他ならぬ僕のために。はぁ、まったく。
パカッ
「ッ!!」
何か空間の一部が切り開いた。
しかし、いくら待っても攻撃はこない。
「、、、、?」
「なにこれぇ?」
恐る恐る近づく。
それはどこでもドアのようだった。その中には空間が広がっている。
そこにあるのは階段、そしてどこまでも続く白い空間だ。
「これは?」
「これは我が作り出したダンジョン。
その名も『天界への階段』。
これをクリアすることができれば、一つと言わずいくらでも願いを叶えてやろう。
ただし、このダンジョンは世界に類を見ないほど高難度。
挑戦するもしないもきさましだいだ」
なるほど。つまりこれは創造主が自ら作り出したクエストというわけだ。
「アリサ、マリヤ、、」
「言わなくても分かってるわよ!」
「ついていきますぅ!」
「ま、まて貴様ら!」
魔王はやる気満々の僕達を、見て困惑していた。
「相手はこの世界で最強というレベルじゃない。
文字通り世界の外にいる存在、何が起こるかわからないのじゃぞ?!
勝てるわけがないのじゃ!」
魔王はぴょんぴょんして僕らを説得する。
だが、僕は安心させるようにしゃがんでいった。
「魔王、魔王は待ってて。
かならず全クリして戻ってくるから。
そしてあなたを開放してみせる!」
「なっ!?なぜ我なんかのために、、?!」
こう言って引き下がる魔王。
確かに今日あったばかりの、しかも敵同士なのに、、!
このクエスト、一歩も引く気が起きない。
なんでだろう。
、、いや、そうか。
なんとなくわかった気がする。
「僕はあなたのために挑戦するんじゃない。
ボクたちが冒険したいからするんだ。
あなたのためじゃない。自分のために」
「自分のために、、!」
そうなのだ。
僕らは娯楽という目的で、創造主の手のひらで上で踊らされていた。
それは事実である。
でも、だとしても、これまでの冒険を後悔しないだろう。
そう、矛盾するかもれないが、魔王が苦しんでいたとしても、
僕は勇者と魔王の、これまでの戦い、システムを、憎むことは出来ない。
いや、それだけでなく感謝さえしている。
それは、何故かというと、楽しかったから。
アリサやマリやに出会い、愛や友情などを育むことができた。
だから、こんなところで終わらせたくない。
魔王のためなんて言いつつも、それは理由の二十%くらいにすぎない。
本音はもっと自分が楽しみたいだけなのだ。
RPGがクリアしたあともやりこみ要素とか裏ボスを倒しに行くようなものだ。
だからこそ魔王に対して僕は何ら対価を要求しようとはしない。
僕は、自分のためにこのダンジョンに挑戦する。
それは、アリサとマリヤも同じだと思う。
それを確かめるかのように僕ら三人は顔を見合わせて無言で頷く。
そして、
「行くよっ!」
「ええ!」
「うん!」
行こうとした。
のだが、、
「はぁ、、まったく、、」




