第11話:街に着いたら、一に観察、二に食事。
王都到着しますけど登場人物は増えません。
と言うより、特に何も起きません。
=6834字=
今回ちょっと長い。
王都までもう少し。
結構前から見えてはいたけど、なかなか遠かった。
着く前に、ミーちゃんから聞いた話を復習しておこう。
現在の世界にある国の数:4つ
ほか、各国の領土以外で、未開拓地と創世記に書かれている『迷宮』がある。
今向かっている王都は、【ルクメスク王国】の首都。
この国の人口は約130万人。
教育制度が他国より発達している国。
王国国籍なら年齢関係なく入学できる学園が、街単位で存在。
三年間無償で一般教育を受ける事が出来る。
その甲斐もあってか、国も成長しているらしい。
因みにこの政策は現国王の提案によって決まった。
一代前の国王は糞だったそう。
国自体も死に掛けていた。
しかし、この国王、すぐ病気で死ぬ。
ちょっと盛大に葬式、兼、お祭してから、その時の王子に王権交代。
そしてこの人が凄かった。
即位した時、齢19。現在21。
このたった二年間で、国を180゜変えたらしい。
天才でしょうこの人。
『鳶が鷹を生む』より酷いかった、と。
つまり、『鳶の糞が鷹を生む』、これでOK。
因みに容姿も頗る良いとの事。
スラッとした長身。
金色の短髪。
そしてイケメン。
まさに完璧。
ぐぬぬ…
おっと、俺はもう女だ。気にしない事にしよう。
…おっと目から汗が。
それはさて置き、王都の説明を続ける。
街としては大陸で最多の人口がいる。
現在いる広大な草原には、大きな河が流れている。
その河が海に繋がる所にある三角州。
そこに王都がある。
街の広さが直径12kmの円形だと言うのは有名らしい。
後、王都の特徴と言えば東西南北に区分けしてある事らしい。
その一つ一つに校舎が別にあり、専門の科が違う。
東区:普通科
西区:商業科
南区:魔法科
北区:騎士科
これは入学する人が基本的には自由に選べる。
そのお陰なのか、軍隊は相当大規模なものになっているらしい。
そして、区分けにはもう一つ意味がある。
寧ろこっちが大事。
東区:住宅街
西区:商店街
南区:魔法系統
北区:冒険者関連
冒険者がいて、少し喜んでいる人がここに一人。
………復習終わり。
しかし、もうすぐ王都に着く訳だけど、結構運が良かったんかね、俺は。
転生後すぐ、人を発見できたし。
………盗賊だったのは運が良いか?。
可愛い女の子と友達になったのは運が良かった(確信。
後まだ怪物とかモンスターと会ってないのも運が良いと言える。
盗賊との戦いはノーカウント、弱かったし。
………つまり第一異世界人が盗賊でも運が良い事になるな。
これがこの世界の真理か(絶対に違う。
結論:俺かなり運良い。
………もしかしたら某爺さんがやったのかも知れないな。
盗賊とかテンプレっぽいし。
強運過ぎる気がする。
「………ん? あれ、何だろう…?」
「どうしたの?」
「ほら、あそこ。」
ミーちゃんが指差した先に見えるのは、目的地である王都カファイドだと思う。
王都と言っても壁と門が見えてるだけで、家の屋根とかは見えないけど。
…しかし、城門の近くに、謎の人だかり。
旅の途中と思われる馬車や人、それを誘導する何かゴツイ人。
…いやだって、役割的には騎士かなーと思うけど、筋肉と鉄板の集合体にしか見えないし。
俺の知ってるナイトと違う。
まぁそれは置いといて。
誘導している人達から『皆の者、急ぎ給え。』と言ってそうな(言ってない)雰囲気を感じる。
………
何か嫌な予感がする。
この世界、多分『モンスター』とか『魔物』とかいるんだろうから。
城壁が巨人に進撃されても大丈夫なくらいデカイのもその為だろうから。
きっとあれだ、恐らくあれだ。
でも確証は無い。
まだ希望はある。
この世界で生まれ育ったミーちゃんに聞いてみよう。
そうすれば真偽がハッキリするはず。
「あのさ、ミーちゃん。」
「あれ、なんだろね?」
「ミーちゃんも知らないの?
人が急いで城門に入って行ってるけど、何かあったのかな?」
「え? 私は良く見えないけど…。
フールちゃんって、眼が良いんだね。
人がいる、いないくらいしか、私には見えないんだけど。」
「…ん?」
あれ? 俺ってそんなに眼、良かった…?
