第40話:『雑貨屋ロイスト』へようこそ!
何故書きたい事は決まってるのに書けないのか。
実に不思議だ(現実逃避)。
=1786字=
私は今、とあるお店の前にいる。
前々から気になっていたお店。
やっと来る事が出来た。
この店の特徴。
雑貨を売っていて、且つ私が唯一住所を知っている店。
「いらっしゃいませー、………って、あ!」
「こんにちは、ミーちゃん。」
「久し振りふうちゃん!」
「……『ふうちゃん』?」
「いや、アレから考えたんだけどさ、やっぱり愛称の方がイイかなって。」
別にあのままでも良かったんだけど、考えてくれてたのが嬉しい。
にしても安定の大きさだ、存在感が違いますよ。
「本当は家の中でゆっくり話したいけど、今店番してるから……。」
「あぁそんな気を使わなくていいよ。むしろ私邪魔してる?」
「いやいや、そんなにお客さん来ないし大丈夫だよ。」
エプロン着てたから仕事中かな、と思ったらやっぱり。
そして客が来ないのはお店として致命的ではないだろうか。
「あ、お茶飲む?」
ミーちゃんは、カウンターの内側にある冷蔵庫の様な箱から、カップに入った飲み物を三つ取り出しカウンターに置く。
「………そこのやつって商品じゃないの?」
「大丈夫大丈夫、好きなだけ飲んでイイって兄さん言ってたし。」
信頼があるのか、只お兄さんが適当なのか。
私が思うにきっと信頼の方だろう。
私なら信頼して自由にさせると思う。
盗んだりくすねたりもしなさそうだし。
「わ、私もいいんですか?」
「いやいや一人だけ出さないとかしないから。
あ、ちょっと椅子取って来るから待ってて。」
「ありがと、ミーちゃん。」
気が利くいい娘だ。
「………あの…。」
「ん? どうしたのユウちゃん?」
「あの人とは知り合いなんですか?」
「……そうだけど?」
「ええと、フールさん以外にも私の言葉が分かる人がいて、ちょっと嬉しくて………。」
…………あ、ホントだ。ミーちゃん日本語知ってたのか。
そういえば私がミーちゃんと初めて会った時も日本語だったような……。
あれはそう聞こえていたんじゃなくて本当に日本語だったのか。
……なんか関係あるのかな、ミーちゃんとユウちゃん。
機会があったら聞いてみよう。
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「そういえばこのお店って雑貨屋って言ってたけど、実際何売ってるの?」
「じゃあ案内するよ、そんなに大きい店でもないけどね。」
ミーちゃんがカウンターから立ち上がる。
この店、雑貨屋と言うだけあって、ゴッタゴタしている。
適当とも言う。
「……私が言うのもなんだけどさ、もう少しチャンと陳列させた方が良いんじゃない?」
「うん……まぁ……そうなんだけど……。」
聞いた所によると、お兄さん的には考えての配置なのだとか。
理由は教えてくれなかったらしいが。
「………ん、なにこれ?」
「ああそれは…………、何だっけ。」
「店員がそれで大丈夫か。」
「大丈夫、お金受け取ってお釣返す事しかしないから。」
ドヤ顔で言ってる所悪いけど、店員の仕事それだけじゃないです。
棚に並べたr…………並んでないな。
品物のせつめi…………誰が買うんだこれ。
店閉めた後の売上の計さn…………お兄さんがやるのか。
………あれ?
「そういえばさ、冒険者始めたんだったら剣とか要らない? 結構品揃えいいよ。」
ミーちゃんが両手に剣を持って見せてきた。
右手に持っているのは無骨な物で、初心者用の雰囲気を出している。
左手の物は、右手の物より更に装飾が少ない。なんと鍔すら無く、最早只の棒。
「……ちょっとそれ貸してくれる?」
「こっち? はい。」
だが私は装飾の無い方が好き。
ごてごてしたのを見て、
(これに幾らお金掛かってるんだろうか……)
とか考える人だから。
やっぱりね、道具と言うのは使い勝手が大事だと思う訳ですよ。
筆記具なら書き心地。
楽器なら弾き心地と音色。
その為に、素材や技術が要るから品物が高価になろうとも納得できる。
だが、只キラキラしてる物、てめーは駄目だ。
だから服とかも、コーディネートより着心地を優先する。
まぁ最低限「変な奴。」とか言われない様にはするんだけども。
閑話休題。
さて、と言う訳で私はこの鍔迫り合い出来ない方を選んだんだけど。
……正直気に入った。
鞘から抜いた刀身は刀の様な片刃で、波状の紋様が出ていて綺麗。
『創造』した紙を刀身に当ててみると、剣を少し引いただけで紙が見事なまでに真っ二つになった。
「……これ幾ら?」
「え~と、それは…………10000Sだって。」
安い。専門店より安い。
買うか、買っちゃうか。
しかしお金がないぞ。
最近『おやかた』ばっかりしている。
…………ハッ!?書けないのはこの所為か!




