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The Another of Cellular Structure

蛇口

作者: なー
掲載日:2025/09/07

 旧校舎の理科準備室には、誰も近寄らない蛇口がある。

 夜にひねると濁った水が垂れるが、触れてはいけない──そう語り継がれてきた。

 触れた者は、一瞬で消えるからだ。


 僕らは半信半疑だった。

 放課後の肝試しで、その蛇口に挑んだ友人がいた。

「ただの噂だって」

 そう笑って、彼は水を手のひらで受け止めた。


 次の瞬間、彼の姿は消えた。

 声もなく、音もなく。

 残されたのは靴と、金属のボタンだけ。


 僕らは恐怖に押しつぶされ、誰もその場に長く留まれなかった。

 蛇口はコンクリートで封じられ、七不思議として語られるだけになった。



 数年後、新任の教師がその蛇口を調べていたという。

 古いノートには、乱れた文字が残されていた。


 ──水が瞬時に有機物を分解している。

 ──温度も圧力も常識を超えている。

 ──この現象を説明できる言葉がある。


 ページの端に小さく、震える字で記されていた。


 「……超臨界水」

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