初めての前衛、土を蹴った
その叫びを聞いた僕は、彼女の先ほどの返事を思い出して言った。
「でも君は魔法を使わないと決めたはずじゃ、、」
「いえ!ここで魔法を使わないことで失われる命があるなら、それは私の魔法で殺したのも同然ですわぁ!」
「本気、、みたいだね」
過去のトラウマと向き合う彼女の本気を感じる。
「僕はどうすればいい?」
「今から詠唱を行います!
準備している間にユーさんは少しだけ敵の攻撃を防いでいてください!」
「分かった!」
僕はモグラの前に立ちふさがる。背後では何やらブツブツと詠唱をしている声が始まった。
だが、僕はスライムを瞬殺できるしか能のない勇者である
いきなりこんな強そうなモンスターとまともに戦えるわけがはない。
だが、足止めくらいなら!できるかもしれない。いや、やってみせる!
モグラモンスターが僕に向けツルハシを振りかぶり攻撃してくる。
「くっ!」
見切って避けた。そしてできるだけ詠唱中のマリヤを意識させまいとかわし続ける。
無駄に危険を侵す必要はない。
勇者がモンスターを倒す程強くなるからっても、まだ旅が始まって数日なのだ。
このモンスターを楽に勝てるくらい成長しないと、、。
だが、今は今だ。僕はもぐらモンスターの圧倒的な攻撃をかわしていく。
「ん?」
何やら違和感があった。
先程から僕はこのモンスターと戦っているが、息を切らしていないのだ。
船の上ではあのモンスターの珠を避けるのも精一杯だったのに、、。
今では相手の攻撃を見切り、簡単に避けることができていた。
「、、待てよ?」
僕は勇気を出して土を蹴った。




