悪役令嬢は深く考えていなかった。それをヒロインに諭される。
前作の「ヒロインは乙女ゲームを始める気がない」を先に読むことをお勧めします。
こちらは悪役令嬢視点の話になります。
わたくしはティンダル王国のグランディー侯爵家の令嬢として生を受けた。
お兄様が家督を継ぐため、わたくしは婿をとって侯爵家を切り盛りする必要もなく、両親や兄から甘やかされて育ったわ。ああ、もちろん、貴族としての淑女教育はしっかりと学んでいてよ。
そんなわたくしに、王家から王太子殿下の婚約者候補としての打診があったのは、七歳のとき。
もちろん嬉しかったわ。王太子殿下の婚約者になれるなんて、貴族令嬢のあこがれの的よ。しかも、王太子殿下はとても美しくて格好いいの。王太子という肩書がなくたって、あの方の隣に立ちたい令嬢は沢山いるでしょうね。だから、より勉強をして候補ではなく正式な婚約者になれるように頑張ったの。
そして、ようやく九歳のときに、正式に婚約者になったわ。正直、わたくしより優秀な令嬢が居なかったわけではないの。でも、その令嬢たちは家格が低くて、王太子殿下の後ろ盾には向かない方たちだったわ。
でもね、わたくし、知っているの。王太子殿下はわたくしのことを想っていないってこと。
なぜ、わたくしで駄目なのかしら? ほかのどの令嬢よりも、わたくしのほうが相応しいのに。
それに、グランディー侯爵家は、殿下の後ろ盾として十分だと思うわ。もちろん、わたくしだって殿下を支えるつもりよ。
なのに、殿下は心を許してくださらないの。
どうしてなの、レイモンド様――
淑女教育に王太子妃教育が増え、机に向かって奮闘している時間が増えて、それに慣れてきた頃だった。
王宮で受ける王太子妃教育のために、前日予習をしていたせいか寝不足だった。それと急に暑くなったのが重なり、わたくしはくらりとめまいを起こした。危ない、と思う間もなく、階段から落ちて――体の痛みを感じながら、意識が遠のいていった。
***
不思議な夢を見たわ。
思いきり見上げなければ最上階が見えないほど高い建造物たち。そして、その建物には高価なガラスがふんだんに使用されている。足元を見れば、土でも石畳でもない、平らな一枚の石で覆われていた。そして、さらに不思議なことに、馬がない車輪がついた箱型が馬車よりも早く走っている。
これは何処――?
……本当は、問うまでもなく知っている。
わたくしの前世だわ。ここよりももっと発展した世界で、しかも平和で娯楽に満ちた日本で生まれ育ったわたくし。大病することもなくすくすく育ち、ある企業の営業として、仕事をしていた記憶も甦ってくる。
その中で、奇妙な記憶にたどり着いた。
モニター越しに繰り広げられる世界――乙女ゲームと称されるもののうちの一つ――『ティンダル王国~人をつなぐ聖女の物語~』。
聖女として生まれた下級貴族の庶子が、男爵家に引き取られ、貴族子女が通う学院に入って、王太子殿下をはじめ高位貴族と恋愛をする選択型のゲーム。
ちょっと待って、これで行くとわたくし――シェリー・グランディー侯爵令嬢は、王太子殿下のルートで悪役令嬢と呼ばれる存在ってこと? 物語にスパイスを付けるべく、殿下とヒロインの間を邪魔して、最後には聖女を傷つけた罪として修道院に入れられてしまうわ!
***
夢の出来事に焦って、慌てて飛び起きると体のあちこちがいたかった。
頭や腕、足に包帯が巻かれているのがわかり、治療されて眠っていたのだと分かった。
それにしても痛いわ。この世界、魔法がほとんどないのよね。ない、とは言わないけれど、魔法はほんの一握りの選ばれた者しか使えない奇跡の御業と言われている。そして、それを上回るのが『聖女』の『癒し』。魔法使いが一握りなら、聖女は国に一人いればいいくらい希少だ。
それがヒロイン――わたくしの幸せを邪魔にする存在……。
だっ、駄目よ。排除しようとしたら、それこそゲームの悪役令嬢そのものだわ。
でも、わたくしが十歳に満たないうちから王太子妃教育を頑張っているのに、ひょっこり出てきて横から殿下を攫っていくのはおかしくないかしら?
