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13/15

試作品

「まずアンタに頼みたいことはこの工房で作った武器の試運転だ。

 ほんとはアタシたちでやった方がいいんだろうがいかんせん時間が無い。アタシたちは最近リアルの仕事の繁忙期でな...」

「ふむ、なるほど。で、どんなものを使うんだい?」

「それは工房についてから話す」

そう言いつつナルミヤが進んでいったところには黒色の重厚な両開きの扉があった。

扉の表面にはいくつかの魔術陣が刻まれており大きめの南京錠と鎖で施錠されている。


「かなり厳重だな!ところでこの魔術陣はどんな効果を持っているんだい?」

「えっとそれは確か侵入者防止のものだったと思う。確か弱目のものだったから触っても大丈夫だと思う。」

「へぇー。じゃあ一回触ってみよう。」


 そして触った瞬間、指先から伝わる300アンペアの電流がロゼの全身を走りぬけ、脳がカリカリに焼け焦げる音を聞きながら、ロゼは死んだ。



いやー、さっきは酷い目にあった。

まさか触った瞬間いきなり死ぬとは流石に思わなかった。

けれどもそれはそれで得難き体験だったな!

そう思いつつ工房に戻ってくると、グレゴールとシエンが正座させられていてその前でナルミヤが仁王立ちしていた。

「おい!誰がこんなに強化しろと言った!アタシは痺れて動けなくなるくらいにしろって言っただろうが!!!」

「でもそれじゃ足りないと思って...」

「それでもだ!いくらなんでも黒焦げになって死ぬくらいにするやつがあるか!!!主犯はどっちだ!」


 同時にザムザとシエンが互いを指さした。

 ナルミヤの額には青筋が浮き上がっている。

「お前ら!!!いい加減にしろ!一体これで何回め「「27回」」どうでもいいわ!!」

「苦労してるね〜」

「ああ、ロゼ帰ってきてくれたのか。今回はうちの威力狂どもがほんっと..」

 ナルミヤは頭痛を堪えるかのように頭を抑え始めた。


「大丈夫かい?」

「いんや、全く。痛覚なしにしていたとしても精神からくる頭痛は抑えきれないんだ。」

「ナルミヤ、大丈夫?一回ログアウトしたら?」

「お前のせいなんだよシエン!! はあ、もういいとっとと工房に入ろう。これ以上この会話を続けたら気が狂う」


そうして南京錠と魔術陣を解除して入った先には大体イメージ通りの工房が広がっていた。

そこらじゅうに何かしらの道具が置いてあり、奥には炉がある。

手前の壁にはいくつかの武器が立てかけられていた。

「とりあえずロゼに使って欲しいものを紹介するぞ。」

「その前に一つ聞いていい?」

「何だ?」

「何で此処はこんなに厳重に入り口が施錠されてんの?南京錠はまだわかるけど魔術陣は必要ないのでは?」

「あー、それには小川よりも浅く、丘よりも低い理由があってだな。」

それは果たしてまともな理由と言えるのだろうか、少なくとも私は嫌な予感がする。


「まず第一の理由はあの阿呆二人組が散々防御を強化したからだ。」

「あぁ、なるほど。ちなみに初めはどんな感じだったの?」

「普通の木の扉だな。」

変わりすぎでは?普通の木の扉が金属製の南京錠と感電死トラップ付きに変わるとはなかなかの大出世だな。

「まずあのふたりが「これだと脆すぎる」とか言い出してな...」


ナルミヤが虚空を見つめながら語ってくれたところによると

①二人が「これではセキュリティが不安だ」とか言い出して戸の内側に(かんぬき)をつけることになった。

           ↓それから四日後

②二人が「木のドアでは火炎瓶一発であっさりだ」と言って業者に扉に耐火の魔術を施してもらった。(なお料金はナルミヤ持ち)     

           ↓それから一週間後

 ③二人が武器の装飾のデザインについて揉めて、そこから互いに武器を持ち出した殺し合いに発展。扉は一刀両断された。切れたナルミヤは扉を鉄製、それも衝撃減衰の魔術が付与されたものを購入。

           ↓それから三日後

 ④扉が厳重になって何かあると思われたせいか泥棒が侵入。グレゴールの提案によって誰も中にいない時は扉を鎖と南京錠で施錠することにする。なお、この時南京錠のピッキング対策に鍵穴に針金を突っ込むと感電するようにシエンが特別性の南京錠を鋳造。

 しかしその日報告を忘れてログアウトして寝てしまい、翌朝話すはずが寝坊して急いで会社にいったのでナルミヤとグレゴールにこのことは伝わっていなかった

           ↓翌日

⑤鍵で南京錠を開けようしたナルミヤが感電死。どうやら鍵も針金の一種と見做された模様。

怒り狂ったナルミヤによって鍵は破壊された。ただその後、グレゴールによって扉に不用意に触れたものに対して電撃を与える魔術が施された。

           ↓それから二週間後

⑥シエンとグレゴールが共謀して扉のトラップを超強化。私が引っかかる。


ということらしい。

うん...大丈夫かこの工房?!?

