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第42話:生きる事、剣を振る事、殺す事。

 別の話書いてたら、遅くなりました。

 あと、きりがいいので短め。


=1962字=

 ゴブリンの生息している森は、[始まりの森]と呼ばれているらしい。

 その[始まりの森]は、王都から案外近くにある。

 高い城壁を持つ王都にとってゴブリン程度は脅威に成り得ないらしい。

 寧ろ近くに薬草の採れる森があるから好立地なのだと。

 ゴブリン不遇。

 一体ゴブリンが何をしたって言うんだ。

 …………いや何もしないから悪いのか。


 まぁゴブリンの立場なんざどうでもいいか。 

 寧ろ今から屠りに行くんだしね。



 薬草の採れる森は王都の西にある。

 対してゴブリンが生息する森は北にある。

 なので北西か北東の城門から出る。

 と言いたい所なのだが、前に言った通り王都は巨大な三角州の上にある。要するに河が流れているのだ。

 その河と言うのが[スターションの森]と[始まりの森]の間を流れており、王都周辺には支流以外の場所に橋が架かっていない。

 なので北西の門から出ると北にある[始まりの森]に行けず、北東の門から出ると[スターションの森]に行けない。


 ちなみにわたしがこの世界に来たときの場所は、王都から北東に位置するオリシム草原。

 南には一つ街がある。

 その街には大きな港があり、貿易都市となっている。

 いつか新鮮な魚でも食べに行きたい。




 とまぁそんな事は置いといて。

 私が現在いる場所は北東の門を出て橋を渡り、もう[始まりの森]が見える所だ。

 此処からはいつ敵が現れてもおかしくない。

 腰に着けた剣を握る力が強くなる。


 しかし警戒しまくってても仕方ない。

 取り敢えず歩こう。





 森に到着する。

 木々はそこそこの間隔で生えているので、森の中の戦闘も問題なさそうではある。



 少しずつ森の中を進んでいく。

 

 観察した所、この森にも薬草は生えているようである。

 但し今回は採らず、ゴブリン探しに専念する。


 少しして草むらの不自然な動きに気付いた。

 警戒を強くして近付く。

 しかし飛び出して来たのは只の兎だった。

 ふぅ、と緊迫した緊張が一瞬緩んだが、再び気を取り直して散策を再開する。



 そして遂にゴブリンを発見する。

 体長が1m程と、草むらから頭が出る位はあるので案外見付けやすかった。

 手に持つ刃こぼれした斧が威圧感を見せる。


 戦闘中に足を掬われない様に周囲の状況を確認する。

 他のゴブリンが居ないとも限らないし、蔓に足を引っ掛けて死んだら残念すぎる。


 ゴブリンは向こうを向いている。

 どうやらこちらは風下のようで、臭いで発見される事も無さそうだ。


 先手を取れれば戦いは一気に有利になる。



「…………よし。」


 小声で気合を入れる。

 そして腰に差していた剣を音を立てないように抜く。


[カシャン]


 剣を両手に持ち替え、少しづつ、少しづつ接近する。


 ゴブリンの知能レベルは判らなかったので、下手な小細工はしない。

 猪突猛進とは言わないけど、倒す事だけを考えよう。


 目を閉じ集中する。

 敵の真っ只中でコレは自殺行為かも知れないけど、コレをすると集中できるんだから仕方ない。


 目を開けた時、未だゴブリンはそこにいて、その間には一切の障害物は無い絶好の位置取り。


 限界まで近付いたその場所から一気に駆け出す。

 身体的全力はある意味危険なので、制御できる範囲の全力を出す。


 ゴブリンは私の足音に気付いたのかこちらを振り向いた!


 けど私は怯えて逃げたりしない。

 怪我をしようと絶対に倒して帰ると誓ったんだ。

 倒すまでは帰らない。


 急接近しながら剣を頭上に振り上げる。

 私は剣の(かた)なんて知らない。

 精々剣道部が主役の漫画を読んだくらい。

 でも攻撃力がステータス依存なら一発当たれば倒せる!


 ゴブリンが防御する前に剣を全力で振り下ろす。 

 剣は空気抵抗を受けて声をあげる。



[ザシュッ!]


 剣先30cmが衝突したゴブリンは、大きく吹き飛ばされる。

 切れた胴から光り輝く粒子が舞い、まるで流星のよう。


「綺麗だ…………。」


 剣の遠心力と肉の切断を感じながら、不謹慎にもそんな事を考えてしまった。

 それ程にもその現象が美しかったのだ。

 

 ゴブリンはその後その身体を全て輝く粒子に変えて、そこから消えてしまった。



「…………なんだかなぁ。」


 余りにも呆気ない。

 罪悪感を感じる間も無く殺してしまった。


 手に残る、生物を斬った時の独特な感触。

 この世界の多くの人がこの思いをしているのだろうか。

 一つの意思を消した、命を消した。

 たとえ相手が魔法生物であろうとも。



 その時私は思わず刀身を眺めていた。

 刀身にはとても悲しそうな顔が映っていた。


「なんて顔をしてるんだよ、()が……悪いのか?」


 なんでそんな今にも泣き出しそうな顔なんだ。

 この世界が殺伐な事は重々承知のはずだろ?

 一度剣を振っただけでお前の何が変わるんだ?

 

「泣くなよ…………今からの生活はコレの連続なんだ。」


 刀身の瞳が潤む。

 それと同時に私の視界も急激に視力が落ちたかのように歪む。


 目を思いっきり擦る。

 けど視界の歪みはまたすぐに始まり、何度繰り返しても止まることは無かった。










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