第78話:温泉宿で姦しく。
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今回から迷走を続けていた「魔物とモンスターの総称」を「魔獣」に確定します。危険生物だとか敵性生物だとか色々書いてきたんですけど、これなら割としっくりくるのではと思います。
温泉である。
「あー……。」
月光で照らされた雪景色の中、身体を熱い湯につける極楽。王都の浴場ほど雑多じゃないし、旅路の疲れもあってか、割と眠い。
「温泉って良いものですね……!」
「でしょう?、これは王都の浴場じゃあ味わえないでしょ。」
「楽しみにしていた以上の心地よさです!」
ユウちゃんと並んで湯船に浸かってて思うのは、
「一緒に入るのって久しぶりだよね。」
「あー確かに、借家した時からは家のお風呂に一人ずつ入ってましたからね。……3ヶ月ぶりくらい?」
「一緒に入ったからって何か良い事ある訳でも無いけどね。」
「最初に浴場行った時気絶してた人が良く言いますね。一人だったら溺死してますよ。」
「口に水入ったら流石に起きるよ。……多分。」
そう言えば、初めて女湯に入った時はティアのナイスバディにやられて気を失ったんだっけか。あの時は女性に慣れてなかったからね、仕方ないね。
しかし今の私は違う。9ヶ月の間浴場に通った私は大いにレベルアップしたのだ。見ただけで気絶なんてヘマはもうしない。寧ろじっくりしげしげと見定めてやろう。
「……なんですか、フールさん。」
「いや、前見たより結構育ってるよーな……?」
「まぁフールさんと違って私は成長期ですからね。」
「あー言ったなー。そんなこと言っちゃう娘は揉みしだいちゃうよー?」
「そう言いながら結局はしない所、好きですよ。」
「……、んー。」
真正面から好きなんて言われると照れるなぁ。
「へへへ……。」
「その笑い方は気持ち悪いですね。」
「うわい、…………ぶくぶく。」
気持ち悪いという言葉に、私は湯船に沈んでいく。
「……何をやっとる。」
頭上からの声に、湯船から顔を出して振り返ると、フィアちゃんが夜空を背に仁王立ちしていた。
「……そう言えば、フィアちゃんを拾ったのもその頃か。」
「溺れた翌日ですね。」
「溺れては無いから!」
「妾が拾われた日?」
一緒の湯船にフィアちゃんも入ると、私の隣に座る。
「そうです、あの日の前日、フールさん実は王都の浴場でのぼせて危うく溺れる所だったんですよ。」
「それは見てみたかったの。」
「私はイヤだよ!?、黒歴史のなんだから!」
「ははは、人の恥ずかしい出来事は面白いからの。」
私が恥ずかしくても、みんなが笑顔なら……!
……でも対価として二人の裸体は見せてもらいますねー。
□□□
脱衣所で浴衣に着替え、自室に戻ってくると三人分の布団が並んで敷いてあった。食堂で夕飯を頂いた後、直接浴場に行ったからその間に敷いてくれたんだろう。
「妾はもう寝る。」
フィアちゃんが一番手前の布団に潜り込む。そんなにすぐさま寝たいのか……?
「……まぁ、もう何日も馬車に乗って移動してるだけだからね。」
「移動に時間が明かるのは仕方ないですよ。オヒニアに航路が通じてれば良かったんですけど。」
「ユウちゃんだけなら魔法で飛んで行った方が速いんじゃない?」
そう言えばと思って言ってみたけど、ユウちゃんは両手を振って否定する。
「流石にオヒニアまでは飛べませんよ、エオトーマぐらいで魔力が底をついて数日休憩しないと身動きも取れないです。」
「因みにどれ位で行けるの?」
「寝ずに飛ばして3日ほどですかね。でもサイル高山で魔獣に襲われたら十中八九死にます。」
「じゃあ駄目だ。命には代えられない。」
私は深く頷く。急ぐ為に命を危険に晒すなんて、よっぽどの事が無い限りしちゃいけない。
「ま、一人で先行しても面白くないですし。それに私は馬車の旅、好きですよ?、ふふ。」
「私も嫌いじゃないけどねー、何日もとなると割と疲れるんだよね。」
「……因みに妾も飛べるぞ。」
布団からフィアちゃんの顔だけが出ている。うん、フィアツムリと呼ぼう。
「自前の翼で飛ぶの?」
「それは無理。この翼は魔力で出来ていて余り力は無いと前に言ったじゃろう。」
「そうだっけ?」
「間違いなく言ってましたね、私が保証します。ほら前にフールさんがフィアの尻尾を触って怒られてたじゃないですか、あの時ですよ。」
記憶にありませんね。
「魔力で作られていても感覚はあるからの。割と自由に変えられはするが。」
「寝る時は隠してるよね。」
「邪魔じゃしの。」
「でも飛べないなら翼って何の使い道があるの?」
「それはの、感覚器としてだの。魔力に特化した触角とでも言おうか。ユウのように魔力を直接見られるのなら全くの無駄じゃがの。」
「魔力で目を造ったら私みたいに見えたりしない?」
「人間は四ツ目じゃないからのぅ……。依然試みた時は情報量の多さに脳が耐え切れず気絶したわ。」
「そうなんだ……。それでも魔力を見る事自体はできるんだね。」
「実眼を閉じてれば、まぁ見れん事は無いの。只、魔力以外が見えないのは使い所が限られてしまうでの、あんまり意味は無い。
……ふゎあ。眠くなってきたの。」
フィアツムリが欠伸をした。思えば瞼も少し下がってきている。
「ま、今日はもう遅いし、お喋りはこれくらいで、明日に備えて寝ますか。」
「そうですね、私も温泉に入ってから、結構眠たくって。……ふあゎ。」
伸び伸びお風呂に入るのはかなり久しぶりだった事もあってか、割と皆眠かったよう。明かりを消してすぐ、二人の寝息が両隣から聞こえてきた。
私も目を閉じて、明日に思いを馳せる事にした。
[第79話]7/17 (日)(after 2w-1d)投稿予定。
線形代数の計算面倒くさすぎて試験の解答ミスしまくりなんですけどー……。