いくら何でもナルミヤが不憫すぎる。

約一ヶ月の間に6回、頻度にして五日に一回で何かしらのトラブルが起きている。

こりゃ頭痛も感じるわ。

「ナルミヤ...苦労していたんだな..」

「その目はやめてくれ、なんかこれまでの苦労がまた蘇ってきそうだ」

「おっと、すまんね。ところで第二の理由は?」

「ああそれは単純だ、理由はうちの店が他の店から嫌がらせを受けているからだ」

「嫌がらせ?」

「ああ、そもそも工房はこの町では鍛治組合とやらに参加するのが暗黙の了解となっている。

だが、この鍛治組合がなかなかの曲者でな。鍛治組合は市場全体の平均価格の調整や商品の価格や生産数量などを共同で取り決めている。リアルでいうところのカルテルに近い。

そのせいでこの街の武器類は奴らの独占市場だ。


 しかしながら我らが煙霧工房は工房長シエンの方針によりそのようなものには参加しない!

そこで奴らの取り決めた価格や生産数量を無視して売りまくり、奴らに大損害を与えてやった!!

だがそのせいで見事にブラックリストに載ってな、連日雇われのチンピラやプレイヤーが嫌がらせに来るわけだ。」

「なるほど、ちなみにそのチンピラやプレイヤーはどうしたんだ?」

「丁重に病院に送ってやった」

その時のことを思い出したのかナルミヤは見開いた目で愉快そうに笑っている。

正直、結構怖い。


「まあ、うちが恨まれている原因は他にもあるんだけどな。」

「えっとそれは?」

「うちが煙を付近に撒き散らしていたからだな。

 うちはかなり特殊な製法を使っていてな、その過程で煙が大量に発生するんでそれを付近に振りまいていただけだ。

そのせいで何人か路頭に迷ったことだろうが、奴らはあの憎らしき鍛治組合所属の奴らだ、知ったことか!

 彼奴等は金儲けのために武器の供給を減らして値段を釣り上げ、果ては全体的に質を落として材料費を水増ししようとする輩どもだ。一匹残らずこの世から駆逐して...」

半分くらいは自業自得だと思うが気のせいだろう。


ナルミヤはまだ怨嗟の声を呟き続けている。

「貴様らのような人間がいるからこの世から犯罪がなくならんのだ。よくも常日頃から私の頭痛の種になりおって...」

この世全ての犯罪とナルミヤの日頃のストレスの責任を押し付けられる鍛治組合の面々に合掌。

とりあえず話を試作品の方に戻そう。

でも今のナルミヤに話しかけると殺されそうだしシエンに聞くか。


「おーい、シエン私が使う武器の紹介を頼む!!」

「了解。まず使って欲しい武器はふたつ。」

そう言ってシエンとグレゴールが武器を引っ張り出してきた。

「まず紹介するのはこれ」

そう言って差し出してきたのはシンプルな鍔と柄の全長70cm程の肉厚で幅広な両刃の剣、古代ローマで用いられたグラディウスという剣に酷似したものだった。

「とりあえずこれには今の所何の機能もつけていない。とにかく切れ味をよくして、切断系のスキルをいくつか付与したから大抵のものは切断できる。」

「おお、すげえ。」

この世界においての初めてのまともな武器だ。指を刃に当てて少し滑らせると触れた部分に赤い線が引かれた。

切れ味は十分!

「これ鑑定してみてもいい?」

「どうぞどうぞ」


————————————

試作品(プロトタイプ)No.15ー切断特化スペシャライズ・イン・カッティング

付与スキル:《切断力増加Lv5》《肉断Lv3》《骨斬Lv3》《斬首Lv1》

耐久値:600/600

特性:無し

説明:切断を目的として製作された剣。外観はグラディウスに酷似している。かなりの切れ味と人体を切り裂くのに十分な重量を誇る。

   ただし刃の部分は比較的薄く、刃毀れしやすい。

————————————


なんかすっごいスキルついてる。

なになに《肉断》、《骨斬》、《斬首》...物騒!

