1、勇者選定式
「大変だ大変だ!」
「ん?どうしたそんな慌てて、、?」
何やら村人が集まって話し合っている。僕としては興味もなかったが、今読んでいる本とも無関係でもないので、自然と耳に入った。
「聞いたぜ。あの噂、本当か?」
「マジらしい。商人も言ってたが、魔王が現れたらしいぞ?!王都ではかなり噂になってる」
「ということは、、この村で、、!」
「ああ!ついに勇者選定式が行われるということか、、!」
勇者選定式、それは仰々しい名前だが、やることは簡単だ。
全員、列に並んで、勇者の剣を抜けるか順番に試していくのである。
全員、というのは、希望者だけでなく、村人も確かめなければいけないと法律で決まっている。
つまり僕もいかないといけないということだ。
そして抜けた者が勇者ということだったが、僕はこんな正確なので、勇者になることになんら興味はない。
「まあ、でも、歴史にも残る伝説のアイテムに触れるなんて、なんか興奮するなぁ、、」
僕はこのときどこか他人事だった。
なぜなら、『前世』でも現世でも、何も戦いの才能があるわけでもなく、訓練もしていないのだ。
周囲の子供も大人も、若くから勇者にあこがれて趣味で戦闘訓練をつんでいるのである。
そんな中、弱っちい僕がえらばれるくらいなら、強い人を勇者の剣も選ぶはずである。
あっ、そうそう、前世といえば、いい忘れていたが、実は僕は転生者である。
現代から若くして病気で死んで、いつのまにかこの異世界ファンタジー世界に生まれたのだ。
そして、そんな世界から来たからか、魔法も使えないようである。むろん戦いも未経験だ。
そんな僕が選ばれるわけないのだが、法律で決まっているゆえに一度は足を運んどかないと、のちのち面倒くさくなるかもしれない。
とりあえず今は表向きの儀式のために伝説の剣のところへと向かっているところである
「はい、横一列にならんで〜押さないでください〜」