~紳士~
どうも、コトネです!
調子というか、機嫌が良くて(?)、早速第5話です!
ずーっとハラハラしていた秋さん。やっと落ち着けるのでしょうか?
では、どうぞ!
店内に流れるバックミュージックは、先程までの私のハラハラした気持ちを落ち着かせるようにゆったりと流れていた。
さうだ、私は、ここに癒されに来たのであつた。
と、今更ながらに、物書きの人みたいな言い方をしてみる。いや、書き方、であろうか。
こんな風に落ち着いて焼きチョココロネを口にし、コーヒーを嗜む…。
と、あまり、難しい言葉で「食べる、飲む」を言うと、本来の意味を無視した形で使っているかもしれなく、自分の無知さを知らぬうちに白日のもとに晒してしまうので、ここら辺でやめておこう。
焼きチョココロネを食べた。そして、コーヒーを飲んだ。うん、美味しい。
これが元々の意味なのだから。
私が伝えたい感情、感想、気持ちなのだから。
おやおや、そんな私の隣の席についた男性が、新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。テーブルには焼きチョココロネもある。
極まっている。
私は自然とそう思った。ここまで、この店内の雰囲気に溶け込んでいて、なおかつ紳士さを醸し出す人物は、この男性を置いて他にいないと思った。
能ある鷹は爪を隠す、という諺にも相応しい。
新聞の文字を見つめるその瞳には、隠された賢さも潜んでいるように思えた。
新聞、上下逆さまなのだが…。
な、何故だろう。何か、新聞をそうやって読むと、隠された暗号が見つかるのだろうか。
ちなみに、私はどちらかというと外の景色が見える向きの椅子に座っているのだが、この男性は店内を見れる向き、外に背を向けた形で座っている。だから、今、この男性がどんな顔をして、何をしているのかは分かりやすい状況なのである。ただ、どんな文字を読んでいるのかは分からないが…。
すると、いきなりこの男性の目が垂れた。
笑っているのだろうか。ニヤけているのだろうか。どちらにしろ、快の感情であることに違いはないだろう。
私の隣の席には、変(?)な人が座るものだな。
全く、困ったものだ…。落ち着けないだろう。
気になって。
さて、2杯目(まだ2杯目なんだぞ。)のコーヒーが終わりを告げようとしていたので、私はまたお代わりを頼もうとゆみさんを呼んだ。
ゆみさんも、落ち着く存在だ。この笑顔とハキハキした様子は、本当に人の心に平和と笑顔を呼び込んでくれる。
あの男性も、ゆみさんが近くに来て落ち着いたのか…落ち着いてないな!!
顔を紅潮させて、明らかに興奮している!!
さては、新聞に穴でもあけてゆみさんをずっと見ていたのか!!へ〇〇いだな!!!
私の隣の席には、変な人が座ると言ったが、この男性は変な人ではなく、ただの変〇だ!
紳士さも見せかけか。理知的な部分も、カモフラージュのために身につけているのか。
とんでもない男性だ…。早く、ゆみさん、コーヒー注ぎきってなくてもいいので、安全な場所まで避難してください。私が壁になるので。
またもや、私の落ち着いた気持ちはどこへやら。ゆみさんをできる限り守りたい気持ちでいっぱいになった。
ゆみさんは、そんな気持ちも知らず、ゆっくりと零さぬように丁寧にお代わりを入れてくれた。
ゆみさんが注ぎ終わり、戻ろうとしたその瞬間、ゆみさんはバランスを崩した。少しヒールが高めだったからだろう。コーヒーが入ったポットもあり、倒れたら大変だ!
そう思うや否や、あの〇〇たい男性がゆみさんを片手で支え、ポットを掴んだ。
かっこいい。
顔は穏やかに、優しいほほ笑みをたたえていた。
私なんか咄嗟に動けずにいたのに、この男性は瞬間的に動き、ゆみさんを支え、転倒を防いだ。優雅に。
紳士だ。
さっきまで、へ〇た〇とか言ったことを訂正しよう。申し訳なかった。この男性は正しく、紳士であり、紳士の中の紳士であった。
ゆみさんも、顔を赤くしながら「失礼致しました!ありがとうございます!」と言っていた。何度も頭を下げるゆみさんに、その男性は言った。
「いい体つきだったよ。この焼きチョココロネとコーヒーと一緒にお持ち帰りしたいくらいだ。」
そして、男性は、いや、変態紳士は店から出ていった。
読んでいただきありがとうございます!
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コメントある度、泣くほど喜んでいます←煽りじゃないよ!
では、また!