スキルの効果も確認しておこう。


《肉断》肉を切断する時、切れ味が上昇。また、肉を切断するときに相手に与えるダメージが[スキルレベル]×10%

増加する。


《骨斬》骨を切断するとき切れ味が上昇。また、骨を切る際に骨の触れている部分を脆弱化させる。スキルレベルが高いほど脆くなる。


《斬首》首を切断する時、切れ味が上昇。また、首を切る際に脊椎を脆弱化させ、与えるダメージが[スキルレベル]×10%増加する。


《切断力強化》スキルレベルが高ければ高いほど切れ味が良くなるが、耐久値の最大値が減少する。


切る気満々!これ以上言うことなし!

とにかく切断するためのスキルが積まれている。

あれ、そういえばスキルってどうやって付与するんだ?


「おーい、シエン。スキルってどうやって付与するの?」

「そっちは私の担当じゃなくてグレゴールの方」

「ええ、スキルの付与は僕が担当しています。スキルの付与には基本的なものだと主にに三つの方法があります。


 まず一つ目は『自分の持っているまたは他者の持っているスキルを同意の元で付与する方法』です。

これは一見すると最も楽そうに見えますがそうでもありません。

 理由はまず第一に生産職は戦闘系のスキルをあまり持っていません。それと付与する際、付与するスキルは付与するスキルのスキルレベルに応じて熟練度が減少します。

これがなかなか厄介で2レベル分のスキルを付与して持っていかれる熟練度が2•5レベル分くらいなので収支としてはマイナスです。

さらに一回付与したスキルはスキルレベルを後で上げたり下げることができないので、熟練度を取り返すこともできません。(後でスキルを追加することはできるんですけどね。)

あと素材によってどのくらいのスキルが付与できるかといったキャパシティが定められています。このキャパシティを超過すると耐久値の減少や性能の低下、下手すると破損などが発生します。(さらに悪いことだと爆発します、僕たちも度々これでリスポーン送りになっています)


 次に二つ目、『完全ランダムなスキル付与』です。

 1番目もなかなか癖がありますがこれには遠く及びません。このやり方は、モンスターの素材を使って武器を作成した際に確率でその魔物のスキルがつくことがあるのでこれを狙ってひたすら武器の作成を繰り返す方法です。

誰が呼んだか別名『武器ガチャ』です。

 まあ、付与できたらラッキーくらいです。普通はこれと1番目を併用することが多いですね。

ああ、でもモンスターの素材を多く使えば確率は上がりますし、元が強力なモンスターならかなりの確率で付与されますね。

そのため聞いたところではこの方法を専門的に行う所もあるそうですよ。


 最後に三番目は『二番目ほどではないランダムなスキル付与』です。

 実は付与するスキルは指定することができます。

じゃあなぜこれを使わないのかって??これはっきりいってかなり使いづらいです。

指定にはスキル名を知っている必要があり、ユニークスキルは対象外。

 また、一部のスキルも対象外です。例えば魔物の固有スキルや職業スキルですね。

そして指定には大量の素材を必要とし、追加でいくつかのランダムなスキルの熟練度が徴収されます。それで目的のスキルが付与されたらいいのですがまあまあの確率で違うスキルが付与され、そしてスキルレベルも支払った熟練度±3レベルくらいの振れ幅が生じます。

一応支払った熟練度以上のスキルがつくことも結構ありますが熟練度を使うので乱発できません。

今さっきロゼさんに渡した剣はこれと一番目を使ったものです。


とまあ、基本的なものはこんなものです。

お役に立てましたでしょうか?」

「とても参考になったよ、ありがとう。」

「いえいえ、今後もわからないことがあったらぜひ聞いてください。」

「わかった、今後ともよろしく頼むよ。」

「はい!」


「次の武器はこれ。」

そういってシエンが取り出してきたのは分厚い片刃の刃渡90センチくらいの分厚い曲刀だった。

刀身は斧のような独特な形をしており、柄が特徴的なフック状になっている。

そして最も大きな特徴は刀身の背の部分には細目のパイプが溶接されており、それは刀身の根元へとつながっている。

さらにフック状の柄の内側には銃のトリガーのようなものがつけられている。


「What is this?」

「これはファルカータって言う剣をモデルに作った剣。」

「で、背のパイプは?」

「この剣には刀身の根元に加熱機構が仕込んである、魔力を流せば刀身を赤熱化するまで加熱してくれる。背についているパイプは排気管。」

「柄のトリガーは?」

「加熱状態でトリガーを引くとパイプの先端から熱された高温の蒸気を噴射する。加熱機構と水魔術陣の合わせ技!

