アリサ急成長、真逆になってしまった
その次の日のことである。
「がおー!」
ミノタウロスの叫び声は空間を震わせた。
目牛頭の人型であるそれは、走り襲いかかってきた。
体長は2メートル。スライムなどとは比較にならない強さのモンスターだ。
それは手に持った混紡を振り下ろす。
がっ!
「くっ!」
僕は剣でガードした。殺気を伴ったそれを抑えるまでの強さは手に入れている。だかしかし重いので、少し引いて少しでも衝撃を和らげた、
倒す必要はない。
今は時間を稼ぐことが大事だ。それこそが僕とアリサの役目。
数十秒持ちこたえれば、単体魔法でマリヤが処理してくれる。
だが、その日は違っていた。
「とりゃ!」
「がうっ!?」
ミノタウロスの肘にアリサの放つ矢がヒットした。
いつもなら胴体を狙うその矢は、最初は偶然かと思った。
防御力の高いモンスターには、アリサの攻撃は決して致命傷ではない。
だが、前衛の僕にとっては相手の気を引く要因となるのでありがたいし、時たま偶然急所にヒットすることもあり大ダメージも期待できるのだ。
だが、この時は肘をヒットさせた。
「よっしゃ!」
そう、偶然でなく狙ったのである。
「私、なんか敵の動きが急に見えてきた!」
その効果は抜群だ。
「ナイス!アリサ!」
そう、しかもミノタウロスは動きづらそうにしている。
関節に矢を射抜かれて動きづらそうにしている。実質片手のようなものだ。
ゆえに手数も半分になりバトルが格段に楽になった。
再生能力もあるので、引き抜けばすぐに治る程度の怪我だが、戦いのまっただ中に引き抜くわけにも行かない。
そんなことをしたら僕は必殺の一撃を行うだろう。
そしてそれからもアリサは他の関節など、相手にとっていやらしい攻撃をしていくのだった。
マリヤが魔法を発動させるころにはすでに倒してしまったほどでえる。
「むぅ〜」
ドガーン!
マリヤの魔法が虚しく死体蹴りする。
僕はアリサの腕前に感心した。
「すごいやアリサ!
いつもの援護もとっても助かってるけど、今のはむしろ君一人でもよいくらいだよ!」
「ふふーん。そうでしょ?
でも、ユーが前衛を守ってくれたから狙えたんだからね?
あなたがいなければ力なんて出せないんだから!
勘違いしないでよね!」
「分かってる。前衛は任せて!」
にぱー!とアリサは満面の笑みだ。そして次に邪悪な笑みを浮かべ、マリヤの方を見た。
「それにしても、、
詠唱に時間をかけて結局魔法が当たらなかったいらない娘は誰でしょうかねぇ」
それを聞いて、マリヤが悔しそうに歯噛みしている。
「ぐむむぅ」
「ちょっとアリサ、今のはひどすぎるよ!」
僕がたしなめてもアリサはどこ吹く風だ。
「はいはい。ごめんなさーい。でも、役立ったでしょ?」
「え?ああ、うんそうだけど、、」
「やったー!」
「まったく、、」
前まではありさの方が落ち込んでたのに、、。真逆になってしまった。
そして、アリサの躍進は留まることを知らない。
命中率アップのような、有能だが地味な技能だけでなく、アクティブな魔法スキルまでも獲得したのだ。




