第2話 〝電話の呼び出し〟
まだまだ、序章ですが読んでくれると嬉しいです。
スマートフォンは鳴っていた。体感時間はとても長かったが、相手は懲りずに受話器を手に取っている。
今、僕は窮地に立たされている。防衛省から、召集の電話が掛かってきたのである。
人より愛国心があるのは、僕の数少ない長所なのだが…
やはり、準備というものは大事なのだな。その事を僕は、実感させられた。まあ、遅かれ早かれ電話は取らなくてはいけないだろう。勇気を振り絞り、応答した。
「はい、もしもし。」
「あ、もしもし。私、東京地方協力本部の佐久間二等空佐と申します。」
スマートフォンからは、若い女性の声がした。
「今回、お電話をしたのはですね。予備自衛官召集の件でして。既に、陸上自衛隊練馬駐屯地普通科連隊、三宿駐屯地警務隊、即応予備自衛官が交通整備や地元住民の鎮圧を行っていますが、やはり人員不足でして。宇都宮駐屯地の中央即応連隊が到着するまでの約二時間で良いので、活動してくれませんか?」
散々、断られてきたのか佐久間二佐の声からは疲労がみえた。僕は意外と、困ってる人を見捨てると心が痛む人間だ。そんな僕の答えはもちろん…
「分かりました。何処に向かえばいいですか?」
YESだ。
「え?!ありがとうございます!」
僕の返答を聞いた途端に、佐久間二佐は礼を言った。その声からは、喜びと達成感が感じられた。
「あ、集合場所ですが、装備を整えるために三宿駐屯地に向かってください。そのあとは、現地の指示にしたがい行動をお願いします。」
「分かりました。では、失礼します。」
僕は電話を切った。
読んでくれてありがとうございます!