ただこれを使うと一時的に刀身の温度が下がるから注意して。」

なるほど、なかなか面白そうな武器だ、ちょっと鑑定してみよう。

————————————

試作補品プロトタイプNo10ー溶断(ヒュージング)

付与スキル:《切断力増加Lv2》

耐久値:800/800

特性:無し

説明:熱による溶断を目的として製作された剣。外観はファルカータに酷似している。あまり鋭くはないが、人の体を切り裂くのに必要な最低限の切れ味と十分過ぎるほどの重量を持つ。

   柄の部分には刀身の加熱機構が存在しており、水を発生させる魔術陣を併用して蒸気を噴射することもできる

————————————


うん、あれ?加熱機構や水魔術陣は付与されたスキルなのではないのか?

少し聞いてみよう。

「シエン、加熱機構や水魔術陣は付与スキルには入らないのかい?」

「うん、あくまで加熱機構は埋め込んであるだけだから。

 多分加熱機構の方を鑑定したら付与スキルとして出ると思うけど、普通に鑑定すると外側の剣の部分のみを鑑定しちゃうから見えないんだと思う。」

「なるほど、納得。」


とりあえず早速使用感を試してみよう。

いやぁ、年甲斐もなくワクワクするなぁ!!

「シエン、ちょっと試し切りに行ってくる。」

「はーい、行ってらっしゃい。あ、そうだどこに行くの。」

「多分街の外の森かなぁ。」

「そろそろ暗くなってくる頃だから一回明るくなるまでログアウトしたら?」

「いや、もう少し続けるよ。とりあえずもっと街を散策してみようと思う。」

「じゃあ、フレンド申請送っとくね。何かあったらフレンドチャットで連絡お願い。」

「了解!」

送られてきたフレンド申請を承認してっと。よし、OK。


それでは冒険に出発だ!そう勇んで店体でたところで声をかけられた。

「おい、アンタ。ちょっとそこで話せるか?」

声のした方を振り向くとそこのはガラの悪い3人組の男が立っていた。

はぁ、今日はなんてついてないんだ。

男たちに従って路地裏に私は入って行った。


「おい、オマエ。あの店で買い物したか?」

「確かにしたがそれがどうしたんだ?」

「あの店にはロクな噂がねえんだよ。あの店の店長は頭がおかしくて付近に店を無理やり潰したって町では評判だぜ。

 アンタもあんな店で買い物をはするもんじゃないぞ。ところであの店で買い物をしたっていったなぁ。」

「そういったがそれがどうした?」

「なあ、それちょっと俺らに渡してくれよ。あの店のものには何が仕込まれているかわからないからなぁ。俺らが責任持って預かってやるよ!」

男たちがニタニタした下卑た笑いを浮かべながらそんなことをのたまい始めた。

「ちなみに嫌だといったら?」

「アンタはすぐに渡したくなるだろうさ!あと預かるんだから少し金もくれよ!」

「はぁ、しょうがない」

次元ポーチに手を入れてソードステッキを取り出したがうっかり地面に落としてしまった。


ガチャン!!


その音源のソードステッキに男たちの視線が集中する。

...今だ!

その瞬間、先頭の男に接近し、同時に試作品No15(グラディウス)を取り出して横薙ぎに振るって喉笛を切り裂く!

「ガハァ!」

「「アニキ!!」」

試作品No15(長い、No15でいいや)はほとんど抵抗もなく一瞬で喉仏を切断した。さすがの切れ味だ。

血飛沫が舞い、後ろの男たちが飛び退く。

「カハッ、カハッ」

「アニキ、しっかりしてくだせい!」

「よくも兄貴を!!」

 一人が駆け寄って傷にポーションをかけ、一人が刃物を抜く。だがまあその傷ではもう間も無く死ぬだろう。

 ふぅ、助かった。今私が一番されたくないこと、それはなんだと思う?

答えは『二人を取り逃し増援や治安維持組織を呼ばれること』だ。

二人に同時に逃げられたら最後、仕留められるのはどちらか一人だけだ。そして増援ならまだ良いが、治安維持組織でも呼ばれた日には指名手配、投獄のいずれかが待ち構えているだろう。


さて残りの二人をさっさと仕留めようか。男が抜いたのは刃渡20センチほどの短剣。

右手でまっすぐ構えている。

今の私にはリーチの差があるものの、懐に潜られるとまずいな。

だが、よく見ると少し足が震えている、あまり場数は踏んでいないようだ。

一歩前に踏み出す、相手は一歩後ろに下がる。

よぅし、ならば...突撃あるのみ!!!

