン狩ってきます。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
知らない世界を見よう。
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第80話:雪の都ニザロへ。

12dで投稿です。そろそろ設定を露呈していきたい。


=2,040=

 宿場町ツェーオントを出発し、雪国オヒニアの雪原を北上する。

 当初は車輪に金属のスパイクを履かせて雪道に対応するつもりだった。でもいざ街道を確認すると、馬車の轍が道になっていたので、スパイクは使わない事にした。道に穴を開ける訳にはいかない。スパイクは豪雪の時に活躍して貰おう。晴れの日はお休みだ。


 今日は太陽がよく見える、所謂(イワユル)良い天気ではあるが、気温が急上昇する訳は無く、肌寒い所ではなく凍える寒さだ。

 寒い中、上着を羽織りぬくぬくするのは至福の思いで非常に気分がよろしい。しかして寒がりもいる訳で、


「さむ……、え、なにこれ……、凄く寒い死んじゃう……。」

「なんじゃ、これ位なんとも無かろう。人間この程度で凍え死ぬものか。まだ氷点下でも無かろう。」

「いやフィアはおかしい、絶対おかしい。」


 馬車の中で口元まで毛布に包まり悪態をついてるのはユウちゃんである。猫耳は毛布で隠れていて見えない。因みにフィアちゃんはカファイドを出発した時と相変わらず薄着、しかも帳の外で御者をしているのである。寒そう。


「フィアのは魔法?、魔法なら教えて!」


 今まで聞いた事の無い程に進退(キワ)まった悲鳴を上げる。毛布の虫なので迫力は無い。


「残念無念、竜人秘伝の魔力制御じゃ。真似は出来んぞ。」

「うー……、また魔力制御。竜人て何なんですか!、特殊能力多すぎないですか!」

「なんじゃろうのー、はっはっは。」


 暖房も考える必要があったか……。密閉したらマシになるけど、今だって別に冷風が吹き込んでいる訳ではないから、どうだろうなぁ。


「フールさんは!、フールさんはどうなんですか!」

「……え?え、何が?」

「寒くないんですか!」

「えーと、寒くは無いかな。上着あるし。」


 しかし、この気温でこの寒がり方は流石に異常では?、となると、


「……な、なんですか?」

「んー……、顔が少し赤い。ちょっと失礼。」


 額に手を当てる。


「熱あるよ、ユウちゃん。寒いのそれだよ。」

「そう言えば、少し怠いような……。喉は痛くないですけど。」

「よし横になろう。」


 荷物を端に寄せ、毛布を床に敷いて寝床を作ると、ユウちゃんを横に寝かせる。

 しかし何でまた風邪をひいたんだ?、突然の雨に打たれたり、人混みに揉まれたりしてないのに。


「ごめんなさい、自分の体調も気付けなくて。」

「そんなもんでしょ。ほら、大人しく寝てなって。」

「そうします、……ふう……。」



 枕元に座って時折頭を撫でてやったりしていると、すやすやと寝息を立て始めた。


「ユウは大丈夫かの?」

「大袈裟に心配する事は無いよ。熱もそれほど高かった訳じゃないし、少し休めば治るよ。」

「……まぁ、魔法で病を治せはするが、乱用すれば免疫が弱まるしのう。やはり一番の良薬は睡眠じゃの。」

「ホント、馬車に振動対策してて良かった。雪道だからか揺れは少ないし、不幸中の幸いかな。」



 馬車は雪原の中、さらに北上する。一つ小さな町を通過し、右に黒い海原を見ながら海風に晒される街道を行く。揺れの大きくなった馬車の中で、ユウちゃんは静かに寝ている。表情によらず相当参っていたのだろうか。昼食を取った後、程なくして寝てしまった。兎も角私は静かに本を読む、雪を車輪で踏みしめる音を聞きながら。


 今日の日程は、元々夜通し馬車を走らせるつもりだった。街道の途中に手頃な休息所が無く、私達のテントでは吹雪いた時に吹き曝しだと耐え切れない。カファイドで対雪用装備を揃える事が出来なかったのは致し方あるまい、雪が積もらないのだ。

 御者は二人で交代する。本当は三人交代で行くつもりだったけど、二人でも問題ない。病人は寝るのだ。



 交代しても眠くはなるもので、朝方オヒニアの首都「ニザロ」に到着した時も大きな欠伸(アクビ)が出た。

 朝食をそこらの食堂で食べてから宿を取りに行く。朝になると昨晩の宿泊者は既に出発している、宿探しには困らなかった。



「今日一杯は大人しくしているように。」

「はい、本でも読んでいます。」

「よろしい。……ま、昼までには一度戻ってくるよ。」


 病み上がりのユウちゃんを置いて、ニザロに出向く。観光は明日ユウちゃんと行くので、今日は個人的な趣味を満喫しよう。


 取り敢えず書店に入る。知られざる歴史に関する書籍を探すのだ。

 内容によって分類された本棚を一つ一つ見上げて「歴史」の文字を探す。割と大きめの書店だが、それ程苦も無く見つけ出せる。

 背表紙を粗く流し読みしていって、何となくで一冊引き出して表紙を確認する。この世界では例え辞書であろうと紐で括られているので内容は確認できない。良い本に出会えるかは運と勘で決まる。今回は二冊買ってみよう。


 フィアちゃんは魔法関連の本を一冊持ってきた。三冊買うと値が張るが、良い物に良い値段がするのは仕方ない。


 昼食を宿に戻ってユウちゃんと食べた後は、少し服屋を物色した。カファイドとは毛色の違う服が色々あるので、暖かいのや珍しいデザインの物を中心に買う事にした。ユウちゃんにはこれを着てもらいましょうか。



[第81話]9/4 (日)(after 1w+6d)投稿予定。

 そろそろ大学生としてバイト探しの旅に出ようかと思います。

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