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スクロール魔法!その必要はないわよぉ


 そう、体感で、もはやマリヤの詠唱完了時間は身にしみて知っているのだ。


 振り向かずとも分かる。今は作りかけの魔法陣しかないはず。


 だが、彼女は叫ぶ。


「いいから!私に任せてっ!」


「! わかった!」


 何やらその言葉に確信を感じた僕は信じて地を蹴った。


 その瞬間、


「発動!(エグゼクティブ!)」


 その詠唱とともに強大な魔法の雷がモンスターを貫いた。


 一瞬のことである。


 彼女が使う魔法は、普通長時間の詠唱から始まり、クライマックスで攻撃が発動する。


 だが今のは、完全にその予備動作を必要としないものだった。


「今のは一体、、!?」


 アリサの魔法には詠唱が必要なはずだ。


 詠唱とは、決まった形を、魔力て形作るために必要な工程。これを省略してしまえば、暴発の可能性もある。


 だが今のは、ほとんど詠唱を行ってなかった。最後の起動の掛け声だけである。


「まさか今のは、詠唱破棄、、?!」


 そう、詠唱破棄とは、頭の中だけで魔法陣を組み上げて発動させる高等技術。


 レベルアップによりそれがマリヤにも可能となったのかと思ったのだが、


「いえ、違うわぁ。私は魔法のスクロールを作っていたのよぁ」


「スクロール、、!」


 そう、魔法陣を書物に書き写すことにより、詠唱なしでも使用できることができるマジックアイテムだ。


 しかし、それにはいくつか弱点がある。


 それは、けして安くはない紙を消耗することと、常に紙に魔力を流しこまないといけないことである。


 戦闘が基本となるこの旅の途中に、魔法を使う回数だけ紙を持ち運ぶのは不便だ。


 それにスクロールは魔力を補充して数時間で使用できなくなってしまうので、定期的な魔力の補充が必要になる。


 これらの欠点があるスクロール魔法。しかし詠唱を短縮できるというのは確かに大きなメリットだ。


「なるほど、マリヤがキャンバスの前で考え込んでいたのは、スクロールを使うためだったんだね。

 それじゃあ、この近くに小さな村があるはずだから、そこでありったけの紙を補充しよう!」


 お金が足りないとしても問題はない。


 どこの村にもモンスター絡みのクエストが酒場などで公開されている。僕達の今の強さならば、いくらでも稼ぐことはできるだろう。


 だが、マリヤは首をふる。


「その必要はないわよぉ」


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