表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

地獄界

設定は後から変える気満々です。

書き上げたいという一心です。

 赤黒い世界。

 命を感じない世界。

 ただ、痛みと苦しみが全身を駆けまわる。


 ああ、酷い気分だ。


 このままでは餓鬼界に行く前に魂が壊れてしまう。状況を整理して、すぐにでも行こう。動いていないと狂ってしまいそうだ。


 ここは地獄界。地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上から成る六道の最下層に位置する。

 次の世界に行くには、その世界の条件をクリアしなければいけない。

 そうしなければ、永遠に同じ世界を彷徨い続けることになるからだ。だからといって必ず次の世界に行く必要はないだが。

 しかし、この地獄界だけは別だ。あらゆる痛みと苦しみが自信を襲い、長い期間いれば自然と魂が壊れ、そして……


「最後には消滅してしまう」


 乾くのどから声を出し、今一度まわりを見渡してみる。

 本当に酷い世界だ。

 人っ子一人いない。が、その代わりに怪物が遠方からこっち目がけて突進してくる。

 くそ……今使える能力は何だ。目を閉じ、自分の魂に命じる。


【汝の魂の色を見せろ】


 そう命じると頭の中に自分の情報が入ってくる。


名前:レオニール

種族:人間

レベル:1

体力:120/120

攻撃:70

防御:50

敏捷:50

特殊能力;ランダムウォーカー、……、……、……


 なるほど。今使えるのはランダムウォーカーだけか。

 間違いない。これは詰んだ。

「ランダムで空間移動できる能力(ただし、効果範囲は10m以内)」ってなんの役に立つんだ。


 自分の状態を確認している間に、怪物はその大きさが分かる距離に近づいていた。体長は20m以上はあるだろうか。硬そうな赤色の鱗に包まれた体を捩らせながら向かってくる。この外見で四足歩行だから爬虫類だろうか。名前はトカゲでいいや。


 ああ、観察をする暇もないらしい。


 足元に落ちていた木の枝を拾い上げる。心許ない武器を持ってしまった。しかし、しょうがない。この地獄界には碌なものがないのだから。


「ゴガアアアアアアアアアアアッ!!」

 怪物の咆哮が荒野に響く。

 よく見ると、足の先には発達した鋭い爪がある。痛そうだ。食べれるかな。


 思考がおかしくなってきた。早くこいつを倒してしまおう。そして、そこら中で燃え盛った炎で炙って、こいつを食っちまおう。


「おらぁっ!!」

 勢いよく繰り出された木の枝はあっけなく折れた。

「グガ?」

 攻撃されたと思って身を固くしたトカゲは状況を理解したようだ。咆哮をまき散らして突進をしてきた。

「ゴオアアアアアア!!」

「おわっ!ランダムウォーカー!」

 とっさに能力を発動し、相手の攻撃を回避する。ただ、移動先は指定できないので、10m上空に飛ぼうが文句は言えない。


「うわああああああ!!」

 何かないかと体を触る。しかし、現状は着ているワンピース型の衣服しかない。

 もう一度飛ぶか? いや、何度やっても同じだ。

こいつを倒せないなら次の世界に行くことなんて到底できない。

半ば投げやりに拳を突き出し、トカゲの背中に降下する。


「どうにでもなれ! うおおおおおおお!!」

 トカゲの頭より小さい大きさの俺の体がトカゲの背中にぶつかる。ごつっと音がした。

 トカゲ、ダメージなし。俺、ダメージ大。

 攻撃を受けたトカゲは頭を左右に動かし、俺を振り落とそうとする。

普通なら絶好のチャンスだが攻撃する武器もないので、一度トカゲの背から飛び降りる。

着地し視線を後ろにやると、どうやらトカゲはまだ俺の姿を見失っているようだ。


【汝の魂の色を見せろ】

 トカゲから距離を取りながら魂に命じ、体力の欄を確認すると、体力:70/120となっていて50減ったようだ。

 俺弱すぎだろ! 勢い付けて攻撃した方がこれってどうなんだ!


