人生には多くの出会いがある、そしてその中には必ず良い出会いがあるだろう。
さあさあ!探索開始だ!
第一目標である武器はバザーの西側にあり、食料、回復、素材などは南側にある。
そして私は今北側にいるので、右側に行ってそこから一周する感じで行けば両方行くことができそうだ。
Let's go!
◇◇◇◇◇◇〜少し歩いて〜
よし到着!
私が今欲しい武器は片手剣などの片手で扱える武器、次点に槍などの距離をとって戦える武器だ。
それらを探して探し始めたが...高い!!
刃が欠けたものや錆が浮いているものなどは二束三文で売られているが、きちんとしたものはやはりそれ相応の値段がする。
きちんとしたものを一本買うだけで予算の大半が吹っ飛ぶだろう。
どうしようか、他に買いたいものもあるしなぁ...
そう思い悩んでいると急に後ろから声をかけられた。
「すぅいまぁせん、お困りのぉようでぇすがどうかぁしましたかぁ。」
なんかすっごい滑舌が悪い。
恐る恐る振り返ると20代くらいの青年が立っていた。
だが目の焦点は合っておらず、どこか虚な眼をしている。
そして頭の上にはプレイヤーネームが表示されている。
「えっと..あなたのお名前は?」
「おぅっと!いいわスゥれていまぁした。僕はぁ『グレゴール』とぉ申しますぅ。以後ぉお見知り置きくださぁい。
それでぇ、話は戻おぉりますがぁ何か困っているようでぇすがぁ、いかぁがなさいましたぁかぁ?」
「ちょっと武器を買おうと思ったら意外と高くてね、予算の都合もあって少し悩んでいたんだ」
「なぁるほどぉ。たぁしかにそれはとぉっても悩ましぃいことですねぇ。
とぉころでぇ提案なのですぅが少しうちの店にぃきてはぁいただけないでしょぉうかぁ。
おそらぁく我々ならばあなたのそぉの悩みを解決できるぅと思いまぁす。」
渡りに船!
まさに願ってもないことだ。
「ありがたい、願ってもないことだ!」
「こちぃらこそぉ、普通の人はぁ僕が話しかけるぅとどこかにぃ行ってしまぁいますからねぇ」
◇◇◇◇◇◇〜そうして彼について歩くこと数分〜
彼はバザーから離れて街の北東部に歩いていく。
そうしてついたところは武器屋が軒を連ねる区画だった。
バザーとは違いしっかりとした商品がいくつも並んでいる(値段は高くなったけど)。
また多くの作業場があり、煙の匂いや鉄を打つ音が絶え間なく感じられる。
そのうちの一つに彼は入っていった。
それは武器屋と工房が併設されているこじんまりとしたところで看板には『煙霧工房』と書いてい
る。
彼の後を追って入るとそこには彼ともう一人煙管を咥えた目つきの悪い10代くらいの女の子がいた。
身長は150センチくらい、糸目で髪色は赤色。
そして45センチくらいのかなり長い煙管を咥えている。
煙管からは今も白煙が漂っておりそのせいか若干煙たい。
でも風通しは悪いが窓は開いておりこれ以上煙が溜まることは無くなっている。
「それでこの人が武器の試作品を使ってくれるって?」
「あぁ、違いまぁすぅ。とりぃあえずぅ武器が高くてぇ困っていらっしゃったのぉでぇ、連れてきた次第でぇす。」
「えーっと、こんにちは?私の名前はロゼ、ロゼ・ドリーマーだ。気軽にロゼと呼んでくれ。」
「ああ、アタシの名前はナルミヤ。よろしく。」
「ところで武器の値段についての悩みを解決してくれると聞いたけれど...?」
「あー、そのことなんだが、一つだけ条件があってな。
この契約書にサインしてもらう。いわゆる守秘義務ってやつだ。」
「少し内容を見せてもらえるかな?」
「そりゃ当然だ。はいよ」
ふむふむ...
