第61話:逃げるんじゃないよ、依頼行くだけだよ。
休みが長いと頭の中に靄がかかる、運動しないのも関係してそう。
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さて、ギルドに来てみたけども、ギルド職員の方も状況を把握し切れてないみたいだ。
「済みませんねぇ、冒険者ギルドの情報網が幾らいいからって流石にまだ…………。」
「でも隣国の攻撃なのは確かですよね?」
「ええ、国土の北側の砦から情報が来ましたし。
狼煙も赤なので戦争と言う事は確実です。」
やっぱり侵攻してきたのは北側の『シルート帝国』か。
前々から戦力増強していると噂はあったけど、この為だったのかな。
「まぁ、王都が攻め込まれることはそうそう無いでしょうし、此処なら安心なんで私は此処に留まってます。私は魔法使いでもないですし。」
「そうですか。」
全然慌てていないと思ったらそう言う事ですか。
そう言えば私たちは戦闘能力あるけど、『自由民』だから軍には編入されないのか。
任意で行くことはできるけど、まぁ無いな。
その後、只ウロウロしていても仕方がないし、ユウちゃん達を家に待たせているのでサッサと帰った。
「あ、フールさんお帰りなさい。何か判りましたか?」
「いんや、新しい情報は無し、攻め込んできたのがシルート帝国だと確定しただけ。」
「未だそう時間は経っておらんからな、仕方ないの。
北側の砦なら堅牢で有名じゃし、そう易々と攻め込まれまい。」
ルクメスク王国も警戒して兵を強化してたし、心配ないか。
「でもそれじゃあ依頼どうする?
遠征しようと思ってた方向は東だから余り影響も無さそうだけど。」
行こうと思っていた場所は広大なオリシム平原を越えた先にある寒冷地帯。
一ヶ月くらい帰ってくるつもり無かったと言えばその遠さが判るかな。
長期なのは観光するのもあるけど。
「私は行ってもいいと思いますけど。」
「…………帝国の所為でここ一週間の準備が無駄になるのは気に食わんしの、妾も行く事に賛成じゃ。」
そうなのか、誰もこの王国が即座に負ける事は考えてないと。
かく言う私もそうだけど。
「…………じゃあ依頼行きますか。」
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北東の門から出発した。
東西に伸びるガタガタ道を馬車で進んでいく。
「この前の改良は成功みたいだねぇ、振動がかなり軽減されてる。」
「後は強度じゃが、今までの物からすると大丈夫じゃろうの。」
帳から顔を出して話しかけると、フィアちゃんが馬の手綱を持ったまま振り向いて返答する。
「やはり【創造神の加護】の能力は素晴らしいの、精度が他のスキルと桁が違う。」
「そうだね。」
【創造神の加護】で緩衝材を作ったり、バネを取り付けたりしたから衝撃吸収能力は飛躍的に上がった。
構造は正確には覚えてなかったけど、どうにかなってよかった。
副次的効果の最適化が効いたかな? 何回も実験したけどね。
「このクッションの付いた椅子もいいと思いますけどね。
コレのお陰で楽に移動できてましたし。」
「んーでもコレだけ振動を軽減できるなら普通の木製椅子に戻そうかな、洗濯面倒だし。」
「駄目です、こんなに気持ちいいのを外すなんて。
洗濯なら私がしますから。」
「…………まぁ、いいけど。」
柔らかくて気持ちいいのは確かだけどね。
ユウちゃんなら魔法あるし洗濯も簡単か、この前渦巻状の水流で洗濯してからの火属性と風属性での急速乾燥は正直羨ましいと思った。
【創造神の加護】を応用すれば汚れだけ分解して水分を蒸発させる事はできそうだけど、汚れと布の区別付けるの難しいし匂いが残ったりするだろうから、本当羨ましい。
「でもコレからは余り色々オプションを付ける訳にはいかないんだよね、重量的に。」
「そうなんですよね、何か付けても荷物載せたら動いてくれなかったら本末転倒ですからね。」
軽量化するのは難しいんだよね、考えてはみてるんだけど。
穴開けるのは木材では難しいし、金属製にするのはこの世界的には不自然だし。
と言うか下手したら逆に重くなりそうだし。
試作してみてもいいけどね。
依頼から帰ってきたらまた一考しようかな?
1週間後8/2(日)[第62話]投稿予定。
流石にそろそろ勉強しないと不味いけど、まず何をしようか。