平民育ちの男爵家の庶子のシンデレラストーリーなんて、夢のようだけど、貴族と平民という身分がきちんと分かれているこの世界では、当てはまらないわ。ゲームのような事をすれば、不敬罪で処罰対象でしょうね。それが分からないヒロインだったらどうしようかしら。
それに、家柄も、レディーとしても誰よりもわたくしのほうが相応しいのに、殿下がわたくしに惹かれないのはゲームの強制力のせいだったら……
「様、……お嬢様!」
横から侍女が声をかけていたらしく、変な考え方を中断させた。
「……あ……サリー……?」
「良かった。シェリーお嬢様!」
「わたくし……」
「いきなり目が覚めたと思ったら、まだ傷が癒えていないのに起き上がってしまって……その後は、声をかけても全く反応がなくて……」
「ご、ごめんなさい」
そういえば急に起き上がったんだったわ。思い出したら、急に傷が痛みだしたし、ずっと眠っていたせいかくらりと眩暈がした。
「シェリーお嬢様に傷を残さないよう、隣国の聖女に来ていただくように掛け合っております。それまで王城にて静養なさるようにと、陛下からのお言葉ですわ」
「……そう、とても破格な扱いね」
隣国の聖女のもとまで行くならともかく、来ていただくなど……でも、陛下はそれだけわたくしのことを買ってくれているのだわ。そうでなければ、聖女が居ないこの国では傷痕が残っても仕方ないもの。ふふっ、やっぱりわたくしは有能と思われているのね。
ああ、そうだわ。前世の仕事のせいかしら? 頑張った分、成績に反映されていた営業職に就いていたせいか、今のわたくしは王太子妃教育を頑張っても、殿下が認めてくださらないから、苛ついていたのだわ。
なら、殿下の気に入るような性格で振舞えばいいわね。気付けば、過去のわたくしはちょっと気が強くて、他の令嬢より目立とうとしてしまっていたわ。ゲームでの聖女も、素朴で控えめな性格だった――そんな性格のほうが、殿下は好まれるのかもしれない。攻略方法が分かると、殿下との停滞していた関係が良好になりそうで、自然に笑みがこぼれた。
「まあ、シェリーお嬢様、なにかいい事でもございましたか?」
「いえ、……ただ、わたくしのために他国の聖女を呼んでくださるなんて、嬉しいわ――と」
「左様でございますね」
「ええ」
「二日も眠っていらっしゃったのですから、空腹でございましょう? 何か胃に優しいものを用意いたしますわ」
「ええ、お願いね」
侍女のサリーには適当に返しつつ、今までのわたくしを振り返る。
多少、我が儘なところはあれど、それは高位の貴族令嬢からくるもの。特にひどい性格ではなかったわ。となると、怪我をしたことによって、性格が控えめになった――そう、これから来る聖女のおかげで、心を入れ替えたことにしましょう。
いえ、庇護欲をそそるような感じがいいのなら、怪我をした今のほうがいいかしら。怖かったと、震えて殿下に縋り付いて泣く――王太子妃教育による寝不足という事もあって、殿下に罪悪感を植え付けることも出来るかもしれない。
今のわたくしは、前世の記憶を思い出したけれど、この世界で生きたわたくしがベースになっている。そこに前世の知識が加わった――という感じかしら。ふぅ、前世の記憶に乗っ取られなくて良かったわ。といっても、性格はあまり変わらないけれど。昔のほうが社会人だったため、今より控えめだったくらいかしら。
***
わたくしの作戦は功を奏したのか、殿下はわたくしに優しくしてくれるようになったわ。
まだ恋心とまではいかないまでも、わたくしを婚約者として認め、そのように扱ってくれるようになった。
まあ、わたくしも前世の二十数年生きた記憶があるから、殿下のことを年下のように思ってしまうこともあるし、十二歳の殿下に政略で決まった婚約者に恋情を抱けというのも酷かもしれない。
だから、少しずつ歩み寄っていけばいい、と思っているの。
以前より我が儘を言わず、穏やかな性格に見えるよう心掛け、そして、殿下に並ぶようにするのではなく、寄り添うように少し下がって接する。
そうしたら、殿下は少しずつわたくしを見てくれて、心を開いてくれてきている。前は殿下の足を引っ張らないようにと頑張りすぎたのがいけなかったのね。
そうして、殿下よりも控えめに、殿下の好むものを身に着けるようにしていたら、一年くらい経った頃には、殿下はわたくしのことを好きになってくれていた。
周りからの評価も、前の鼻持ちならない令嬢から、殿下をそっと支える健気な令嬢に代わり、好意的に受け止められるようになっていた。
自分の性格とは違うけれど、少し自分を抑えることで、成果が上げられるのならなんてことないわ。殿下からも婚約者だと認められ、周囲からも良くできた令嬢だと誉めそやされるのは、前世でノルマを達成した時のように嬉しかったもの。
そうこうして、学院に入る十五歳のときには、政略で選ばれたとは思えないほど仲が良い二人の構図が出来上がった。
「あと数日で学院が始まるね」
「そうですわね。殿下は入学式で代表として挨拶のお言葉を述べるのでしょう?」
「そうだよ。しっかりしないとね」
「まあ、殿下なら大丈夫ですわ」
「いや、私がしっかりしていられるのは、シェリーのおかげだよ」
学院が始まる前、王宮で二人きりのお茶会。
レイモンド殿下はすっかりわたくしのことを信じてくれて、関係は良好だった。レイモンド殿下のわたくしを見つめる目に熱が帯びているのが分かる。