内容としてはまず工房内で使用されている技術について口外しないこと。
これはまあ当然だ。
誰だって独自の技術の一つや二つくらいあるだろう。
次に工房から提供された武器の売却の禁止。
そりゃ渡したものを勝手に売られたくはないわな。
最後にこれが少し妙だ。
煙霧工房の従業員の身体的特徴をを口外しないこと。
なぜ身体的特徴のみ?
知られたくないというのなら情報を口外しないように言うだろう。
それにこの契約書には身体的特徴の定義が記載されていない。
そこの部分を一応聞いておくか。
「ナルミヤ、この部分の身体的特徴とやらはどこまでが対象だ?」
「えーっとその部分は確か..」
「僕がぁ変わってぇご説明ぃいたしまぁす。まぁず、従業ぅ員のぉ身体的特徴とぉはぁ外見のぉみでぇす。
性別やぁ身長といったことぉはご自由ぅにぃどうぞぉ。」
なるほど、それならば問題なさそうだ。
確認の結果、問題はなさそうなのでサインするとしよう。
「何か書くものをくれ。」
「ほらよ、ペン」
「ありがとう」
ロゼ・ドリーマーっと。よし、サイン完了。
「これで契約は済んだな、グレゴール!元の姿に戻ってくれて構わないぞ。」
「元の姿?」
「あーそれは...見た方が早い。」
するとグレゴールの体が突然ねじれ、伸び上がり始めた。
同時に皮膚が溶け始め皮膚の下からは真っ黒な下地が除く。
どんどん身長が伸びて2メートルくらいになってようやく変化が終わった。
そこには2メートルくらいの真っ黒の人型に目がついただけの存在が立っていた。
はっきりいって怖い。
下手なホラー映画よりも怖かったぞ!
「えーっとそれで元の姿というのはわかったが君は一体?」
「言っておりませんでしたが僕の種族は『影人族』です。この姿だと非常に怖がられるので普段は他者の影に入っているか、あのように人族に擬態しております。」
かなり滑舌が良くなっているがそれは擬態していたからだろうか?
「ああ、滑舌につい気になっていると思いますがあれは擬態が原因です。あれは体を液状化させて皮の中に詰め込んでいるようなものなのでかなり操作しにくいです。言うなれば死体のガワだけを動かしているような感じですね。」
「マジかよ!ホラゲーのクリーチャーでもなければそんなことしないぞ!人間に擬態できるこの姿の存在とか軽くホラーだぞ!」
「うーん、そんなことはないと思うんですけどね...」
「正直いうとアタシもそう思ってた。」
「ナルミヤ!?」
急に予想もしない方向からの一撃が飛んできた。
どうやらクリティカルヒットのようだ!
そのまま十分くらいみんなで取り止めのない話題でくっちゃべっていた。
初めての他プレイヤーとの出会い、どうなるかと思ったが意外と楽しそうだ。
そうして話していると奥から誰か出てきた。
「ナルミヤ、お客さん?」
「いんや。こいつはロゼ、例の試作品を使用してくれるかもしれん。」
「ほんと!?」
奥から出てきたのは身長はナルミヤとそう変わらない少女だった。
髪色は灰色でナルミヤと同じく45センチくらいのかなり長い煙管を携帯している。
ただこの子のは装飾が施されており、色も朱色と少し高そうだ。
「紹介するよ、こいつはシエン、うちの工房長だ」
「よろしく、ロゼ」
「こちらこそ、よろしく!ところでさっき言っていた例の試作品て何?」
「あっ。そのことについての話忘れてた。わりぃ。」
「まあこっちも話は楽しかったし、気にする必要はない。」
「ありがとうな、話を戻すがアンタに頼みたいことはこの工房でできた武器の試運転なんだ」
「試運転?」
「詳しいことは奥で話す。ついてきてくれ」
そう言ってナルミヤはカウンターの中に入って行った。
さてさて武器の試作品とは一体どんなものなのだろうか!




