”僕と1年契約で付き合ってもらえませんか?“ とある日、私は見知らぬ男性に言われる。
”僕と1年契約で付き合ってもらえませんか?“
とある日、私は見知らぬ男性に言われる。
今思っても、凄く不思議な事だったと思う。
ある日突然私は、”見知らぬ男性にこう言われた。“
正直、普通の女性なら迷うことなく断るのだろうが......。
この男性は私にその後こう言ったわ。
『”これは契約なので、1年間僕と付き合ってくれる間に支払われる
お金は1億円です。“』
『えぇ!? いっ、一億円ですか?』
『少ないですか? それなら更に幾らか出しますよ。』
『そ、そんなに出してくれるんですか?』
『はい。』
『”でも? 何故、私なんですか?“』
『アナタはもう憶えてないと思いますが、一度僕をアナタが助けて
くれた事があったんです。』
『わ、私が貴方を?』
『はい。』
『スミマセン、全く憶えてなくて.....。』
『アナタにとっては大したことじゃなかったからだと思います、
でも僕にとっては凄く当時は助かったったんですよ。』
『もし良ければ? その時の事を詳しく私に教えてくれませんか?』
『スミマセン、もうこの話は聞かないでください、それより僕との
1年契約を引き受けてくれますか?』
『”あぁ、もう一日ちゃんと考えさせてくれますか?“』
『勿論です! じゃあ、明日また会いましょう。その時に返事を聞かせ
てくれればいいですよ。』
『あぁ、分りました。』
『じゃあ、また明日!』
『・・・また、明日。』
・・・私は次の日、男性に会うと”1年契約で貴方と付き合います“と
言うと? 男性は少しホッとした顔をしていた。
その時の私はあまり男性のその行動や態度を気にしなかった。
でも実際に男性と付き合うと、、、?
”無理難題な事を言ってくる訳でもなく、月に一回会えればいいぐらいで、
この男性が私と会う為だけに借りたマンションで男性の為に料理を
作るところを動画で取って何処かに送っていた。“
ただそれだけで、男性とはそれ以上の関係は全くなかった。
体の関係もなく、ただ私と楽しそうに会話をしている動画を月に一回
会って回して何処かに送っているだけ。
多分、動画を送っている相手は? ”男性の母親だと思う。“
たまに年配の女性と男性が携帯で話している姿を目にする事があったからだ。
男性の年齢を直接私が聞いた事はなかったのだが、見た目で言うと、、、?
”40代後半ぐらいなのかなと思う。“
お金持ちで母親から女性の影もないと言われていたのかもしれない。
早くお嫁さんを作って孫の顔を見せてほしいとか言われていたのかな?
だから男性は母親の事を想ってこうしているのかもしれない。
私にお金を払ってまで母親に心配をかけたくないのだろう。
『”その動画、何処に送ってるの?“』
『えぇ!?』
『別に言いたくないなら、言わなくてもいいけど。』
『”あぁ、母親“』
『だと思った。』
『分かってて聞いたの?』
『勘だよ、ただの勘。』
『・・・そ、そっか、』
『早く結婚しろとか親に言われてるのかなって。』
『”この事は君に言わないつもりだったんだけど、僕の母親の命が1年しか
なくてね、だからせめて僕はもう大丈夫だよって伝えたかったんだ。“』
『”それが嘘でも?“』
『・・・そうだね、嘘だとしても。』
『お母さんに心配をかけたくなかったんだ。』
『うん。』
『”じゃあ、1年契約の1臆円は要らないわ。“』
『えぇ!?』
『親孝行でしてる事でお金なんか受け取れないから。』
『・・・で、でも?』
『いいのよ、それよりしっかり親孝行して!』
『・・・ううん、ありがとう。』
『うん。』
私は1年間、彼が借りたマンションに月一回を、週1で会いに
行くようになった。
特別、ふたりで居る時に何かする訳ではないのだけど、、、?
ただ私が彼の為に料理を作ったり、部屋の掃除をしたり洗濯をしたり、
たまにリビングでふたりでまったりしたり。
それを動画に撮って彼が母親に送るだけ。
別に部屋に泊まる事もなく、私は動画が撮り終えると自分の住む
マンション帰るし、彼も実際に住んでいる家に帰るの。
・・・そして契約の1年が終わると?
彼とはそれっきり会っていな。
二人で会っていたあの部屋は、今は空き部屋になっている。
”今彼は何をしてるのだろう?“
お金は結局貰わないつもりだったが、彼が私に黙って最後の日に
私のカバンに100万円を入れた封筒をこっそり忍ばせていた。
たまに私はまた彼に会ってみたくなる時がある。
この気持ちが、”恋なのか愛なのか執着なのかそれは私には分からない。“
それでも私は彼にまた会いたいと想うのだ。
彼にもう一度だけまた会いたいと、、、。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




