砂漠の黒い列車
次の日
アンジェラ(ツヤツヤ)「……ひどいです。」
私 (ツヤツヤ)「いいじゃない。」
私達は寝室を出て兵士達の集う食堂へ向かっていた。
そこへ、通路のT字路で無限バンダナをしたコメットと合流する。
コメット「あ、おはようございます。なんか元気そうですね?」
私 (ツヤツヤ)「まぁね。」
コメット「アンジェラはよく眠れなかった?ヤッパリ、ちょっとベッドが狭かった?」
アンジェラ(ツヤツヤ)「ま、まぁね?」
コメット「リナさんの個室、用意してもらえるように頼んどきます。」
アンジェラ(ツヤツヤ)「そうして!」
私 (ツヤツヤ)「えー!お構いなく!」
……ふられた……
アーニャ『少々(?)、強引でしたね?』
私『優しくしたんだけどなぁ。』
食堂
コメット「え?野党ですか?」
私「そうそう。金作してこようと思って。」(モグモグ)
アンジェラ「一人で行くんですか?」
大きなBTLサンドイッチを頬張る。冬のこの季節にトマトとレタスが手に入るなんて、さすが交易都市。
パチパチ
王宮内の広い食堂には薪ストーブが何台か運び込まれており、中は温かい。私達、魔法使い組は一番暖かい部屋の真ん中あたりに陣取った。
後からやってきた民兵達がうらやましそうにこちらを見つつ、部屋の端に着席していた。
私『端のほうは少し、寒いのかな?』
アーニャ『ですかねぇ?』
若い魔法使いの二人はロールパンをコンソメスープにつけながら食べている。朝は軽く済ますようだ。
コメット「そうだなぁ、首都に続く南の山脈ルートにいますけど、魔王軍ができてから魔物を取り込んで準軍事組織化してて危ないですよ?」
私「ちょうどいいわ、ジャイアントハンターやグランドスピアの試し打ちしてくる!」
コメット「ジャイアントハンター?響からトンデモ武器の匂いがプンプンしますけど……」
エルフの隠れ里の伝説の武器だし、知られてないわよねぇ。
一般人が知らない専門用語をポンと口に出すあたり、私も魔女の血が入ってるということかな?
アンジェラ「護衛に民兵を何人かつけますか?」
私「えー?要らないわよ。イケメンならいいけど。』
コメット『心の声が漏れてる……』
私はサンドイッチを天然水で流し込むと、さっそく、王宮を出た。
門番や魔法使い達が見てる所で辺津鏡からバイクを取り出して一同を驚かせる。
私「?なによ?」
コメット「いえ、戦略魔法なんて初めてみました!」
アンジェラ「魔女の魔法ですよ!?リナさんは魔女じゃないのに!」
あー、魔女特有のクマがないからな、私は。
アヌのうんちくは話すと長くなりそうだ、めんどいからまた今度にしよう。
私はバイクにまたがる。山脈のルートとやらを目指すのだ。しかし、
ヒュウ〜〜〜
私「さ、寒い。なんかない?」
アンジェラ「その神代の服あったかくないんですか?見た目黒いからあったかいのかと思ってました。」
うん、特に足が寒い!
コメット「防寒護符がありますけど?」
私「そうそう!そういうの!」
ペタペタ
お札を腰とお腹と太ももに張る。じんわり温かくなる。そして、それは透明になった。
コメット「効果時間は半日ってとこです。」
アンジェラ「防寒具とってきましょうか?」
今から?要らない。
私「多分、夜までには帰ってくるから大丈夫よ。」
仕立て屋さんに裏起毛にしてもらわないと。帰ったら相談しに行こう。
私「それじゃ、行ってきまーす。」
コメット『ハイキングかな?』「お気をつけてー。」
ドルルルルルルル…………
山脈ルート
砂漠を南下して、草木の生えてない荒涼とした赤土の山脈に入る。
ルート上には大きな岩が点在し遮蔽になっている。ここからはバイクは降りて徒歩か?
私『高原の一本道で遮蔽は多い。確かに、野党はでそうね?』
アーニャ「周囲に人型の生体反応なし。」
私「道を見渡せる位置に移動しましょう。」
私は岩場の陰に入ると、
グォン
辺津鏡で体を道を見下ろせる高台に移した。
私『物見がどっかから見てるでしょうし、ココに誰かがバイクで一人できたのは把握してるでしょ。』
アーニャ『先手を取れると良いのですが。』
しばらく、道に沿って進むと、下のルートの岩場に人が隠れているのを見つける。
私『お、第一村人!』
気づかれないように接敵する。ソイツが腰にぶら下げている短刀は辺津鏡でもらっておく。
アーニャ『接敵!』
道の方に物を投げ、わざと音を立てる。
カッカッ!コロコロコロ……!
野党「!」
野党の男がソチラに気を取られてる間にその後頭部にヘルメーカーの銃口を突きつける。
私『動くな。』(ヒソヒソ)
(ゴリッ)
野党「うぅっ!」『しまった、いつの間に!』
野党はそ~っと腰の短刀を探すが、もう、そんなものはない。
野党「え?!ない?!」(パッパッ)
往生際の悪いやつだ。野党の目線の先にさっき奪った短刀を辺津鏡から取り出す。
ぼとっ!
