第29話:どうにもならない。そう、どうにもならない…………orz
ユニーク8000…………ッ!?
うおおおおーーやる気出てきたーーッ!
=2067字=
料理が来るのを唯待っている私。
…本でも読もうか。
でもこのお店の雰囲気では、本を出せない。
なんと言うか………ピシッとしてないと駄目な気がする。
超高級店でドンチャン騒ぐような緊張感が…。
今は、メニューにあったコーヒーを頼んだから、それを飲んでいる。
ミルク入りの甘めのコーヒー。
私は無糖ブラックが好きなんだけど、これも案外美味しい。
どちらにせよ、コーヒーは挽きたてに限る。
グーデントさんは、カウンターに身体を預けながら、あの不思議な店主と話をしている。
会話の内容はよく聞こえない。
まぁ盗み聞きは良くないからしないけど。
…気になる。
「(そわそわ」
「おい、早く飯作ってやれよ。あいつ待ってるぞ。」
「じゃあ、久し振りに腕によりを掛けて作ろうか!」
「久し振りなのかよ。」
「大丈夫! 料理が久し振りな訳じゃないからさ!」
「…まぁ店やってるなら普通の事だな。」
「ははは、そんな褒めるなよ。」
「さっさと作れ。」
「アッハイ。」
盗み聞きした結果がこれだよ。
コーヒー挽いてからずっと話してたけど、仕込みとかしてるのかと思ってた。
この店主、イケメンはイケメンでも、残念な方だった。
ていうか、他に店員はいないのか。
その顔使えば幾らでも集まるでしょうに。
………暇だなぁ。
もう本読んじゃおうか。
雰囲気なんて気にしなかったら何の問題も無い。
静かにしてれば怒られる事もないはず。
さーて、何を読もうか………
「…よし出来た!
後は盛り付けて…
……
…完成だっ! 持って行ってくれ!」
「いや何で俺が…………まぁいいか。」
………で、えーと、このスキルはこうで、このスキルはああして………
「おい。」
………それを使いながら、ああしてこうして………
「おい。」
「………あ、何ですか? 今ちょっと良い所………
あ、料理できたんですか。」
必要そうで必要ないスキルの需要を考えてた。
幾つか良さそうなのがあったから、後でノートか何かに纏めとこう。
「…わぁ。」
テーブルに並べられる料理はどれも美味しそう。
あの残念が作ったとは思えない。
でもコーヒー美味しかったしなぁ。
兎に角食べよう。
冷めちゃ勿体無い。
初めは、真ん中に置いてある肉料理から。
黒いソースのかけられた、一口では入りきらないお肉が何切れか。
その上には小さなハーブの様な緑が乗っている。
隣には、ジャガイモっぽいものを、表面だけカリカリに焼いたものが添えてある。
皿全体から立ち昇る、食欲をそそる良い匂い。
盛り付けも綺麗。
この店と同じ。
一つが主張せず、全てが調和している様に見える。
…あの人、店やってるだけの腕はあるね。
料理と共に置かれたナイフとフォークを、皿の左右に構える。
「(スゥ」
…やわらかい。
手に何ら抵抗を与える事無く、ナイフがお肉に沈んでいく。
フォークを差しても、お肉自体の重みで落ちてしまいそう。
「(ごくっ…。」
口に溢れる唾を飲み込む。
お肉を口に運ぶ。
「ありがとう御座いました。とても美味しかったですッ。」
「そりゃー良かった。頑張って作った甲斐があったな!」
いやーホント美味しかった。
前世の経験を併せても、あんな料理は初めて食べた。
この店長、結構良い人。
そもそも悪い人では無さそうだったけど。
上手い料理が作れる人に、悪い人はいない。
料理ってのはやる気が無いと上手く出来ないんです。
ちゃんとした物を出す気が無い事は、出された料理を食べれはすぐ分かるんです。
不味くは無くても、美味しくない料理を出す店はそこそこあった。
回転率を良くする代償に、味が落ちた店。
あれは残念だったなぁ。
この店はその点では完全に当たり。
グーデントさん良い眼してる。
また一人で来よう。
ここで本を読むのも良いかも知れない。
静かだし。
何より落ち着く雰囲気が読書に最適。
挽き立てのコーヒーも飲める訳だし。
因みにコーヒーは一杯銅貨3枚。
つまり300S。
……今ね、ちょっと心配な事があるんだ。
それは、『お勧め』って言って頼んだから、料理の値段が分からない事、です。
ヤバイね、完璧な作戦だと思ったんだけど、値段聞くの忘れてたぜ…。
美味しかったから、かなり高そう………大丈夫かな…?
「あの~、お、お幾らでしょうか?(恐る恐る。」
「……え? 言ってなかったけ?
あれ? もしかして言うの忘れた…?」
「おいお前、客に金額教えずに料理出すとか、どんな詐欺師だよ。」
「いやいや詐欺なんてしないから!」
「…………あの、幾らなんでしょうか…?」
「あ、うん、え~と、あれとあれとあれだから…
合計して………うん、2100Sだね。」
あ、思ったより安い。
ハッキリ言って全財産消えるかと思ってた。
でもこんな美味しいならもっとお金取れると思うけどなぁ。
まぁ私の財布事情としては嬉しいけど。
……安心したら尿意が…
「…あの、トイレって何処ですか…?」
「トイレ…あぁ、確かあっちだったか?」
「そうそうそこそこ。」
さて場所が分かったぞ。
いざ戦場に赴かん。
~小鳥のさえずりが綺麗ですね。~
「おい、顔赤いが、どうかしたか?」
「…いえ…何でもないで…す……ぅぅ…。」
「…? なら良いが…?」
お金の減り具合、一応書いとくべ。
26500S → 24100S
(第1話2014;04/27改稿2)