……良いね、凄く良い。
なんだこれは。
ほとんど視界の範囲内の物全て、クッキリ見えるじゃまいか。
2.0とかそんなもんじゃない。
やばいわー、上空の鳥の眼まで見えるわー。
望遠鏡かっての。
何故今まで気付かなかった。
そもそも地平線ぎりの盗賊が見えてる時点でおかしいって…。
「でさ、見えてるなら、何してるか分からない?」
「あーうん、さっき言ったみたいに、沢山の人が門に急いで入って言ってて。
あと、その人達を誘導している人もいるよ?」
「なるほど…………多分あれだね。
ちょっと急がないと駄目かな………?」
そーいーん、てったーい。
「じゃあ馬車飛ばすから、どこか捕まっといてー。」
え……? 馬車ってそんなに速度出るの…?
あ、ちょ、まっ。
…や、やっと王都着いた………。
酔った訳じゃないけど……馬車ってあんな速いんすね……。
………ん?
「早く壁の中に入るんだっ!
おいっそこのお前!」
「あ、なんだよ?」
「もっと早く歩け! 後ろが詰まってるだろうが!」
「そんなに急かすなっての。
別にそこまで急がなくてもイイだろが。」
「駄目だ!」
「あーはいはい、さっさと行きけばイイんだろ行けば。」
なんか……。
「おじいさん、大丈夫ですか?
荷物は私が持ちますから、もう少し急いでくださいね。」
「おおっ、有り難い。荷物が重くてのぅ。
済まないね、お兄さんや。」
「あ、いや、私、女なんですけど……。」
「おお、それは失礼。」
「いえいえ。」
「ほぅ、お兄さんは謙虚じゃのぅ。」
「いやいやっ!だから私は女ですって!」
「おお、失礼失礼、また『お兄さん』と言ってしまったのぉ。
済まないね、お兄さんや。」
「だからっ…!
……はぁ、もういいです…。」
何か大変そうですね………(お姉さん頑張れ、チョー頑張れ。
「ちょっとその辺の人に何があったか聞いて来るからそこで待っててー。」
「あ、うん、がんば。」
あー…ミーちゃん行っちゃったよ。
………俺も少しばかり情報収集しますか。
周りの人の会話から何か分かるかも知れない。
「なぁ俺の荷物ってそんなに多いか?
行く先々で奇妙がられるんだが…。」
「多いだろ。隣町から来たんだろ?」
「て言うかお前は少なすぎだろ。」
「旅の最低限の準備だったらこれ位だ。」
「…なぁ、それ何が入ってるんだ?」
「ナイフと火打石と水筒。
荷物と言えば、後は腰の剣だな。」
「………マジか。」
「お前こそ俺は聞いてみたいが。」
「服と食料と調理道具と雨具と釣竿と斧とナイフ………。
あ、斧とナイフは予備にそれぞれもう一本ずつあって、後はテントと麻袋何個かで………。
あーそうそう、暇つぶし用の本とかも入ってるな。
後は何入れてたっけなぁ………。」
「………マジか。」
マジか………。
何なんだその差は………。
…って、そうじゃない。
そんな事知りたいんじゃない。
周りの風景から分かる事は………
まず、この城壁がデカイ事が気になる。
絶対アレだよな。
強大な敵に対する防衛手段だよな。
その敵が人間か、はたまた怪物なのかは知らないけど。
………自分の力がどれ位か、ちゃんと知らないと怖いな。
後は………
ああそうだ。
そういえば日本語普通に通じてるな。
『創世記』の字も日本語だったし。
(へー全部の漢字に読み振ってるんだ。)とか考えてたけど、問題はソコじゃなかった。
テンプレのお陰ですかね。
まぁ言葉が通じてよかったよ。
もし通じなかったら、未だ平原をウロウロしていただろうし。
しかし、情報収集が余り意味を成さないとすると、何をしようか。
………そうだ、鏡を造ろう。
自分の顔、ちゃんと見てみたい。
そうと決まれば早速。
……そういえば、この【物質変化】って一体どういう仕組みなんだ?
その物質の構造を造り変えるのか、それとも別の所のと入れ替えるのか。
もしかしたら創造かも知れない。
ゆっくりやってみよう。
何か分かるかも知れない。
指先の感覚に集中して………
………あれ、出来ない。
もしかして鏡は『複雑な物』……なのか?
馬車が木材で出来なかったのもその所為か?
兎に角、鏡が造れないなら、光を反射する別の物を造れば良いじゃない。
と言う事で、水瓶を作成しました。
ステンレスの瓶に水をタップリ張ったから、反射して顔が見えるはず。
…そういえば、水は造れるんですね。
液体なのに。
固体より難しそうな、そうでもないような。
さーてお待ちかねの自分の顔とのご対面。
「…………おおう。」
満天の星空の様な、艶のある髪。
その夜の中光る月にも見える、銀の瞳。
高級な陶器にも劣らない、白い肌。
少し頬が赤いのがまた、良い。
「…かわいい。」
比喩を言いたくなる程の美少女具合。
俺好みだ。
……いやロリコンじゃないですよ?
