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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔法世界エヴべディア短編

作者: Deus_ex_cancer

ほぼ初書きです。誤字脱字報告、感想、修正案、お待ちしてます。

「俺は日本から来た転生者だ!神に—」

 また、新しい患者だ。


 私は、王都特定精神魔法学病院で看護師をしている、マルデナ・トミートク、18歳だ。

 この病院で働くようになってからもう2年が経とうとしている。

 幼少期より精神魔法学に興味があった私は、理的魔法学校へ進み、学び、今ここにいるわけだ。


 そもそも精神魔法学とは何か、と気になっている者もいることだろう。


 精神魔法学というのは、理的魔法学の一つ、主に精神に作用する魔法と、精神に関する病の学問だ。

 精神魔法は単純に言ってしまえば、人の精神を操り、弄り回すことができる。

 そのため精神魔法は非常に危険性が高く、悪用されると一大事になるので、免許を取得することが必須となる。

 私は言ってしまえば天才であったため、僅か1年で取得、5年間を学びに使ったのだ。

 他の者ならばあと、2,3年はかかっていただろう。


 精神に関する病というのは、要は暗黒症や新兵病、人狼病のようなものだ。

 これらは、精神魔法の利用によりほぼ治すことができる。


 だが、この王都特定精神魔法病院で主に取り扱っている病は他の所と違っている。

 もちろん診察、簡易治療は受け付けているが、ここに先ほどの病名のような人間は入院できない。


 この病院が主に扱っているのはのは、幼児性二ホン記憶障害と、突発性二ホン記憶障害だ。

 このそれぞれを説明させてもらおう。


 幼児性二ホン記憶障害、これは名前の通り幼児に発生する。

 患者の共通点として、妙に賢い行動をとる、常識の理解が遅い、不可思議な知識、行動、それらすべてに含まれる「二ホン」という単語が挙げられる。

 これらのいくつかが当てはまると、幼児性二ホン記憶障害とみなされる。

 彼らは年齢に対して知能が高く、なんらかの知識や技術を持っているのだが、それらのほとんどが役に立たない。

 それらが妙に論理的に聞こえるような知識まで持ち合わせてしまっているため、常識を容易に教えることができず、学習が遅れたりしてしまうのだ。

 王都では毎年十数名の患者が発見されている。

 だが、未だに原因は分かっておらず、母体の食生活や環境が原因ではないかといわれている。


 突発性二ホン記憶障害は幼児性のものより厄介だ。

 ある日突然、記憶をすべて失い、幼児性の物とほぼ同じ症状が発生する。

 対象はあらゆる年齢、性別で起きる。

 若い場合はなんとか教育しなおすことができるのだが、有る程度の年齢だと、その時持っていた人間関係、職場関係などの全てを壊すことになってしまう。

 一から教育しなおすことは困難になって、一生入院生活ということもある。

 こちらも年間十数名の患者が見つかっている。


 これらの記憶障害は未だに治療例がない。

 精神魔法でもどうすることもできないのだ。

 あくまで、精神が上書きされているかのように、この状態が正常になってしまっているのだ。


 私は、偶然ここに配属された故にかかわる機会が多いのだが、この病は非常に興味深い。

 というのも、彼らの記憶には統一性があるのだ。

 二ホンという名称だけでなく、物や技術、制度まで統一されている。

 たまに、ずれている者もいるが、概ね一致している。


 ある宗教家は神の御業だなんだと騒いでいたが、ばかばかしい。

 そもそも、神など存在しないのだ。

 と、少し前まで考えていたのだが、この原因の無さだと、あながちあり得ない話ではないのかもしれない。

 神というものの存在は、魔法学的には証明されていないが、いないことも証明されていないのだから。


 精神魔法では精神を塗り替えることまではできない。

 だが、もし神なんてものがいるとしたら、この病の正体はそれなのかもしれない。


「マルデナさーん、105号室の方の看護お願いしまーす。」

「了解しました。」


 私は思考の海から抜け出て、病室へと向かう。

 未だに治せない病でもいつかは治すことのできるものが現れるだろう。

 それは私かもしれないし、他の誰かかもしれない。

 全員が意志をもって行動すれば、いつかは。


「マルデナです。サトウさんご加減いかがでしょうか?」

「えっ、あっ、だいしょうぶ、です。」


暗黒病:鬱

新兵病:PTSD

人狼病:狂犬病、この世界では精神魔法で治すことができる。

神:いないとされている。この世界の宗教はあまり勢力が強くない。

マルデナ:性別の想像はご自由に。青髪。

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