これなら、ヒロインといえど殿下を落とすのは大変でしょうね。ゲームでも殿下の難易度は攻略対象者の中でも一番難しい人物だったのに加え、婚約者との関係は冷え切ったものではなく、レイモンド殿下からの恋心がある。
やっぱりアプローチの仕方が間違っていたのだと、自分の考えが正しかったのだと実感できて嬉しかった。成果が出るというのは本当に嬉しいわ。
もちろんゲームの強制力とかも懸念しているわ。だから、わたくしは殿下のことをそれほど同じ熱量で思ってはいない。わたくしが殿下に入れあげてしまうと、ヒロインに嫉妬して間違いを起こしてしまう心配もあるもの。そういったことのないよう、リスク管理もしているわ。
準備も万端――という形で、学院に入学、ゲームがスタートした。
ヒロインはすぐに分かったわ。デフォルトネームであるリア・メイナード男爵令嬢は、黒いストレートの髪をサイドに髪飾りで留めていて、空色の大きな瞳を輝かせていた。顔立ちは綺麗というより可愛いという感じね。
彼女を観察していると、攻略対象達と出会いイベントを起こしていた。
子爵家だけど、裕福な商家でもあるニコラス。
この世界では珍しい魔法をを使うダレン。
侯爵令息で、宰相の息子でもあるシルヴェスター。
近衛騎士団長の息子であるエリック。
そして、今日はレイモンド王太子殿下。
殿下との出会いは、わたくしが潰してしまったけれどね。
「シェリー、今日はいつもの君じゃなかったね」
「え? どういうことかしら?」
「聖女であるメイナード男爵令嬢に対してだよ」
「っそれは……」
嫌だわ。ちょっと露骨すぎたかしら?
殿下を攻略させるわけにはいかない――と、つい強い口調で、そう前世を思い出す前の昔のわたくしのような感じだった。
「ごめんなさい。ちょっと学院に入ってナーバスになっているのかもしれないわ。今までもたくさんの人に囲まれていたけれど、大人の人たちが多かったのに対して、今は同い年の方たちばかりだから……どういう対応をしていいのか迷ってしまうの」
「そうか、そうだね。でも、これから三年はここでみんなと学んでいくのだから、早めになれないとね」
「ええ、気を付けるわ」
「特に、メイナード男爵令嬢は聖女でもあるから、対応を間違えると教会に対して失礼な振る舞いをしたことになってしまう。だから、彼女に対しては注意して接してくれ」
教会――という言葉を出されると、殿下に対して強く反発できない。
この世界では教会が崇める神が唯一の宗教である。一神教ではないけれど、主神をはじめ複数の男神、女神を崇めている。この教会に喧嘩を売るということは、世界に居場所がなくなるものだと言っても過言ではないの。
昔、ネット小説で見たゲーム知識を持つ転生者で、逆ハー狙いのヒロインだったらどうしようかしら。そんなヒロインでも、聖女であるなら許されてしまうのかしら。
まったく、ヒロインが聖女設定というのは、厄介ね。
「ですが、彼女も貴族の一員ですわ。殿下と男爵家の庶子では、傍に近づくことに反対です。教会で聖女としてお務めを果たしているのであれば、別ですけれど」
「そうだけどね、聖女である事に変わりはない。ただの男爵令嬢じゃないよ」
「確かにそうですが」
殿下にヒロインを『聖女』ではなくあくまで『男爵令嬢』でしかないという印象を付けようとするけれど、殿下は頷いてくれなかった。
となると、ヒロインに直接話をした方がいいかしら? ゲームを知る転生者であるのなら、逆ハーエンドなどという現実ではあり得ない夢を見ないよう、忠告した方が親切というものでしょう。
***
「あなた、前世の記憶があるわね」
「えっ……、その……」
「それで、誰が狙いなのかしら?」
ヒロインとの初の会話は、剣呑な空気を含んだものになってしまった。
けれど、九歳のときに殿下の婚約者になってから、ずっと王太子妃教育の勉強漬けで、なおかつ社交さえもこなさなければならなかったわたくしにすれば、ぽっと出のヒロインは許容できないの。
「まさか、逆ハーなんて狙っているのかしら? 攻略対象達と出会いイベントは全員こなしていたものね」
「出会い……イベント?」
とはいえ、目の前の少女は困惑した表情を浮かべて、わたくしを見返すだけ。
もしかして違った? いえ、そんなことないわ。ゲームの知識がなければ、彼らとの出会いイベントをすべてこなすなんて可笑しいもの。
「――仰っている意味が分かりませんわ。グランディー様」
しばらくしてから、メイナード男爵令嬢――ヒロインがとぼけた答えを返した。
「仰っている意味が分かりません――ねぇ。その割に、昨日はエリック・オルセン侯爵子息と出会いイベントをこなしていて、今日はレイモンド王太子殿下とだったわね。ああ、殿下との出会いイベントはわたくしが潰してしまったかしら。ごめんなさいね?」
つい苛ついて、ヒロインを挑発するかの物言いになってしまう。
普通の男爵令嬢なら、侯爵令嬢から――王太子殿下の婚約者から声をかけられたら緊張してまともに話すことも出来ないのに、ヒロインは戸惑っているものの物怖じせずに会話をしてくる。
「ところで、私にその気はないけれど、あなたは何が言いたいんですか? グランディー様」
「一番最初に言ったでしょう? あなたは転生者で、ゲームの知識があるのでしょう?」
「……はっきり言いますが、確かに私は前世の記憶があります。けど、ゲームとはなんですか?」
ほら、やっぱり転生者じゃない。
でも、ゲームの知識はない? なのに、攻略対象者と出会いイベントこなしているの?
