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or sith オアシス

荒涼とした冬の砂漠をバイクが土煙を上げながら走る。


私は風の塔で得た機械モンスターの残骸を売ってバイクをニキータから買い戻し、ドワーフの鉱山へ向かった。


しかし、


アーニャ「もう、いいんですか?」 


私「……うん。」


私はドワーフの鉱山についた。微かな記憶を頼りにガンスミスの魔女の店を訪れた。


忘れていた記憶を再構築できるんだと思った。旅の仲間の記憶、大切な宝物の記憶、その人に会えるんだと。


もう一度、共に歩めるのだと。


アーニャ「見えてきました。あれがオアシス。レジスタンスさんの本拠地です。」


私『……』


思い起こされるのは仕立て屋の魔女の最後の言葉。


「私から彼を奪わないで。」




数日前


私「ここがライナーの店?」


アーニャ「そのようです。」


私「まさか、あれで生きてたなんてね?」


まぁ、私もよく生き延びたものだとは思う。


魔王の手先にダンジョンの出口で襲撃され、味方は吹き飛ばされ、私も右腕を吹き飛ばされた。


私『確か、強制帰郷の魔法でライナーは吹き飛ばされてたはず。』


辺津鏡の真の力を得て何とか切り抜けることができた。

自分の最も大切なものと引き換えに……


カランカラン


レジにはライナーが座っていた。

ショートカットの赤髪と魔女特有の目の周りのクマ、そしてまな板のような私好みの胸。


ライナー「あ!へカテリーナ!生きてたのか!肩のは電子妖精?」


私「まぁね。」


アーニャ「アーニャです。」


ライナー「そっかー!アニヤも無事か!ホルドのやつも喜ぶぞ!」


アーニャ『アニヤ?』


私『こっちの話。』


ホルド?それが私が忘れてる人の名前か?


あ、そうだ。私はライナーの顔を見て思い出した。ヘルメーカーの新しい薬莢カートリッジ


ゴトッ


ヘルメーカーをレジに置く。ライナーもそれを見て察する。


ライナー「マナカか!ちょっと待ってろ!」


一般人のわからない専門用語を言い出すのは魔女の悪いところだ。ライナーはレジ奥のバックヤードに姿を消した。


アーニャ『マナカ?』


私『大気中のマナを集めて魔力弾に変えるやつ。今の自己の魔力オドオンリーのより使いやすいって聞いてるわ。多分、マナカだからマナを使うカートリッジってことなんじゃない?』


アーニャ『サンガツ。』


……まだ冬になったばかりだけど?


ライナーは青いキャップのカートリッジを10発持ってきた。


私「あ、5発でいいの。」


ライナー「は?なんで?」


私「もう一丁はハーフエルフの子にあげたの。物騒な世の中だからね?」


ライナー「ふーん。まぁ、いいか。」


ライナーは慣れた手つきで入っていたカートリッジを取り出し、新しいカートリッジと交換、再装填している。


私「ところで、そのホルドは?」


ライナー「あー、最近ここに来た仕立て屋の魔女のところ。後で地図見せてやるよ。」


アーニャ「あ、私の出番ですね。」


アーニャの脳内地図作成マッピング、多分、アニヤという人も使えてたはず。

ライナーはアーニャをアニヤさんと勘違いしている。


私『猫の姿でも、そういうものなんだって勝手に解釈してるのね。』


自分もうろ覚えだけど、アニヤさんは普通に人の姿だったはず。


ライナー「よーし!試し撃ちは外でやってくれよ!」


私はライナーからカートリッジを新しくしたヘルメーカーを受け取った。サンガツ。




アーニャ「そこを右折です。」


電子妖精のナビゲーションで新しく来た街 (のハズ)でも迷わず目的地に着ける。

私はライナーの店から街を挟んで反対の位置にある仕立て屋の魔女の店にすぐに着いた。


私「そんなに大きい街じゃなかったし、まだここには魔王軍は配備されてないみたいだからよかった。」


アーニャ「仕立て屋の魔女、クチーテァ。どんな人ですか?」


私「いま着てるスーツにミスリルアーマーを取り付けてくれた魔女ヒト、私のより大きいの。見てびっくりするわよ。」




カランカラン


クチーテァ「あら、いら、」


店に展示してあったマネキンの服を手で直している、こげ茶の長い髪を後ろでポニーテールにした魔女。


彼女がこちらに気がついて手を止める。そして、息も停める。私はその意味がまだ分からなかった。


ボヨヨン


私『相変わらず!』


アーニャ『SUGOI、 DEKAI!』


しかし、私の顔を見て喜ぶのかと思ったが彼女は顔を曇らせて伏し目がちだ。


私「久しぶり!クチーテァ、どうしたの?」


クチーテァ「リナ。今日は、買い物に来たの?」


私「ううん?ホルドさんに会いに来たの。また、魔王討伐に行かないか?って。猫化の呪いも解けたって聞いてるわよ?」


クチーテァ「じゃぁ、私が彼と結婚したのは?」


私「あ、それは初耳!おめでとう!」


喜んでいる私にクチーテァはようやく笑顔になった、そこへホルドも奥から顔を出す。


クチーテァ「あ!アナタ。」


その手にはツルハシを持っている。これから鉱山に潜るつもりなのだろうか?


