欲望の守護者、インモキュバス
「ねぇねぇ、ユー、この戦いが終わったら、私達付き合いましょー?」
「えっ?」
一体どうしたというのだろう。急に次の部屋に移動中、マリヤがこう言い出したのだ。
アリサも、「だめよー!ユーは私とケッコンするんだからー!」と、いきなり怒りだした。
こんな時にどうしたのだろうか、、。ここに来てから二人は何やら僕にアプローチをしてくる。
いや、こんな時だからなのかもしれない。
今は生死を分ける戦いの真っ最中。
こうやって緊張をほぐすような事を言ってくれているのだ。
「ありがとう、二人共。でも、この戦いは絶対に勝つ。だから安心してほしい」
「わかってるわよぉ、私、信じてるからぁ!」
「私もよ!」
「ふふふ」「うふふふふ」
少し不審に思いながらも、僕たちは次の部屋の前までたどり着いた。
「じゃあ、行くよ!」
そして、扉を開けると、奴が佇んでいた。
「っ!」
そいつはアリサの宿敵。僕はさっと遮るように前に出る。
「おまえは!」
「ふふ。改めて名乗ろうか。私はインモキュバス。先日はお世話になったな」
「別にお世話になんてなってないわよ!このバカッ!」
「おやおや、嫌われたものだ」
インモキュバスは首を振りながらこちらに近づいてくる。下半身ぴっちりタイツに上半身全裸。その筋肉を見るまでもなく半端でない強さを感じる。
僕は剣をぬいた。
「くくく、いいオーラだ。しかし私の魔法には勝てるかな」
インモキュバスが掌を向けてくる。何かやってくる気だ。無論待つつもりはない。
「先手必勝!」
当然油断などしない。相手はどんなスキルを持っているか分からないのだ。僕はカウンターぎみにその胴へと一太刀浴びせる。
だがしかし、
「!」
ぼいんっ
何やらスライムを切って弾かれたような感触。衝撃をそのまま返されたかのような、、
「なに、、!?」
僕はその感触が幻であることを疑った。そう、どれだけレベルをあげたというのか。もはやこの剣に切れないものはないと豪語してもいいくらいである。
「なんだ今の技は、、?」
「ふふふ。それはこういうことよ♪」
「!?」
いきなりしゃべり方が変化した。いやそれだけではない。ダンディな見た目から想像できない可愛らしい声だ。
いや、違う。今までなぜか気が付かなかったが、こいつはダンディな見た目ではない。小顔に細い手足。そして今しがた斬りつけた巨大な胸。
「あなたが今切ったのはおっぱいよ」
「、、は?」
「おっぱいなら、弾力があるから勇者の剣といえど弾き返すわ♪ふふふ♪」
そう、彼、いや彼女は、何故か服や禍々しい刺青はそのままに、女の子の姿になっていたのだ。
しかし何故わざわざ女の子の姿になったんだ?防御手段ならいくらでも手があるはず
「まさか、、!」
僕は一瞬で理解した。
「そうか、、お前の能力は異性を魅了すること、、
そして性別を変化させることでこの僕を『一瞬だけ』魅了して、勇者の剣のオーラを無効化したということだな!」
そう、魅了魔法を圧縮して、まるで刃を尖らせるがごとく最短に発動するようにしたのだ。加えてあのおっぱいの弾力。女であることを武器にした見事な技だ。
「その通り。私は性欲の王。そんな私に落とせない人などいるわけがない。男女問わずにね!
そしてあなたはこの女の私に魅了されて倒されるべきなのよ」
「戯れ言を!」
そして僕は 再び切りつけようとした。
だが、このままではさっきの二の舞いだ。
ならば、さっきの攻撃がこいつの豊満な胸に魅了され阻まれたというのならば、今度は胸以外の部分を狙えばいい。
しかしその行動を取ろうとした瞬間にがしっと両腕を背後の誰かにつかまれる。
「!?」
僕は困惑した。
背後を取られた気配はなかったはずなのに!
僕は反射的に振り向くと、さらに困惑する。
「えっ、、?」




