表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔王の異世界農業生活  作者: 猫壱 凪
8/9

8 森の女王の頼み事

会話成分多めです






<魔王>



―――眼前に広がっているのは、90度の直角を維持した完璧な礼。

これは、私が人間族では無いことを伝えてから始まった光景である。


この混沌とした状況を作りだしたのは、無論古樹の精( ドリアード)だ。

目も口も丸く開けたと思えば、その顔色は真っ青に早変わりし。

その後、唐突な謝罪と共にこうなったという訳である。



「本っ当にごめんなさい!!よりにもよって人間族と間違えてしまうだなんて……!」



この森の長であるというのに頭を下げてしまうのは良いのだろうか。

確かに人間族以外には十分過ぎるほどの侮辱であるが、一度謝罪を受けたのだからもう構わないというのに。


敢えて言うならば、古樹の精( ドリアード)の声は些か大き過ぎるのが気になるが

まあ、割とうるさいのだ。


と言うか、古樹の精( ドリアード)は本題を忘れたのだろうか?

森を開墾した件の話であった気がしたが……


取り敢えず、頭を下げ続ける古樹の精( ドリアード)に声を掛けることにしよう。


「もう構わない。……それよりも本題は良いのか?そのために訪れたのだろう。」


私の言葉に、古樹の精( ドリアード)が訝しげに首を傾げた。





……もしやとは思うが、矢張り―――





「……………あ」



……案の定、古樹の精( ドリアード)は忘れていたようだ。

僅かな時間を置いてからハッとしたような声が上がったのがその証拠である。

私と古樹の精《 ドリアード》の間には、何とも言えないような気まずい空気が流れた。

と言うより、あちらが気まずそうな顔になっているのだ。

申し訳ない気分になって来るのでやめて欲しい。


これは、私の方から切り出さないと駄目な状況だろうか。

中々に勇気が必要なのだがな……


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「……農業、ねぇ」


古樹の精( ドリアード)の顔からは当初の余裕は消え、何処か困惑したかのような色が浮かんだ。

彼女は唸るような声を上げつつ、顎に添えるように置いた手の指を忙しなく動かした。


「まあ、貴方が拓いた所は特に問題無いのよ。ただ、その……私が知らなかったとなると周りに示しが、ちょっと……」


段々と内容が尻すぼみになっていく古樹の精( ドリアード)であったが、言っていたことは分かった。


とは言え、古樹の精( ドリアード)の采配がどうなるかにもよるが、現状私が出来ることは無い。

するとなると、目前の古樹の精( ドリアード)含めたこの森の住人の抹殺しかないのだ。

……まあ、こちらの世界で問題を起こすつもりは無いのだからしないが。


「―――……うん、そうねぇ。貴方って荒事の覚えはあるみたいだし、良い方法が1つあるわ」


顔を上げた古樹の精( ドリアード)は妙案を思いついたらしく、にんまりとした笑みを浮かべた。

何処か上機嫌そうに見える理由は分からないが……


「実はこの森に居座ってる<転生者>っぽい人間が何匹かいるのよ。貴方には私の代わりに、そいつらの排除をして欲しいの。……まあ、つまりは―――」












「殺して欲しいのよね、その<転生者( ごみども)>を」







そう告げる古樹の精( ドリアード)は、静かに微笑んだ。


何処か抜けていると思っていたが、案外そうでは無かったらしい。


―――利用できるモノは何でも使う。


これが彼女が女王である理由の1つなのかもしれないな。

私とて、古樹の精( ドリアード)が用意したこの好機を逃すつもりは無いのだが。




「―――私に否は無い。その<頼み事>、確かに請け負ったぞ。古き森の女王よ」

おかしいなぁ……

こんなシリアス風味にする予定じゃ無かったのに……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