勧誘、え?なんか言った?
寝ぼけ眼で絡みついているアリサを引き剥がしてテントからでる。そしてトイレ用の穴に用を足していると、
「違うっ!こうじゃい!」
独り言とともに何やら筆や紙を破る音が聞こえた。
「あれは、マリヤの声?」
もしやと思い歩いてゆくと、やはりそこにはマリヤが絵を書いていた。
それはまるで一つの芸術のようである。飛び散る汗と、生まれては消えていく絵画。
僕は声をかけたら悪いかと思いつつも近づいていった。
「こんな時間にも、絵を書いているの?」
「はっ! あっ、ユーさんでしたかぁ、すいません起こしてしまいましたかぁ?」
「いや、トイレにいただけ、それより大丈夫なの?眠らなくて」
「いえ、久しぶりに人を描いたのでえ、インスピレーションが残ってあるうちにと思いましてえ」
「そっか、よかった。だったら今もモデルになってもいいよ」
「え!?本当ですかぁ!?いえ、でも良いですぅ、悪いですし」
「そう?だけど、この際だから一つ頼みたいことがあるんだ」
「?なんでしょう。私にできることなら」
「実は、」
僕は、マリヤに、魔王を倒す度に出ていることを話した。
つまり、パーティの勧誘である。
「君の魔力、僕のパーティで存分に使ってみない?」
タイミング的に良かったと思うのだが、マリヤは残念そうな顔をした。
「嬉しいお誘いですけどぉ、でも私は魔法で他人に怪我をさせたのです。
あなたにもそういうふうになって欲しくないのですぅ」
そうだ。こんな優しそうな女の子が、誰かを傷つけたとあらば、トラウマになっててもおかしくない。
そうなら、むしろ戦力として彼女を考えるのは失礼と言えた。
「ごめんね。いきなりこんなことを言って」
「いえ!いいのですぅ!むしろ嬉しかったです。
私が、普通の魔法を使える魔人だったら、喜んで入ったのですが、、
その、チョードストライクですし、あなた、、」
「え?、なんか言った?」
「いえ!なんでもありません!」