 ……どうする。地獄界で死ねば、悪魔に魂を食われて完全に消滅する。

それだけは避けたい。

俺にはまだ、やることがある。


ない頭を振り絞り、打開策を探す。周りを見渡すが、あるのは地面に広がる水気のない土、干からびたような木、そして燃え盛る炎。

自分にあるのはこの身ひとつと『ランダムウォーカー』だけ。


 ん? 10m以内の空間にランダムで飛ぶ能力?

 なるほど……これしかなさそうだ。

 ひとつの打開策を思いついた俺は、手に持った折れた枝を地面に突き刺す。そして、何度もその枝を抜いては刺し、一心不乱に土を掘り起こす。


「ゴオアアアアアア!!」

「やばっ」


 俺の姿を見つけたトカゲが迫ってくる。

 急いで掘り起こした分の土を抱え込むようにワンピースの前部分にため込む。そして、覚悟を決めた俺はトカゲに正対し、能力を発動する。


「ランダムウォーカー!」


 本当は心の中で魂に命じるだけでいいが、声に出した方が気分が乗る。

 頭上、右、下、前方とトカゲの周りをランダムに飛び回る。そして、何度目かの空間移動で全身をヌチョっとした液体に包まれた。

――よし、あたりだ! いや、まあ、あたりでもないんだけど。


 そして抱えていた土をそこにばらまき、もう一度能力を発動する。移動した先はトカゲの顔の前だった。

「おわっ!」

 慌てて今度は能力を使わずに後方に走る。十分に距離を取りトカゲの方を見ると、体の異変に気付いたのか首をかしげていた。

俺だったらあんなに土食ったら、お腹いっぱいなんだがな。体がデカすぎてあれじゃ足りねぇってか。

「くそ!だったらもっとサービスしてやるよ!」


 走り出し、枝が突き刺さった地点に向かい、土を掘り起こす。ある程度、土の量が確保できると、能力を使い別の場所に移動し、また土を掘り起こす。

 今度は連続で土を運べるように、ストックを作っておく作戦だ。

 土の山を数十個ほど作ったところで攻撃を始める。


「うげぇ、またあいつの中に入るのか」


 腹に抱えた土とともに空間移動を繰り返す。

そして、何度目かの空間移動でヌチョ。


「よっし、次!」


 トカゲの体液を体にまとい、次の土の山まで走る。

そして、また土を抱え込み空間移動をする。

「土を抱える。ランダムウォーカー。体液ヌチョ。ランダムウォーカー。次の土山に走る」を数十回と繰り返した。ここまでやると、さすがに巨体のトカゲも苦しみもがいている。

 もう少しか。ふうっと息を大きく吸い込む。

「まだまだぁ!!」




「はあ、はあ、はあ……。やっと終わったか」

 体内を地獄の土で満たしたトカゲの横で体を大の字にして寝転ぶ。

【汝の魂の色を見せろ】

息を整えながら、自分のステイタスを確認する。


名前:レオニール

種族:人間

レベル:50

体力:5120/5120

攻撃:600

防御:700

敏捷:300

特殊能力;ランダムウォーカー、環境適応(渇き)、……、……、……


「おお! けっこう上がったな!」


 相手の命を奪うと、魂に刻まれた基礎能力や特殊能力を奪える。これはどの世界でも一緒だ。ただ、ここまで数値が増えるのは地獄界だけだ。


特殊能力の欄を確認すると、ひとつ項目が増えている。

環境適応:「どんな環境下でも水を必要としない」

なんだこれ、ずるっ! いや、ラッキーだな。ここでこれが得られたのは大きい。なにせここじゃ水場なんてどこにもなさそうだからな。


 ため息をつき現状を嘆く。

「はあ、まだまだ先は長いな。……とりあえずこいつ食うか」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