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幕間、魔王が楽しみなのはただひとつ


 これは、勇者一行が城に入る少し前の出来事だ。


 暗闇にある三人の影が立っている。


 ここは魔王の城の内部の一角だ。


 かなりのオーラを纏った彼らは、三者三様に勇者の到来を歓喜した。


 筋肉がシルエットからしてムキムキな奴は言った。


「さて、そろそろ来ているようではないか、やつらが」


 さらに、ほか二人よりも見るからに巨体の奴も、低い声で続く。


「ほう、やっとか。魔王さまに楯突く愚か者め。」


 最後に、高い声の細身のシルエットがけたたましい声で応じた。


「ウケケケケケケ、惨たらしく惨殺してあげますよぉ!」


「そう焦るな。まずは第一の守護者が先だ」


「ああ、すまないな。貴様ら。、俺から先に楽しんで。

 というか、たおしてしまうかもしれないがな。ふはは!!」


「うけっ!ひどいぞ!」


「だが、油断するなよ。あいつらは勇者。古来より勇者は魔王と戦うためにある。

 我らの使命と同じように、勇者も覚悟して来ているはずだ」


「そのとおりよ!

 勝負とはどちらかが勝ち、どちらかが倒れるもの!

 だが例えここで我が命力尽きても、魔王さまをお守りしたという名誉は消えないのだ!ふはは!!」


「うけけ!魔王さま!バンザイ!」


「そうだ。それでいい。

 そのために我らは生まれたのだからな」





 そして、そんな様子を、密かに見ている黒い影があった。


(、、、、)


 それは『魔王その人』である。


 魔王は彼らを見てなんと思っているのだろうか?


 忠誠心の高い部下で満足しているのだろうか?


 いや、違う。魔王は不思議に思っていた。


 なぜ自分にこんなにも『忠誠心を持っているのだろうか』と。


 それは謙遜でも何でもない。そのままの意味だ。


 そう、何故なら彼ら守護者は、魔王と一度も『面識がない』のだ。


 ずっと不思議に思ってきた。


 さらにこの城も魔王が自ら建てたものではない。


 いつの間にか建っていて、いつの間にか魔王はそこで『発生』した。


 だが、それはもう慣れっこと言ってもいい。


 そうそれは、ずっと長い間繰り返してきたことだ。


 唯一魔王が気がかりなのはただひとつ。


(今回は、、期待できるだろうか)


 勇者の強さである。


 もし期待通りならば魔王は、勇者に言わねばならないことがあったのだ。


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