第7話:姫と従者は眼を開けない。
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盗賊倒した。
と言っても何時起きるか分からないので、縛ろうと思う。
…何も持ってなかったわ。
服しかない。
そして、忘れかけてたけど、
そもそもここに来た理由は、街の場所が知りたかったから。
前途多難。
どうしようか。
…よし思いついた。
「起きて下さい。」
とりあえず、あの女の子を起こそう。
何か知ってるかもしれない。
「…」
しかし起きない。
「おきてください!」
「…」
大声で呼んでも、やっぱり起きない。
「おーきーてーくだーさーーーいっ!」
「…はい、なんですかー。」
おっ。
「おきましたか?」
「…はうわかりましたー(ムニャムニャ)」
……ダメだ、全然起きない。
そんな気配すら感じられない。
…まるで俺の妹みたいだな。
この前大学生になったあいつも、俺が一緒に住んでいる事を良い事に、登校時間ギリギリまで寝てたし。
まあ、あいつが低血圧って事は知ってるから、早めに起こしに行くんだけどな。
なんせ起こすのに10分掛かる。
…あいつ、俺が居なくなって一人だけど大丈夫か?
……大丈夫か、多分。
何気にハイスペックだし。
にしても、う~ん。
この子起こすの、盗賊の意識が回復するより掛かるかも知んないな。
ならばどうするか。
(盗賊起こすか…)
盗賊も一人だけ起こせば、唯の案山子。
そもそもこいつらと戦って負ける要素が見つから無い。
ちょっと脅せば……
「おきなさい、さもなくば、あなたの命は
「はい起きますから殺さないでえええ!!」
…えっとー、何でそんなに怯えてるのか知りませんが、こっから一番近い、街の場所と方向を………」
冗談だったんだけどなあ……
そんなに凄かったのか……あの一本背負い。
__________
盗賊が言うには、
一番近い街:カファイド
で、その街は、この辺りを統治している、さる王国の首都なんだと。
次はそこまでどうやって行くか。
一応馬車は壊れて無いのは確認した。
けど、馬車の乗り方なんて知らない。
でも馬車を使わないとなると、徒歩しかない。
つまり、この子を担いで行けと………
無理じゃないとは思う(勘だけど。
けど……
………馬に乗ってみたい。
この子以外には、もう一人一緒に居たらしい。
馬車に積んである量が一人分じゃない。
でも三人は馬車の大きさ的に乗れない。
と、いう事で周りを探してみた。
一人見つけた。
…正しくは、『一体』見つけた。
死体だった。
とても生きてはいないと思う。
血が………さ…。
剣が腹から貫通して、背中から突き出してる。
多分、この子を助けようとしたんだろうな。
(あの子は俺が助けておきました。安心して眠って下さい。)
偽善でも何でも良い。
自分がするべきだと思ったから、しただけ。
だから俺はこの場所を持って行く。
遺品とか、あるかも知れない。
頑張って運転してみるさ。
人間、やろうと思えば、大抵何でも出来る。
反対に、出来ないと考えてたら、何も出来ない。
最善を尽くしてみよう。
(2014;02/27改稿)