第1話:死とは、することが無くて暇だ、と言うこと。
一応タイトル回収までは絶対するつもり。
内容は期待しちゃ駄目。
=2671字=
いやー、人って呆気無く死ぬモンなんですねー。
気付いた時にはもう死んでましたよ。
………自分が死んだと言う事が分かる理由、知りたいかい?
まぁ簡単な話だ。
俺の今居る場所を知れば誰だってすぐ分かる。
一面が白。
遠くは霞んで見えない。
太陽が見当たらないのに日中の様な日差し。
そして何より、自分の影が無い。
あと服も無い。真っ裸。
完全に天国っしょ。テンプレっしょ。
テンプレ繋がりで、きっと神的なのが何時の間にか現れるんでしょうよ。
気長に待ちますか。
神様は時間の概念が違うからね、出て来るのに時間掛かるかも知れないからね。
__________
腹時計で30分経過。
出来るだけ早く来て欲しい。
景色も何も無いから、眺めててもあんまり面白くないし。
音も無いし。
別に喋れないとかそう言うのではなく。
自然の音が無いと言う意味で。
呼ぶなら呼ぶで暇つぶし位用意しててもイイじゃないか。
__________
更に腹時計で30分経過。
あー暇だー、やる事ねー、服もねー、俺は裸族じゃねー。
「ひぃぃぃまぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「わーーーしーーーもーーーじゃーーーーー!!」
うわあっ!? 何だ急にハモるんじゃない!
…て言うが誰だ?
「いやーすまんな。暇で暇で。」
そうか、あんたも暇を持て余してたのか。
………って、この人が神じゃないか? 服が古代ローマだし(偏見。
「そうじゃな、お前からしたら、わしは神じゃな。」
テンプレとかもう信じられないー! てなってた。
タイミング狙ってたんじゃないか、この神。
ていうか、一時間何もせずに居るとか何の拷問だよ。
良かった良かった、神も来たし、これでもう大丈夫だろう。
「ん? まだここから出すとか全く言ってないぞ?」
…………は?
「とりあえず質問はわしの話を聞いてからにしてくれ。
わしにも予定表と言うのがあるのでな。」
「アッハイ。」
何で予定表作ってんだ、この神様は。
「質問は後じゃ。」
これも質問になるんか………
ていうか普通に頭の中読まれてるな。
「それも後でな。」
__________
そして話す事10分。
「---つまりあんたは、
『世界管理メンドクセー。
そんなん別に、わしがしなくてもイージャンカー。
ヨーシ、ガンバレ部下どもー。
わしは寝てるわー。』
…………であってるな?」
「そうそう。仕事放棄したら暇になった。」
仕事してれば別に暇にもならんだろうに。
馬鹿なんじゃないか、この神。
「馬鹿とか、言われたの初めてだわ。
やはり、会話は楽しいものじゃな。」
…………
「…………なあ。」
「何じゃ。」
「お前って今まで何してたんだ?」
「特に何も。」
こいつ…………ホントに何もする事が無いのか。
「いや何か誤解してる様じゃから言うが、別に何もしてなかった訳じゃないぞ?
でもそんな楽しくないんじゃよなぁ。
わしに出来る事がどれだけ在るか試していくだけじゃし。
思い付く事大抵出来るし。まぁやり方が分からんかったりするんじゃがな。」
何だ心配して損した。
する事あるならさっきの俺よりマシじゃんか。
「暇なモンは暇なんじゃ。」
「じゃあ部下と喋っときゃ良いじゃんか。」
「いやーダメダメ。
部下創ったのは、勿論わしなんじゃがな。
やるなら最高品質、つまりわしに似せて創った訳よ。
そしたらそいつ等、考えてる同じで、しかも脳内読めるんだわ。
会話なんて全く楽しくない訳よ。」
「じゃあ頭ん中読まなきゃ良いじゃねーか。」
「成程その手があったか。」
「おい。」
やっぱ馬鹿だな、こいつ。
全知全能の神なんて、やっぱりいないんだな。
「んで、俺は何をしたら、このよく分からない空間から出られるんだ?」
「そうじゃな………とりあえず三日くらいの間、わしの話し相手になってくれ。
その間に、お主の記憶の中から様々な人格のデータと、知識の一部をコピーするから。
それ使って、新しい部下創るから。」
何それ怖いんだけど。
「大丈夫じゃ。知識と言っても最小限だけ、お主の人格はコピーしない。」
「………まぁそれなら。
あと、会話を楽しみたいなら普段から他人の頭読まない方が良いぞ。」
「それもそうじゃな。」
神の威厳もくそもねぇ。
「………何か悪口を言われてる気がするが…。
脳内読めないのは不便じゃなぁ…。」
「何時か慣れるだろ、我慢しろ。」
「そうじゃな。」
ところで
「俺は一体今何処にいるんだ?」
「………この空間に名前、あったかのぅ?」
「無いんだ。天国とか天界とかそう言うのだと思ってた。」
「まぁ意味的には間違っておらんがな。
………これからは天界とでも呼ぶとするか。
お主が居た世界と、これからお主が行く世界との区別にも使えるしな。」
………ん?
「俺は他の世界に転生するのか?」
「そうじゃよ?」
「…何で? 出来れば元居た世界の方が俺は良いんだが。」
異世界だと、生活基盤を1から作らないといけなくなるし。
「それは無理じゃ、残念ながら。
お主はあの世界で一度死んでいる。
死んでから復活出来る世界は、基本的に無い。
常道の転生なら、魂を完全にリセットしてから行うから、何処の世界に飛ばしても問題無いのじゃが。
お主の転生は、今の魂を、死んでしまった本体の代替となる素体に付与する系統じゃから、同じ世界じゃと復活に分類されてしまう。
復活が駄目な理由としては、その世界の物理的に不可能な現象を起こす事は、その世界を破滅に導くからじゃ。
一つの世界が自然的でない崩壊が起こると、周囲の世界との均衡が崩れ、各地で超常現象等として現れる。
それが連鎖的に発生する可能性もゼロではない。
…と言うのがわしの計算じゃ。」
「………つまり?」
「お主を元居た世界に戻すと、部下達だけじゃ対処しきれなくて、わしの仕事になるから面倒臭い。」
「おいこら。」
「オットクチガスベッタ。
…………とは言え、相当危険なのは本当じゃぞ?
十中八九、お主が居た世界は消滅するぞ?」
…じゃあ仕方ないか。
「あとな、お主にはお礼として、何か能力をやりたいのじゃよ。
そうするとあの世界では何かと不便でな。」
確かに、超能力とかあっても、あの世界じゃ盛大には使えないだろうな。
目立ちたいなら別だけど。
「OK分かった。
で、あんたはどんな会話がしたいんだ?
俺は何を話せば良い?」
「そうじゃなぁ、別に何でも良いんじゃが…。
……ふむ、初めはとりあえず、お主自身の話からにしないか?」
「りょーかい。まだ名前も言ってないしな。
ふふ、聞いて驚くなよ。俺の人生の充実さを聞いてなぁ!」
「あ、うん。」
………
「……ちょっとは突っ込みとか入れよう、な?
何か一人芝居みたいで恥ずかしから…。」
「……やっぱり脳内読めんのは不便じゃ…。
全く振りが分からんかったぞ…。」
こんなのを読んでくれて感謝しかありません
(2014;04/27改稿2)