5、困惑の数日間
イッパも尊敬の眼差しで見ているが、僕は困惑した。できることなら変わってほしいものだが、、
「ええ、でもぼく戦闘訓練ほとんどなんてしたことないし、」
「大丈夫じゃ。勇者は魔物を倒せぱ倒すほど基礎スターテスが強くなるスキルが見につく。まずはスライムで試してみるのじゃ」
「そういえばそんな話を聞いたことがあったような、、」
「そして、ここにいる者はユーくんが勇者であることはしきたりに従い他言無用じゃ」
ガラの悪い盗賊に襲われないための措置らしい。勇者ならば退けることも容易だが、しかし多すぎるとなると盗賊とはいえ殺傷は避けられない。また、勇者であることを持て囃されて冒険を怠けてしまうこともあったという。そのためにできた決まりということだ。
僕としては必要以上に注目されないためにありがたいことだった。
ともかく、それから数日、僕は身支度を整えた。
親は最初話を聞いた時は何の話か分からずきょとんとしていたが遅れて号泣してむちゃくちゃハグされたのだ。
「まさかお前が父さんたちの夢を叶えてくれるとは!実にアッパレだ!今日はお赤飯だな!」
「母さんも昔は名の知れた魔法使いだったのよ! 旅に出たらママみたいな有能そうな女の子を誘うのよ!」
苦しかったことは言うまでもない。
だがしかし、この数日間、不安を感じずに居られたのは彼らや周囲の人のおかげだろう。
まあ、やっていることといえば、勝手にさわいだり宴会とかをしていただけだったが、、、
そして、出発当日。
「忘れ物はないよな、、」
僕は村の出口へと歩いた。もしかしたら最後になるかもしれないという一抹の寂しさはあったが、気を強く持っていよう。