大人になったら俺の好みだなって話であって、現時点では恋愛対象には成り得ませんよ?
……にしても可愛いなぁ。
あの神の所為で俺は小さいんだ。
だから、その原因を早く見つけ出して、俺を成長させやがれ。
合法ロリ脱却が俺の最優先事項だな。
「(やぁ、合法ロリ君よ。わしがその願い、聞き入れようぞ。」
「(この声は……まさか……。」
「(皆お待ちかね、神様じゃぞい(キラッ」
「(待ってたの俺くらいだね。
それにお前、ぼっちじゃん。」
「(そうかそうか、お主、そのままの身体で良いのじゃな?」
「(済みませんでした、許してください。」
「(ふむ、其処まで言うなら直してやらん事も無いぞ。」
何故俺が謝らなければならないのか。
「(まぁ茶番はこれくらいにしといて。」
「(そうだ、茶番なんかさっさと止めて本題に入るぞ。」
「(お前が小さくなった理由、それは…………。」
それは?
「(わしのミス。」
「(……は?」
何言ってんのお前。
「(いやーまさかわしがこんな初歩的なミスしているとは思わんかったわ。
一定時間身体を縮ませる呪いかけといた筈なのに、何故かちょっと効力が変化しておっての。」
「(ちょっと………だと?」
「(ちょっとちょっと、ほんのちょっと。
時間が経つにつれ、徐々に体が退化していく様になっただけじゃし。」
「(おい、早くその呪いを解け。
それってつまり身体が更に縮むって事だろ。」
「(……本当に良いのか? 呪いを解いてしまっても。」
うん?
「(どういう事だ?」
「(いやだってお主はロリコンじゃし、小さい方が良いんじゃないかの?」
「(……あのさぁ、何で俺ロリコンになってるんだ?
一度もそんな事言ってないんだが。」
「(神様の勘。」
山勘より当てにならないんだね。
「(……まぁお主が別に良いなら解いてやるかのぅ。
ほれ、これ食ってみ。」
「(ん? って何時の間に……。」
俺の隣にキノコが置かれたんだ?
「(これぞ神のt
「(あっそれもう良いんで。」
「(あっはい。」
神の力ってすげーとか言って欲しいのか?
「(で? このキノコをどうしろと?」
「(食ってみ、それで直る。」
こんな赤色で、かつ水玉模様の、毒にしか見えないキノコを食えと?
「(嫌だ、食べたくない。」
「(だが食わせる。(ピョン」
うわっ!?キノコが跳ねた!?
「(んぐっ!?」
顔目掛けて飛んできたから、思わず口に入れてしまったじゃないかこの野郎!
…………ん? 何か身体が熱い……?
「(ポンッ!」
うおっ、けむっ。
「(そして3分間待ったのがこちらです。」
「(待ってません。」
……って、おお? おおお!?
「おおーーーっ!?」
凄い!
成長した!
美少女から美人に進化した!
俺の好みにクリーンヒットした!
「(これで良いじゃろう?」
「(いい!凄くいい!」
「(それはなにより。」
「(…………でも礼は言わないぞ。」
「(まぁわしのミスじゃし、それはそうじゃろうな。」
そう、元はと言えばお前が悪いし。
でもこの身体創ったのはこいつだし。
±0だな。
「(ほんならわしは仕事終わったし、帰るわ。」
「(じゃーな。」
さーて、神様が天に帰って行った所で。
あの毒キノコを食べて変わった所を調べてみよう。
まず、身長が年相応まで伸びた。
これで合法ロリとは言われないだろう。
次に髪。
約1m程伸びた。
何故か前髪は余り変わらず、後ろ髪だけ。
……なんか頭が重くなった気がしなくもない。
と言うか長すぎる気がする。
貞子出来るし。
でも、この身体にはこの長さが合っている気がするんだよなぁ。
だから今は切らなくて良いかなと思う。
「(…………たたたたたたた」
「お。」
あれはミーちゃんじゃないか。
にしても…………
「走るの速………。」
何であんな全速力で駆け回ってるんだろうか。
周囲の人の雰囲気的に、そこまで急いで情報収集する必要は無いと思うんだけど。
……あ、こっち向かって来た。
「(たたたたたたたたたたたっっ、ざっざぁー」
「お帰りー。」
「た、ただ…いい……っげほっげほっ…!」
「……大丈夫?」
「はぁっはぁ……っやぁ誰っも、話っ、聞い、ってくれなっいしっ、人多っいし……。」
「はいはい水でも飲んで落ち着いて。」
「っつ、あ、がっとっ。……んくっごくっ。」
この水、実はさっきのと同じ要領で造ったやつだったりする。
……美味しいんかね、これ。
雑菌はある意味全く入ってないと思うから飲んでも健康上は大丈夫だと思って渡したけど。
……本当に大丈夫なんでしょうかね(人体実験。
「…………ふぅ、生き返ったーーっ!