それを見た野党はようやく、私がどんな人間が理解した。
野党『神様、仏様ぁ!た、助けてください!』
恐怖に震え、絞り出すような声で野党は両手を挙げて懇願している。
私『本拠地は何処だ?』
(プルプル)
指で山脈の高いところを指さしている。
私『脳振動』
アーニャ『了解。』
ドッ
野党「お"!」
頭蓋骨の中で起きた衝撃波が脳を揺らす。
黄色いサラサラした鼻水を垂らしながら野党はブルっと身震いして倒れた。
アーニャ「認知機能はどのくらい保たれてるでしょう?」
猫の言葉に、
さぁ?
と答える。
私「ま、生きてりゃいいことあるわよ。」
グォン
もとの高い位置に転移する。
私「急ぎましょう。交代が来る。」
アーニャ「集音!数キロ先に話し声多数。」
アーニャ『視認。軽装備。野党です。』
向かう先に洞窟を発見する。私は物陰に隠れて双眼鏡で配置を確認した。
私『ほーん。なんか、フードを目深にかぶった小人がいるわね。』
アーニャ『体格からしてゴブリンでしょうか?木箱も多数。』
準軍事組織化、なるほど。
王都から物資の支援を受けているようだ。
コソコソ
私はもう少し接近し、全員を把握できる位置についた。
奴らはまだこちらに気づいていない。
呑気に昨日のレ○プした女性のレビューを言い合っている。よし、生かす価値なし。
アーニャ『どう攻めます?』
私『火で釣る。』「辺津鏡。」
アーニャ『静音!』
「わ!」
スポ!
足元に突然できた穴に数名の野党が落ちる。
(ゴリッ)
生き物が損壊した音が頭の中でする。南無三。
で、その声に頭を上げたバカの眉間に素早くエイムする。
ヘルメーカー プシュ!
「アベシ!」
ボコァ!
残った奴は突然のことに声を出せず、棒立ちしている。
野党「あっあっあ……!」
私「何アレ?」
アーニャ「新入りでしょうか?」
ちょうどいい。
私「グランドスピア!」
ヴン!
「あ!」
アストレイア「オラァ!」
アストレイアの左手に装着されたパイルバンカーが野党の顎を下から捉える!
ドッコォーン!
ボグッシャァァ!
高速で赤い杭が打ち出され、野党の頭蓋を木っ端微塵に吹き飛ばした。しかも、予想以上に大きな音がなった。
アーニャ「オーバーキル気味ですね。」
私「まぁ、いいか。隠れるわよ。」
外の騒ぎに数名の野党が洞窟から威勢のいい掛け声とともに臨戦態勢で出てくる。チンピラ上がりの雑魚め。
「オラァ〜!」
「カチコミか〜!?」
「何処の組のもんじゃ〜!」
私は腰のナイフを天にかざしてユラユラと左右に振った。
アーニャ「風刃!」
ビュオオオォォォ!
「うわ!」
「ぎゃぁ!」
ズバババ、バッサリ!
炎をまとった風の刃が野党達を切り刻む。バラバラの四肢が宙を舞う!
木箱 メラメラ
「か、火事だー!」
物資箱にも燃え広がり洞窟前の広場はさながら、炎の海とかす。
私「さぁ、出てこい。」
アーニャ「風刃!」
威力を絞った風の刃が継続的に洞窟内に入っていく。中は熱風と煙で息もできない灼熱の薫製場だろう。
アーニャ「人肉の薫製かぁ。」
私「まずそう。」『オークなら喜んで食べそうではある。』
洞窟内に残っていた野党がたまらず、むせながら、外に飛び出してくる。
私「光の矢!」
ドヒュヒュヒュヒュ……!
野党達の頭上に並の鎧など貫徹する光の矢が降り注ぐ。
ドスドスドス!
「ぐわ!」
「ア"ェッ!」
そして洞窟の煙を見たであろう野党の残党か、はたまた補給隊の連中がゾロゾロと駆け上がって来た。
私「お!大きな的!」
その中にはオークも混じっている。魔王軍の支援を受けて何をしようというのか?ヌルゲーすぎて少し、思考に緩みを感じる。
私「あ、ジャイアントハンター。」
ヴン!
アストレイアが身の丈ほどある弓を持ち現れる。そこに巨大な光の矢をつがえて。
私「撃て!」
ドッ!
ぼっ!
野党の一団が消えるようにパッと大地とともに弾ける。
アーニャ「これも、オーバーキルでは?」
私「人に使うのは控えよっか?」
チャッ!
ヘルメーカーを構え、残った野党の頭を吹き飛ばす。
ドゥン!
「あ"!」
パァァァン!
胸に魔弾を受けた野党が胸から弾ける。
自分の身に何が起こったのかわからず、その顔は驚愕を浮かべて宙を舞っている。
「バケモンだ!」
「無理だ!敵わねぇ!」
「と、トンズラぁ~!」
野党数人が戦意を喪失して逃走を図る。
私「逃がすか!」
腰だめでヘルメーカーを構えて乱射しようとしたが、逃げる野党達の向こうに見える巨大な土煙に指が止まった。
暗くなってきた東の空に土煙をもうもうと上げてやってくるその姿は、闇を連れてくる巨大な魔獣に見えた。
私「何アレ?」
アーニャ「黒い鉄の棒みたいに見えますが??」
それはゆっくりながら、オアシスへと向かっている。
アーニャ「早く知らせに行ったほうがよくないですか?」
私「賛成。」
燃え盛る野党の洞窟を後にして私はすぐにバイクに飛び乗った。
続く。




