3,選ばれなかった者
「やれやれ、ユー、勇者なんて俺たちには興味ないのにな」
前にいるのは幼なじみのイッパである。
「そうだね」
彼の言うとおり、僕らの親、もしくは親の親は勇者希望者だった。
だが中々魔王が現れず、選定式を受けられなかったらしい。
しかし村自体は気に入り住み着いたのだ。
そう、この村の半数の人は一度は勇者を目指して特訓している。
僕とイッパは昔そんな遊びもかねて訓練をしていたが、今では農作業などをして穏やかに過ごしている。
そんなこんなでイッパの番が来た。
「次の人〜」
「よし、ワテの番か、、!よしっ!」
興味ないふりをしていたが、しかし、その手にかける力は並大抵のものではないのは、気のせいではないだろう。
「あの、終わりです」
「はっ!、、すまんすまん。少し夢中になりすぎた。、許してくれめんす」
そして気まずそうに僕を見た。
「ははは、もしかしたら、と思ったんだがな。ま、こんなもんよ」
少し寂しそうなイッパだったが、彼は隠れて魔法の練習をしていることを知っている。
おそらくしばらくしたら、この村から出て冒険者になるのだろう。
「でもイッパの腕ならそうとう強い冒険者になれるよ」
「そうけ、、?ありがとな」
「次の人早くしてください」
「あ、はい」
僕は少し長話をしてしまったことを反省した。急いで前に進んで剣の前にたつ。
軽い感覚で来たが、ここで僕は少し緊張した。
まあ、僕は彼みたいに心に秘めた熱いものはないのだ。抜けなくても、伝説に触れられただけでも満足である。
「ではどうぞ」