この水、冷えてて美味しいね。」
……大丈夫そうですね。
しかも何か冷えてるらしい。
「………へぇ。」
…………確かに、飲もうと思って造ると若干冷えてるね、これ。
何? やろうと思えば熱湯とか造れるって事か?
便利だな、このスキル。
「…………ん? 何?」
何かさっきからずっとミーちゃんに凝視されてる。
「いや…………あなたは、誰?」
「ああ、そういう事ね。」
身体があるべき姿に戻ったんだから、
『誰だコイツ。』
になるでしょうね、それは。
「本が大好きなフールさんです。」
「………へ?」
「私は、ついこの前まで小さかった、あのフールです。」
「な………。」
「……『な』がどうしたの?」
「なっなんだってーー!!?」
「いやいやどういう反応なのよそれ。」
「なっなんだってーー!!!?」
「何故『!』を増やした。」
「なっなんだってーー!!?」
「減らせと言う訳じゃない。」
「なっなんd
「そろそろ話を進めようね。」
「……そうだね。」
流石にこれ以上は長い。
無理矢理にでも終わらせます。
「……でさ、何で大人になってるの?」
「えっとですね………。
簡単に言うと、私に罹っていた呪いが解けたから……かな?」
間違った事は言ってない。真実から要らない所を削ぎ取っただけ。
「何故疑問系?」
「ナンデダロウネ。」
「……ところで、私は何て呼んだら良いかな。
流石にちゃん付けは躊躇われるんだけど。」
「別に良いよ、今まで通りで。」
もう慣れたよ。
俺は変化に慣れるのは得意だぜ。
女言葉だってすぐ慣れるさ。
いやーん、うっふん。
「いやそれは……。」
「私自身が良いって言ってるんだから、ね?」
「……うんそうだね。
じゃあ今まで通りでいくね?」
「年上だからって敬語も無しだよ?」
「うんわかった。
ってそういえば私の方が年下だったね。忘れてた。」
まぁ……仕方ないね。
「でさ、あの騒ぎって何だったの?」
「っあ!そうだった!」
凄く気になってるんですよ、俺。
命に関わる事ですから。
「えっとね、簡単に言うと魔物が来たってだけなんだって。」
いやいや大変な事なんじゃない、それ。
あ、でも、そんなに急いでないって事は大丈夫って事か。
「でもね…………。」
……あ、やばい雰囲気だこれ。
「その魔物、凄い強いみたいなんだって。」
「…………どれくらい?」
「今分かってる情報では、<レベル8>なんだって。」
「………へ~。」
全く何も分からん。
強いのは、小か大か。
範囲も全く知らないし。
「…………反応軽くない? <8>だよ?」
「あーうん、そうだね。」
……そんなに強いのか。
でも、王都に着いたからちょっと安心してる。
一国の首都であるここなら、防衛も強固だろうし。
それにあんな全身筋肉野郎共があれだけ居るんだし。
「魔物がどれだけ強くても、ちゃんと誰かが倒してくれるよ。
ほら、あそこら辺にいるマッチョな人たちとかさ。」
「……あの人たち、市民誘導部隊だよ?」
「…………ええ?」
え? あの筋肉何の為に付いてるんだ?
あれは只のプロテインか?
「今討伐に向かってる部隊は、冒険者5人、軍の精鋭部隊20人だって。
多分倒せるだろうって話らしいよ?」
多分かよ。
たった25人かよ。
「そんなに少なくて良いのかな? 強いんでしょ?その魔物。」
「何か、強すぎて、大人数で行っても戦いの邪魔なだけなんだって。」
軍隊強いって言ってたじゃん。
今こそ軍の洗練された団体行動の出番じゃないの?
「そう言えばさ、フールちゃんって冒険者じゃないの?もしかして。」
「……言うなら、無職の身一つ放浪人、かな?」
「なっなんだってーーっ!!」
別に冒険者らしい事した訳でも無いのに、何でそう思われてたんだろうか。
まさか俺から冒険者オーラが…………!
…出てる訳無いか。
「特に何も起きないと言ったな。あれは嘘だ。」
「うわあああああ(自演。」
(2014;05/22改稿)




