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恋するココロの育て方  作者: 虹色
第二章 球技大会
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06  由良 ◇ 緊張の4時間目


(大丈夫かな……。)


もうすぐ4時間目が終わる。そうしたらお弁当、そして昼休み。ソフトボールの練習に行かなくちゃならない。


(不安だー……。)


せっかくソフトボールにどうにか入れてほっとしていたのに。ただの練習だって言ったって、あまりにも下手だとキャッチボールの相手にも申し訳ないよ。あんまり慣れない人と組むと緊張してますます上手くできないし、それで失敗して落ち込んで、もっと酷いことになるのは分かりきっている。利恵ちゃんがソフトボールだったら良かったのに…。


「はー……。」


憂うつだ〜。


何か用事ができて、行けなくならないかな? ああ、でも、初日にそんなことになったら、明日からもっと身の置き所が無くなっちゃうかも知れない。一応、わたしもいるってことを知っておいてもらわないと。そうじゃなくても存在感が無いのに。


(困っちゃったな……。)


運動があまり得意ではないわたしには、チームでやるスポーツが特につらい。みんなに迷惑をかけていることがはっきりと分かるから。体育の授業で試合に出させてくれても、失敗に「ドンマイ」と声をかけてくれても、みんな本当は心の中でため息をついたり、怒ったりしているのだと思ってしまう。試合中やそのあとに、よそよそしい雰囲気になることもあるし。


だから補欠希望なのだけど、みんなはみんなでわたしを仲間外れにしないようにと気を遣ってくれる。そうやって忘れないでいてくれることは、もちろん有り難いと思う。だから迷惑をかけないようにしたいと思うのだけれど、やっぱり上手くできないし、失敗すると、ますます動けなくなる――という悪循環。とは言っても、誰とも交代しないでずっと控えのままで終わってしまったら、それはそれで淋しく感じるんだろうな。


(結局はただの我が儘なのかな……。)


スポーツだって勉強と同じように、努力すれば上手になるのかも知れない。もっと積極的に頑張ればいいのかも。けれど、わたしの場合、上達するまでの時間がかかり過ぎる。しかも、スタート地点がほかの人よりはるかに手前なのだ。みんなと同じ期間で同じレベルには、どうしても到達できない。だとすれば、上手くなるためには普段から努力が必要で、つまり毎日ジョギングとか筋トレとか……無理。


(あー……。)


4時間目の終わりが近付いてくる。お弁当が終わったら練習の時間だ。お弁当をゆっくり食べて練習時間を短くするっていう手もあるかな?


いや、それはダメだ。


遅れて行ったりしたら、やる気が無いって思われちゃう。下手なうえにやる気が無いなんて最低だ。それに、先に始まっている練習に途中から入る方が難しい。


――そうだ! 例えば道具が…グローブが足りないとか?


うん、それならありそう。女子はたぶん、誰も持って来ていない。男の子たちだって、2つ持ってる人はそんなにいないんじゃないかな?


うん、そうだ。それに賭けよう。


足りないなら、「あたしはいいです。」って遠慮しても、きっと変に思われないよね? ああ、どうかグローブの数が足りませんように!







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