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暇つぶしにドラゴン狩ってきます。  作者: c/1-0@斜の廃塔。
知らない世界を見よう。
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第77話:龍脈使いのツェーオ穿道。

16d で投稿完了しました。申し訳、申し訳!


=2,160=

 因みに穿道なんて言葉は存在しないから気を付けるんだゾ!

 エオトーマを出発してすぐ、石畳の街道は北部の山岳地帯、ツェーオ山岳にぶち当たる。しかし西部側の、つまり私たちが越してきたサイル高山地帯とは異なり、山道が無い。

 その代わりが、雪国名物の一つ、ツェーオ穿道(せんどう)である。

 この穿道は現在世界最長のトンネルであり、エオトーマ ― オヒニア間を結ぶ。オヒニアのある建築家が、長距離トンネル最大の問題である換気を、魔導具および内部構造により改善した為に実現したものだ。

建築家はその功績により一財産を得たらしい。この技術は他の鉱山坑道でも大いに利用される事になったのだ、それはそれは儲かっただろう。


「でさ、その革命的な技術がどんな物なんだろうと期待したんだけど。」

「……なに?」

「これさ、道を上り下りで分けて送風機付けただけだよね、見た感じ。」


 馬車の後方でフィアちゃんと並んで喋っていると、色々知らない知識を聞けて楽しい。

しっかし魔導具って言葉が出てきたからもっと期待していたのに、現物は地球でよくあるトンネルと同じ。うーむ。教えてくれたフィアちゃんには申し訳ないけど、これは見てても余り楽しめない。


「その送風機が難解だったのじゃよ。風魔法をそのまま使えば消費魔力は膨大、支出がバカにならない。それを解決したのが龍脈魔法。……古代魔法を解析して得た技術じゃの。」

「大地から魔力を供給するやつだね。」

「うん。要するに、送風機の魔力源を龍脈から供給する技術を開発した訳だの。龍脈魔法が普及したのはこの頃から。」

「じゃあ龍脈魔法って一応新技術の扱いなんだ?」

「どうだろう、古代魔法じゃから元々遺跡とか古い都市では使われていた魔法だしの。」


 古代魔法には強力なものが多いけど、陣の理論が解明されていない魔法が大半で、魔法学者最大の仕事は古代魔法の陣理論を解明する事らしい。

 実はフィアちゃんも陣理論の分析をよくやってるんだけど、私には到底理解できないね。一般人がフェルマーの最終定理を解けないのと一緒だよ。数学の公式を覚えるのとは訳が違う。


「このトンネル、ツェーオ穿道が開通したのが14年前だっけ?、この送風機の陣理論が応用された魔導具って何か無いの?」

「それが全くと言って良いほど無いのよなぁ……。」

「そうなんだ。んー……長期間継続して扱う魔導具が無いから?」

「それはそうかも知れぬが、問題は建築家が魔方陣を教えなかった事かのう……。お陰で基礎の陣が判らんから応用できん。」

「魔方陣見たら判らないものなの?、古代魔法の陣よりは判りやすいと思うんだけど。」

「不要な線とか多すぎて、無理。」


 教えないどころかコピー対策もしてるとか、そんなに独り占めしたかったかな。でも「俺だけが知っている!」ともなると仕方ないのかもね。





「そろそろ穿道を出ますよ。」


 ユウちゃんが馬車の前方から教えてくれた通り、そろそろツェーオ穿道は終わりみたいだ。穿道内が少し明るくなってきた。

 帳の中を突っ切ってユウちゃんの横に四つん這いで顔を出す。


「あとどれくらい?」

「もう着きますよ。」

「結構距離あったよね。5kmくらい?」

「途中で何度か看板を見かけましたけど、4km程度みたいですね。」

「どちらにせよ相当な距離だよね。魔法で掘っても6年掛かったって言うんだから、大変だ。」

「期間については何とも言えんの。少しずつしかできないからもあれば、労働者に無理させられない事もあるじゃろうし。」

「そうだね。あと私の上から降りてくれるかな。重いよ。」

「割と乗り心地はよいぞ?」

「まぁいいけどさー。」




 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。


「わぁ、一面銀世界!」


馬を操りながら、ユウちゃんが歓声を上げた。


「王都カファイドの雪はあまり積もらないし、一面が雪で覆われるってのは無いよね。」

「割と温暖な方じゃからの。」

「今日って宿場町ツェーオントで一泊ですよね!、温泉楽しみだなぁ……!」


 恋する乙女のような顔になっている……。拾った頃は無表情な娘だったのに、感無量だ。


「うん、うん……!」

「なんでお主は目を潤ましとるんじゃ……。」





 駆け足の馬車に乗って宿場町の中心へ進んでいくと、立ち並ぶ幾つもの宿屋を見付けられる。何処も繁盛している様子で、まだ陽も高いというのに呼子の声や宴会の騒ぎなんかが通りにまで聞こえてくる。


「フールさん、泊る所、何処にします?」

「できるだけ静かな方が良いけど……、どうだろう。少し町から外れてみる?」

「妾は風呂と飯があれば何処でもいいぞー。」

「じゃあ、静かそうな所探してみましょうか。」




 旅人の大半を吸収する中央区がある一方で、少し大通りから外れてみると、意外にも静かで趣のある宿屋を見付ける事が出来、私たちはその一つに泊る事にした。


「ああ~、静かな旅館あって良かったー……。」


 部屋に置かれた座布団の山に顔から飛び込んだ。そのまま座布団を抱えて仰向けに寝転がる。


「オヒニアの建物って材が全て動植物由来だって聞いてましたけど、うーん、気持が安らぎますね。」

「見た目だけでなく、匂いもなかなか。」

「ああ確かに、畳は独特の匂いがあるからねぇ。」

「……というか、フールさん。」

「ん~?」

「食事も温泉も入ってないんですから、まだ寝ないで下さいよ。」

「わかってるよー。ほら、フィアちゃんも、寝転がると気持ちいーよ。」

「……はぁ、全く。」


 



[第78話]7/3 (日)(凡そ2週間後)投稿予定。

 twitter始めました。為にならない事やゲームの事やお絵かきなどを放出しています。

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