我と本気で戦え、苦々しげに言う
創造者。そんなものが本当に、、?
「そう、私は、創造者が作り出した、このつまらない繰り返しから抜け出すために、魔法を操るすべを手に入れた。
幸い時間も知識も膨大にあった。
私は魔王という概念に自然に生まれた擬似人格。寿命などない。
そして、知識も負のエネルギーの中にたんまりとある。
負のエネルギーとは、即ち失敗した経験から生まれたものだからな。
それを逆算していけば、魔法の正しい使い方を求めることが可能。
そして、ついに分かったのだ。創造者を呼び出す魔法がな」
「そんなことが、、」
創造者の召喚。まさに禁忌ともとれる究極の魔法だ。
「うむ。我は魔法を極める家庭で、千里眼を使いとことんシステムを調べ上げた。
そしてこの世界におけるシステムを読み解けば、その外側の真理を得ることも可能。
ならば、呼び出すことができるというわけだ。この世界の理を超えた存在を。
しかし、それには足りないものがひとつあることに気がついた」
「どうすればいいっていうんだ?」
僕はそれにすこし感づいていた。
そう、大仰な魔法を使う場合、高位のモンスターが落とす素材が必要になる。この前、勇者の呪いを解く魔法をロリエルフに使ってもらったようにだ。
創造主を召喚するほどの召喚、それに必要な素材も入手困難なのだろう。それを僕達に依頼したいということなのかもしれない。
「だが、これを頼むには勇者の質が重要なのだ。
その点貴様らは申し分ない」
その言葉にアリサはハッとして叫んだ。
「まさか、私達を生け贄にするってんじゃないでしょうね?!」
「ち、違う」
少し焦ったような声だったが、少し黙ってこう続けた。
「うむ、、しかし場合によっては同じことになるかもしれん。
これは並大抵の勇者ならば危険であることには変わりないだろう。
だが、だからこそ並大抵以上のの希望を持つ、貴様らに話そうとおもったのだ」
魔王は、こちらの反応を伺うように言った。
そう、僕にはわかる。魔王は自分の依頼を、断られることを恐れているのだ。
だが、実際に何をすればいいのか聞かないことには始まらないだろう。
「ともかく、僕たちは何をすればいいんだい?」
魔王はそれに答えた。しかしその内容は、至極簡単なものである。
「我と『本気』で戦え」
「?」
「我と命を賭して、本気で戦うのだ」
何を言っているのだ?それは当たり前のことじゃないか?
「いや、違う。
本気を出さなければ、貴様らは確実に安全に帰ることができるのだ」
「それって、、」
そう、いつもは本気で戦っていないとでもいうのか?
「そう、勇者はその命を賭すほどの激戦をしなければ、我の負のエネルギーを解消することはできぬのだ。
故に、いつも本気を出さないのだ。
勇者を安全に帰すためにな」
「、、魔王、お前ってやつは、、」
「そんな目で見るでない。
相手の勇者もシステムに選ばれた犠牲者。
単に情が湧いてしまっただけのこと。」
なんだろう。魔王に対して、今までのイメージとは逆になった。
それに彼は、勇者は犠牲者だと言っていたが、魔王のほうが辛かっただろう。なにせ、彼には味方がいなかったのだ。
しかし、苦々しげに彼は言う。




