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翡翠の焔が世界を焦がす  作者: 借屍還魂
旅立ち

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19/35

19.期待

 それから四人は、各自、屋台立ち上げに向けて、日々奔走していた。


 京は材料の仕入れルートを確保し、輝夜と共に商業ギルドへ何度も訪れ、販売許可と屋台の貸し出しを確保した。


 輝夜はレシピの改良。材料の組み合わせを変えてみたり、団子の大きさを変えてみたり。手早く完成させるための段取りを考えたりと、一日の大半をキッチンで過ごした。


 御門と鏡花は市場調査として、他の屋台料理を買って帰ったり、屋台の差別化をするための装飾品を考えたり、勇者達についての情報収集もした。


 情報収集の結果。約一ヶ月後に勇者達が旅立つことがわかった。民を安心させるためだろう。華々しいパレードで出立するらしい。


 それまでは、王城で訓練を受けているようだ。魔王を倒せるのは、スキルを持つ異世界人だけ。ある程度育つまでは大切に守っているのだろう。


 鏡花達が追われている情報はなかったが、念のため、四人で外を歩くことは避けながらの生活していた。


 そんな行動制限も掛けられる中、勇者達の出立、三週間前の朝。


「遂に、今日から屋台営業を始めます!!」


 朝一番の京の宣言に、鏡花、輝夜、御門は背筋を伸ばした。やっと、本格的な資金調達が始まるのだ。恐らく、しっかりとした資金調達ができるのは今だけだ。旅に出れば、資金は減る一方だろう。


 最終的に勇者たちよりも早く、魔王を倒すため。なるべく多くの資金を集めなくてはいけない。


 だが、王都に長居はできない。勇者たちが出立すれば、忙しかった王城も少しは落ち着く。そうすれば、鏡花達が抜け出したことが判明するのも時間の問題だ。


「営業期間は、勇者達の出立パレードの日まで」


 パレード当日の朝には、王都から脱出しないと捕まるだろう。警備が強化されると門を通れなくなる。


「今日は初日だから、人手が必要。リスクはあるけど、四人で屋台を回そう」


 黛くんも眞金さんも、協力してほしい。今日にそう頼まれた二人は頷くものの、表情はあまり明るくなかった。


「ハーブの香りは強力だが、初日でそこまでの人数が集まるか?」

「初日だからこそ、人が集まる可能性は高いと思うけど……」


 四人全員で働く程の売り上げになるだろうか。輝夜の腕前は認めているものの、馴染みのない料理で、シェフと言う日本での肩書も使えない。


 せめて、回復師である御門は、組合経由の仕事に行ってもらった方が、確実に資金を稼げるのではないか。


鏡花は、そう提案しようとしたが、京は視線で察したのだろう。にこ、と微笑みながら、輝夜にハンドサインを出した。


「ちゃんと考えはあるよ。今日、二人に手伝ってもらいたいのは、試食の配膳」


 京が言うと同時に、輝夜は大きめのトレーをテーブルに置いた。中に敷き詰められているのは、小さめサイズの団子が一個だけ刺さった火豆串。これが、試食用なのだろう。


「一口食べて貰えば、好きになってもらう自信はあるからね」


 パチン、と華麗なウインクと共に言う輝夜。堂々としたその姿に、鏡花は思わず拍手したくなった。


「勿論、焼くのはオレがやるから、鏡花ちゃんと御門くんはドンドン配っていって」

「わかった」


 素直に頷く鏡花とは違い、御門は首を傾げた。


「焼くだけなら眞金に頼めばよくないか?」


 忙しいのなら、輝夜は商品の方に専念して、鏡花が焼けばいいと言いたいのだろう。借りる予定の屋台には、魔法式のコンロが二口ついている。狭くないなら、二人掛かりで焼いた方が効率的、なのだが。


「この団子、火加減がすっごく難しいんだよね」


 そもそもの火加減が調節できなかったり、刻み野菜と豆ペースト、ハーブの部分で焼き目の付き方が違ったりと、結構問題が多いらしい。


「香りを上手く立たせるのも難しいから、オレがやるよ」


 フライパン二つくらい管理できなきゃ、シェフなんてできないしね。笑う輝夜に御門も納得し、分担は決まった。


「そういえば、屋台は何処に出すんだ?」


 ある程度、人の集まる場所でなければ利益は見込めないが、四人の立場上、目立ちすぎるわけにもいかない。競合が多すぎても厳しいだろうが、食事をする人が来なければ意味が無い。


「それに関しては、僕も知識が無いから、アイクの知恵を借りることにしたんだ」


 王都に慣れてきたとはいえ、鏡花達は異世界人。京は、自分達に適切な立地選びは難しいと判断し、早めにアイベルクに相談していたらしい。


 適材適所。流石、やり手の経営者である。


「で、許可とかも取ってもらえたみたいで。商業組合の裏口近くに屋台を出せることになった」


 商業組合の裏口は、大通りから一本入ったところにある。人通りは多いが、貴族や騎士と言った城の関係者は通ることが殆どなく、裕福な平民向けの店が多い場所だ。


 当然、休憩中の組合職員や、依頼の前後に組合を利用した者たちが食事をすることも多いエリアだ。鏡花や御門も、その付近の屋台から商品を買って帰ったことがある。


「期待して貰ってるみたいだし、頑張ろうね」


 想像以上の立地の良さに、鏡花と御門は絶句した。

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