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最強魔王の異世界農業生活  作者: 猫壱 凪
3/9

3 称号<跳躍の達人>








<魔王>



―――まず私の視界に飛び込んだのは、鬱蒼とした木々の群れ。


それらの見かけ自体は、元いた世界のものとそう変わらないようだ。



この新しい世界に渡る際に人間族のいない所を狙ったのもあり、当然ながら人気は無い。

わざわざ人間と関わるのは不必要と踏んだためである。



……今いるここは、森だろうか?

薄暗いが、力強さを感じる不思議な所だ。

空気中の魔素( マナ)もやけに濃い。

人間族が居ないからか、魔素( マナ)を生み出す何かでもあるのか。

また他の理由でも在るのかもしれないが、今の私には関係ない事だろう。



どうも理屈っぽく考えがちな思考を切り上げると、次は剥き出しの地面へと手を置いた。

私の持つ植物の種に合った土かを調べるためだ。


私が持っている植物やその種は、その殆どが<魔界>原産の物。

ある程度の魔素( マナ)が地中にあった方がよく育つのだ。


例を挙げるならば、農業初級レベルの泣き叫ぶ人根花( マンドラゴラ)

引き抜くと泣き叫び、その声を聞いた者を殺す<魔界>植物の一つで、危険度の割にはあちこちに生えている雑草みたいなものだ。

使いようによってはある程度のメリットがあるが………。

育て方は簡単だ。

隣の植物と30cmくらい離して植え、水を与えるだけのお手軽さが売りである。



―――私も昔はコレを引き抜いたりして遊んでいたな。




さて、今から行うのは、置いた手から軽く魔力を流し土の状態を反響させ把握する、鑑定( アナライズ)の派生型魔法のような物だ。



大地に水を染み込ませるように、ゆっくりと魔力を流し込む。



(―――土の状態は……良好だな。こちらにしても魔素( マナ)がかなり―――――









【―――ステータスを更新します】









―――頭の中に直接響く声。



それを知覚した瞬間、私の体は空の高所にあった。

<魔王>としての経験が、咄嗟にその場から立ち退かせたのだ。


とは言っても、久々に慌てたがために空間移動( テレポート)は使えず、その場からほぼ垂直に跳躍するだけに終わったが。



そのためか、雲と同じくらいの高さに到達した辺りで、私はふと冷静になった。



立っていた地面からこそ飛び退いたが、頭に響くこの声は、魔法使いの魔法では無かったことに気付いたのだ。


この声は、言わばこの世界のシステムというべき物であろう。


とりあえず私は、まだ続いている声を聞くことにした。




【対象のステータス表記を<ジルヴェニア>の物へ変換、最適化します】


【オールクリア】


【称号<異世界からの訪問者><リーンフォルミアの魔王><跳躍の達人>を手に入れました】


【以上の更新項目は、ステータスにて確認して下さい】





―――始まった時と同じように、声は唐突に止んだ。



―――次いで、私も地上に帰還した。




………私のことについては、何も言うまい。


だが、この声によって分かったこともある。


ここは<ジルヴェニア>という世界らしい。

しかも称号なる物を聞くに、私が異世界から訪れた者であり、その異世界の<魔王>であることも把握されているらしかった。

ただ―――




(―――<跳躍の達人>は無いだろう………!)




……私とて、アレは失敗したと理解している。

なのに何故、達人とすら言われるほどに高評価を受けているのか!

いっそ笑われた方が楽だった………

………何故異世界へ来て早々に心に傷を負わねばならん………




―――もう忘れよう。


次だ次。


そもそも世界のシステムが違うのだ。

称号なぞは元いた世界には無かったのだから。


この世界のシステムは確か……



(確か、<ステータス>と言ったか―――)



ただ、その単語を思い浮かべた。

だがシステムにとってはそれで良かったらしい。



【承認】


【ステータスを開きます】







魔王の農業は農業()


次話はステータス回(多分)


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