ホルド「お客さん?いらっしゃい。」


ん?


私とは違いアチラは記憶があるはずでは?


彼は私を見ても軽く会釈をするだけで、横を素通りして店の外へと出ていった。


私「?」


アーニャ「リナ、どうしましょう?」


私が黙っているとクチーテァがぽつりぽつりと話しだした。


クチーテァ「……私は幽世で身を隠していた。彼が生きていることを知ってこの街に来た。」


私「…………彼は記憶は?」


クチーテァ「最初は持ってた。でも、私が書き換えた。」


衝撃。ホルドは私を忘れてる?!


私「じゃあ、冒険は?魔王討伐は?猫だったことは?」


クチーテァ「みんな忘れさせた。それが条件だった。」


クチーテァがここでホルドと会った時、魔王の手先がやってきて、彼女らとやり合ったらしい。初期装備のホルドはすぐに負けたとか。


私「エクレアとか言う魔女?」


頷くクチーテァ。


クチーテァ「私達は敗れた。そして、命乞いをした。」


悲痛な彼女の顔は、その時の死の恐怖に青ざめている。


彼女は普通の女性なのだ。

魔女とは魔法を使えるだけの人間。私みたいな武闘派のほうが珍しいのだ。


クチーテァ「その条件が過去を忘れること。魔王にかかわらないこと。貴女アナタにかかわらないことだった。」


私は目を閉じた。

軽い気持ちで、彼を魔王討伐の勧誘に来た。

それが、死と隣り合わせの危険な旅と知りながら、失念してたかもしれない。


アーニャ『妻帯者です。』


失うもの、その恐怖は私でもわかる。私は右腕上腕の縫合部分をギュッと押さえた。


クチーテァ「リナ、お願い、私から彼を奪わないで。」


私「分かった。私はもう行くわ。二度とここにも来ないから安心して?」


クチーテァ「ありがとう。さよなら。」


その言葉を背中に受けて私は店を出た。




ドワーフ老人会 公民館


ドワーフの老人A「伝説の武器?」


ドワーフの老人B「なんじゃそれは?」


私は街のドワーフがたむろしているという公民館で伝説の武器のありかについて聞きに来た。


ホルドの思い。それだけでも持っていく。


それが、過去の彼の願いだったはずだから。


私「杭って聞いたけど?(たぶん)」


ドワーフの老人B「あ!赤の杭かの?」


ドワーフたちが顔を合わしてあーでもない、こーでもないと話している。

ホルドと同じような顔がたくさん。その髭面のせいで詳しい年齢は全く不明。


老人と呼ばれてるから、そうなのだろうとしかつかめない。彼らは青年期から老人期まであまり顔に変化がないのだ。


アーニャ『ありますよ。耳毛すごいじゃないですか?』


あ、そこなんだ。


ドワーフの老人C「赤の杭なら砂漠にあるぞ?」


ドワーフの老人A「確か、曾祖父ひいじいさん達が人でも使えるように削り出しとったな?」


ん?

よく聞くと、大昔に巨大な赤い杭が地面に深々と刺さっていたのを発見した。

古代人は杭を研究し、それが触れたものを凍らせる能力を持っている事を突き止めた。

その杭を兵器転用しようと削り出した物を伝説の武器というらしい。


私「それは砂漠のどの辺?」『すぐ見つかるわよね?』


私は広大な砂漠で一人、穴を掘る自分を想像した。


ドワーフの老人A「オアシスの奴らが保管しとるはずだ。」


ドワーフの老人B「あれか!レジスタンスの旗のモチーフ!」


私「そんなのあるの?」


ドワーフの老人B「あー、でも詳しくは忘れたのぉ。」


ガクッ


ドワーフの老人A「“知ったか”か!」


ドワーフの老人C「不明瞭な情報で話すな!余計ボケるぞ!」


ドワーフの老人B「なんじゃと!?貴様らだってそうではないか!」


なんか喧嘩が始まった。


アーニャ『旗ですか。』


私『ちょうどいいわ、彼らの協力がなければ魔王討伐なんて無理だもの、会いに行きましょう。その時に旗も見れるわ。』




オアシス


オアシスの町の入口にそれはあった。

冷たい風に吹かれて黄色地の旗がパタパタはためいている。


アーニャ「黄色地の真ん中に赤い線が3本?」


私「伝説の武器とやらは3フリあるのかもね?」


暗くなり始めた町には明かりがともり始めていた。


私はバイクを辺津鏡にしまうと、夕食は外食でと賑わうオアシスの町に入った。


続く。






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