次元ポーチから取り出した投げナイフを投げつけ突撃!!

「ひいっ!」

どうしたどうしたそんなに怯えていたら...死ぬぞ。

男は迫ってくる投げナイフを咄嗟にしゃがんで避けたものの目をつぶってしまっている。やっぱり慣れていないな、どんな時であっても戦闘中に目を瞑るのは「私は弱い意気地無しです、どうか殺してください」といっているようなものだ。

「ひっ、いやだ、いやだ。助けt」

大声をあげそうだったので喉を切り裂いて静かにさせた。


さてこれで残すはあと一人...と思ったが二人か。

さっき切り裂いた二人から兄貴と呼ばれた男が立ち上がっていた。

「あの傷ならすぐ死ぬと思ったんだがね。」

「あいにくと、いいポーションを常日頃から用意していたんでな。よくも俺の部下殺してくれたなクソジジイ。ぶち殺してやる。」

「先に喧嘩を売ってきたのは君たちでは?私はそれを買っただけだよ。ハッハッハ」

「殺す!!」

そういって兄貴君は剣を抜いた。得物は腰に帯びていた刃渡80センチほどの直剣。

うーん今度は私の方がリーチが足りない。

得物をNo15(グラディウス)からNo10(ファルカータ)に切り替える。

これでリーチは私の方が勝っている。


そういえばもう一人はと見てみると路地の入り口に向かって走っている。

まずい!

増援を呼ばれるのはまずい。なんとか阻止しようと突っ込もうとするも

「おいおい、俺を忘れてもらちゃ困るぜ。」

ガキィン!!


ちっ、兄貴君が振るってきた剣を受け止める。意外と重い。

それにきちんと首を狙ってきた。どうやら他の二人とは違いしっかりと場数を踏んでいるようだ。

そうこうしている間にもう一人がついに路地から出ようとしたその瞬間。

「お届け物、代金は後払いでいいよ」

ゴッ!!

鈍い音と共にそいつの体が吹っ飛んだ。そして路地裏に下手人が入ってきた。

「シエン!」

「ロゼが変な奴らに絡まれていたから後を追ってきた。こっちは任せて。」

「くそっ、煙霧工房の奴らか!」

そのままもう一人とシエンが戦い始める。

さてこっちもとっとと終わらせよう。

ファルカータで兄貴君目掛けて突きをくりだすも、後退して回避される。

そこを逃さず前進!!

「プレゼントだ!」仕込み靴から刃物を出して脛を蹴り付ける。

「グゥッ!」

流石の兄貴君も仕込み靴は予期していなかったのか、綺麗に決まったな。

これで片足を負傷した兄貴君は素早い動きはできないだろう。


ドン!!

おっ、向こうのほうでも決着がつきそうだ。シエンは銀色の銛を振り回して相手を圧倒している。

するとシエンが急に銛を手元に戻して構え直した。

次の瞬間

ドッカァン!!!

大きな音と共に銛の先端が射出され相手の顔面を貫いた。どう見たって即死だ、南無。


さて兄貴君はどうしようか。「舐めるなよ!!」「うん?」

後ろを向くと剣を持った兄貴君が突っ込んでくる。

後ろの地面にはポーションの空き瓶がある、おそらくもう1本ポーション持ってたか。

まあいい、突っ込んできてくれるなら話が早い。

にしてもよくそんな稚拙な突進でこようと思ったな、腰が引けており少し下を向いている。

突進するときは相手と差し違える覚悟で前を見据え、柄頭に手を当てて相手の内蔵に押し込むという固い意志を持ってするのだ!!

そんなものは勇気の突進ではない、臆病さが混じった不純な突進だ!

ファルカータを横一文字に振るい相手の剣身に当てて切先の方向を変える。そしてそのまま相手を間合いに入れて...くらえ肘打ち!!

顔面に肘を叩き込んだが大怪我はしていない、せいぜい鼻血が出ているくらいだ。私も振り抜いた後だからかあまり力が入らなかった。反省反省!


「何か言い残すことは?」

「死ね!くそz」

兄貴君の遺言を聞こうとしたら礼儀をわきまえない罵詈雑言が飛んできたので首を切り裂いて黙らせた。倒れた兄貴君の首目掛けてグラディウスを振り下ろして首を切り落とす。

よし、これで戦いは終わった。あー、それにしても遺体はどうしようか?

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