第62話:白の部屋で、転生一周年のお祝いをしよう。
待たせたな!(喀血
=1860字=
この草原はだだっ広くて一日では横断し切れなかった。
故に今日は草原の真ん中で野営だ。
【アイテムボックス】からテントや道具一式を取り出し、みんなで料理を作って食べた。
食材や調味料を沢山持ってこれるのは凄くいい、こんな所でもちゃんとした物を食べられるんだから。
そうして私たちは寝袋の中で眠りについた。
馬車と言っても疲れる、皆すぐに寝入った。
私もそうであったが、只、少し妙な事になる。
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私の瞼が閉じている事に気付く。
それだけなら只覚醒しただけなのだが、不可解な事がある。
今私は座っているのだ、背に柔らかい物を感じる。
眼を開けると其処には純白の空間が広がっていた。
「また此処か…………。」
キョロキョロとアイツを探す。
周りを見ても居ない。その時、膝の上に重みがある事に気付く。
「柔らかいねぇ、いいですねぇ、安眠膝枕ぁ…………。」
変な寝言を言っている膝の上にある可愛らしい寝顔だ、徐にその真っ白な髪を撫で始める。
その右手でしっかり頭を固定し、顎に向けて左拳を振るう。
「よっ!」
しかし、拳は命中せず、撫でていた筈の右手に当たった。
「折角気持ちよく寝てたのに酷いじゃないか!」
「ち、外したか。」
「あ、今舌打ちしただろ!」
声が上から聞こえる。
その声は幼い少女の高い声で、その口調に実に似合わない。
「私の膝は私の物だ、無許可で使用は許さない。」
「俺じゃんかその身体あげたの!」
「今はもう私のだ。
『アントア』には天使が居るだろ、そっちにやってもらえ。」
「いや、君のがいい。と言う訳で膝枕してくれ。」
「にじり寄るんじゃない! どう言われてもしないぞ。」
何故に神を膝枕しなければならないのか。
アレ足が痺れてきて結構辛いんだぞ。
迫ってくるアントアの顔を抑える。
「そんな事よりなんで私を呼んだんだ、理由は膝枕じゃないだろ?」
「…………まぁ3割は膝枕だった。
でもしてくれないのなら仕方ない、本題を話そう。」
アントアは向かいのソファに寝ころがる。
「座れよ。」
「断る。」
平常運転だな、普通に座ってる所を見たことが無い。
「呼んだのは他でもない、転生一周年記念だからだ!」
「…………ああ、そう言えば今日は四月一日か。」
私はあの世界で言う四月一日に転生した。
あの頃は日付なんて考えていなかったが、アントアに尋ねて逆算してもらうとそうだったのだ。
「なんかプレゼントでもくれるのか?」
「そう。
しかしプレゼントとして用意した情報なんだが、良い情報と悪い情報がある、どちらが欲しい?」
「どちらを先に聞く? じゃないのか。」
「両方聞くか?」
「どちらも有益な情報なんだろ?」
「…………まぁ、な。」
しかし悪い情報か、一体何の事だろうか。
「じゃあ先ずは良い情報から。
君の妹の消息がやっと判った。」
この前転生してから初めて呼ばれた時にどうにも気になっていたから頼んでいたんだが、そうか、やっと見つかったか。
「で、悪い情報だが、君の妹『四月一日優華』は、既に死んでいた。」
「…………え?」
「しかも彼女の魂は既に輪廻し地球から別の世界に転送されていた。」
私があの世界で死んでから未だ一年しか経ってないのに、なんで…………?
「地球と、主が居る世界『エフ』は速度空間共にほぼ同値であるから、死んだのは君が家を建てた頃くらいか。」
「一ヶ月くらい前…………か。」
お金なら何年も暮らしていけるほど潤沢にあったし、一体何が?
「死因は交通事故。角から急に出て来た所を居眠りしていたトラックが避けきれずに轢いてしまったそうだ。」
「…………まさか早朝か?」
「良く判ったな。そう、夜間走り通した故の居眠りであったらしく、それで会社の過失が明らかになった。」
「いや、そうじゃなくて…………。」
ああもう、だから朝は誰かに送ってもらえって言ってたのに。
「多分それ、ぼーっとしてたのは妹の方だ。」
「え?」
アントアが威厳ある態度から、その純白の眼を丸くして急に[ぽけっ?]とした表情になる。
今日のアントアは幼女の身体なので妙に可愛らしい。
純白の短髪と瞳に合った子供らしい装いがそれを更に際立たせる。
まぁアントアのセンスじゃないな、誰か天使にでもやってもらったんだろう。
「妹は朝が弱いんだ。
…………あーそうか、そう言えば私が無理な時にはと頼んでおいた玲子さん、よく朝まで飲んでることがあったなぁ。
頼む人を間違えたか。」
「警察の見解では居眠り運転による過失で処理されていたし、きっと違うだろう。」
「それならいいけど…………、いや良くは無いけど。」
玲子さん、気にしていないといいけど。
1週間後8/9[第63話]投稿予定。
ちゃんと12時に投稿します、頑張ります。




