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領地運営

そもそもサッカー馬鹿に領地運営なんてできるはずがない。

そう思っていた。

この事を都昆に漏らすと。


「なにおっしゃってるんですか。

旦那様は賢く気配りも蹴鞠も上手い。

それに比べて領地経営なんて、

容易いものだと私は思いますよ」

と彼女は言った。


さすがに、お世辞だと思ったが、

念のために皆に聞いてみた。

すると皆賢いという評価をくれた。


そうか、

異世界のさらに歴史や文化的に進んだ国から来たものであれば、

それだけで基本的にチート的な能力があるんだ。

そう気が付いた。


であれば、領地運営も上手くいくかもしれない。

そう思った。


俺はひとまず、

蹴鞠に関係のある事業を立ち上げようと思った。

貴族のものである蹴鞠を平民たちにもできるように、用具を開発しようと思ったのだ。


まず目をつけたのは鞠だった。

こちらの世界の鞠は鹿の皮でできていた。

そこで猟師から鹿の皮を積極的に買い取ることにした。

その課程で実は鹿の肉があまり活用されていない事を知る。


この世界は交通網が発達しておらず、冷蔵技術もない。

すると鹿の肉は干し肉くらいにしかならず、干し肉と言っても、

塩が高価なため、1週間ほどで、ほとんどが廃棄処分になっていた。


そこで俺は都昆の産みの親に依頼し、昆布以外に塩も取引させた。

そして、この往復の便の積み荷に、鹿の干し肉を加えて、海の恵みと山の恵みの流通網を構築させた。


鹿革は鞠以外にも、乗馬用の道具などにも姿を変えた。


猟師と言えば、ほそぼそと生活するものという印象だったが、稼げる仕事になった。


それとは別で……、


都昆が作った昆布巻きが家族の間で話題になった。

評価されたのは見た目と旨さだった。

さすが昆布売りの娘。

昆布の使い方は一流だった。


俺はこれをなにかに使えないかと考えた。

俺は都昆の実家に話しを聞きに行った。

すると同じ昆布で、形や艶の悪いものは安くなったりとか、廃棄処分になるという。


俺は都昆に相談をして、

「この形や艶の悪い昆布で、お土産用の昆布巻きはできないか」

と尋ねた。

すると彼女はこう言った。

「お土産用であれば、昆布と虫の佃煮にすればいかがですか?

それであれば、昆布の形も虫の形も無視できますから」

と言った。


俺はさっそく試作品を作るように依頼した。


3時間ほどして都昆は試作品を作ってきた。

「うまいがなにかひと味足りない」

と俺は言った。


ちょうどそこにいた谷茶が、

「それであれば、胡麻を入れると良いでしょう。誤魔化すともいいますし」

と言った。


「それは美味しそう」

と都昆はさっそく胡麻をあえた。


俺は一口食する。

「これは美味い。この虫が海老のような風味を出しており、昆布との相性がいい。それを美味くまとめているのがこの胡麻だ」

と俺は言った。


都昆も谷茶も、味に満足した様子だった。


「しかしこのお土産を何にいれようか」

と俺は言った。


「竹の皮でしょうか……」

と都昆は言った。


「もっとお土産物として雅なもの」

と俺は言った。


谷茶の目がきらりと光った。


「雅なものであれば、焼き物を作るのはいかがでしょうか。例えば鞠を模したような器に入れる」

と谷茶は言った。


「谷茶。それは素敵だわ」

と都昆は言った。


なるほど女子受けはするか。

これ重要だな。


「しかしどこで焼き物を作る……」

と俺は言った。


そこにたまたま通りかかった猿彦と目が合う。


「猿彦。焼き物作れるところ知らないか?」

と俺は尋ねた。


「あぁそれなら知り合いがいるぞ。なんか話聞いてみようか」

と猿彦は言った。


「頼む。都昆も谷茶もついてきてくれ」

と俺は言った。

二人ともうなづき、猿彦の知り合いに会いに行くことにした。


知り合いの家は屋敷から歩いて1時間程の山の中にあった。


「おう。元気か折戸」

と猿彦は言った。


「なんだ猿か」

と折戸は言った。


「なんだはねぇだろう。まぁいい今日はうちの大将を連れてきた。焼き物を作れるところを探しているんだってさ」

と猿彦は言った。


「あぁあんたが有名な蹴鞠の大将か。

で……、どんな焼き物だ」

と折戸は言った。


「蹴鞠の形をした容器だ。これを入れる。よかったら食べてみてくれ」

と俺は試作品を渡した。


折戸は心配げに一口食べる。


「こいつはたまげた。これは美味い。これの容器か……。

水分があるでな、素焼きはマズかろう。じゃあ釉薬をつけて。

形は蹴鞠だな。

下地は白として……

色とか柄はどうする?」

と折戸は言った。


「そうだな。どんな物でもできるのか?」

と俺は尋ねた。


「もちろんだと言いたいところだが、ワシの腕でできる範囲だな」

と折戸は言った。


「どんな柄が良いと思う」

と俺は都昆と谷茶の方を見る。


二人とも考えている。

「あのどんな色を付けても値段は変わらないものなのでしょうか」

と都昆は言った。


「手に入りにくい色なら高いな。青とかなら流通が多いから安く入る。あとは色数が増えると手間賃が高くなる」

と折戸は言った。


「だったら、いっそのこと。蹴鞠の形で白地に青で花とか描けばいいんじゃないか」

と猿彦は言った。



「それはキレイかも」

と都昆は言った。


「もし可能なら、春夏秋冬の季節ごとに容器の柄を変えるのはどうでしょうか」

と谷茶は言った。


「それは素敵」

と都昆は言った。


「それは可能か?」

と俺は尋ねた。


「可能だよ。多少めんどくさくはあるが、ずっと同じ柄を描くのもあきるでの。

逆にいいかもしれねぇ」

と折戸は言った。


「春夏秋冬なら何の柄がいい?」

と俺は尋ねた。


「春なら桜」

と都昆は言った。


「夏なら朝顔ですか」

と谷茶は言った。


「秋なら芋かな」

と猿彦は言った。


「いや芋はないだろう」

と俺は言った。


都昆と谷茶はクスクス笑っている。


「じゃあ大将は何が良いってんだ」

と猿彦は言った。


「栗かな」

と俺は言った。


「味はほとんど一緒じゃねぇか」

と猿彦は言った。


都昆と谷茶は噴き出して笑いだした。


「じゃあ十五夜ってことでウサギとかは」

と俺は言った。


都昆と谷茶はうなづいた。


「ウサギはいいよな。うん凄くいい」

と猿彦は言った。


「冬はどうする?」

と折戸は言った。


皆、腕を組んで考え込んでる。


「福寿草はどうだ」

と折戸は言った。


都昆と谷茶はうなづいた。


「そうだな。福寿草は縁起がいいから。それにしよう」

と俺は言った。


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