~8割を貰う?~
秋は、自分の焼きチョココロネとコーヒーを待ちながら、店内の様子を見ていた。エビやんとえるしーという、女子高生2人組が注文を終えたあとに、また別の女子高生2人組が来た。
「あのね、この状況よく考えてみて。後ろに並んでる人たちのためにも、私たちは早く注文を済まさないといけない。」
「うん、そうだね。」
「でしょ?だから、私がとりあえずここで2人分のお金を出す。」
「おお、ありがたい。」
「でっしょー。んで、その後で私が出したお金の8割を出して貰う。」
「おかしいわっ!!」
「なんで!」
早速、小劇場が始まっていた。なんでも、あとのお客さんのためだとかで、という話らしいが、こんな小劇場を注文の順番が来た時に始めてしまうのは、本末転倒ではなかろうか。
ゆみさんは、えっと…あれ?見当たらない。
さっき、エビやんとえるしーが注文していた時は、笑顔で待っていたのに…。
さすがにこの小劇場は、状況的にも好ましくなかったか。
「お待たせしました!」
と思ったら、2階席にいたエビやんとえるしーに料理を運んでいた。
臨機応変に行動できる子だなぁ…。
それはそうと、こちらの女子高生たち。まだ話し合っているのだが、どういうことだ?
片方の2人分を出すといった女の子が、後でもう片方の子から8割を出してもらうとは。
普通は半分こで5割だろう。8割も貰っては、片方の子に儲けが出て、もう片方の子は損失が出てしまう。
仲が悪いのだろうか…。
「あのね、私が出した時よりも、2割もお得な値段を出すだけなんだよ?」
…なるほど。お互いが出費する金額を比べての8割だったのか。
だけど、それじゃ…。
「それは、私が出す8割のお金を、お店が貰う場合の話でしょ?」
「え?」
「あなたが貰ったら、あなたが出したお金は、2人分ではなくて、その2割よ。」
「あ。」
気づいた。
元々色白な、その8割を貰うと言っていた子は、耳まで赤くしていた。
必死にみんなの為にと、全額出すといい、友達のために8割でいいよ、といい…とにかく気を遣ったのが全て裏目に出てしまったらしい。
ここで、ゆみさんがナイスフォローを入れる。
「では、ご注文いただきましてありがとうございます!既に、料理は出来ていますので、温かいうちにお召し上がりください!」
結局その子たちは、耳を赤くした子をよしよしとしながら、料理を持って2階席へと向かっていった。耳を赤くした子は、小さく呟いた。
「まだ人間の貨幣には慣れないなぁ。」
私は食べかけのチョココロネを、一口食べ、コーヒーを飲んだ。
あの子…女子高生だったよね?
肌は異様に白くて綺麗だけど、人間じゃないってことは、さすがに…いや、ないない。
考えすぎは良くないぞ。
もう一口、チョココロネを口に運ぶ。
んー!やっぱり美味しいなぁ。
そして、コーヒーを含んだ、瞬間吹きそうになった。
次の注文客を見たからだ。
OLらしき女性が、鍋を持っていた。
遅くなっちゃってすみません!
今回短いですが、こんな感じでこれ以降もいくと思いますが、よろしくお願いします。゜(゜´ω`゜)゜。