嘘言わないで!
「本当にないの? とてもそうは見えないけれど」
「ありません。私、ここが乙女ゲームの世界だったっての、今知ったばかりですし」
「今知った? どちらにしても無駄よ。殿下はわたくしに夢中なんだから」
「いや、別に狙ってないですから」
「……え?」
「前世、友達から勧められたけど、しっかりやってないので。私としてはゲームとは関係なしに、あの家から早く出たいので、自立のために勉強して手に職を付けたいですね」
まさか、本当に?
わたくしは、学院に入る前に、ヒロインがどんな人物ならどう行動するか、いろいろとシミュレーションしてみたわ。なのに、目の前のヒロインは、わたくしの想像の域になかった。
「大体、高位貴族に嫁に行こうなんて、泥船に乗るようなものじゃないですか。生まれ変わって人生を謳歌したいのに、死にたくないですよ」
「泥船?」
どういうこと? 高位貴族との結婚が、泥船に乗る?
わたくしが子供の頃から頑張ってきたことを否定されたような気がして、感情のコントロールが出来ない。その後もヒロインといろいろと会話をしたけれど、頭に残ってはいなかった。
***
グランディー侯爵家のタウンハウスに戻ると、いつも通りメイド達が出向かえてくれる。荷物を預け、夕食の前に体の汚れを落とすべくバスルームで入浴をすると、数人のメイドがわたくしの髪の毛からつま先まで、丁寧に磨いてくれる。
その後は、気軽なワンピースに着替えて部屋に戻ると、他のメイドが紅茶とお菓子を用意してくれている。「ありがとう」と伝えると、メイドは会釈をしてから下がった。
紅茶を口に含み嚥下して喉を潤す。それから、クッキーを一つ摘まんだ。さすが侯爵家に勤める料理長が作っただけあるわね。学院の食堂は、下位貴族や平民も利用するため、侯爵家よりも味が落ちるのよね。
紅茶とクッキーで一息ついてから、ヒロインの言った『泥船』について考え始めた。
この世界はある乙女ゲームの世界、『ティンダル王国~人をつなぐ聖女の物語~』と同じ。物語は平民での聖女が、学院で高位貴族と恋愛をして、王族・貴族たちと平民をつなぐ役目を担う。
王族・貴族と平民をつなぐ……? どういう意味?
この国は王政で、その下に貴族がいて国を動かしている。残りは平民になる。その間をつなぐ――どうつなぐと言うの?
つながなくたって、平民は各領地で働いて税金を納め、国のためになる。王族・貴族は彼らを束ね、国として成り立つように働いている。
でも、それだけで、副題の『~人をつなぐ聖女の物語~』というのは変だわ。
よく考えましょう。身近なところで学院で見た光景を思い出す。貴族のおバカな令息や令嬢が、優秀で特待生とした入った平民を虐めているというのを、取り巻きの令嬢から聞いたことがあったわ。
わたくしはそんな馬鹿なことをしている暇があったら、自分自身を高めることに時間を使ったほうがよっぽど遊戯でしょうに――と、思いながら聞いていた。
これは貴族としての考え方で、平民として考えたら……。
前世、世界史で王政の終わりはどうだった?
……いえ、これは飛躍しすぎだわ。
頭を振ってその考えを頭から追い出そうとする。
けれど――
ヒロインが転生者で、その可能性を考えていたら――?
震えが止まらなかった。
もし、そうだとしたら……そうだとしたら、わたくしはヒロインに対して何をしてしまったのかしら……
ヒロインが王族・貴族の側につかなかったら、平民たちから反乱が起こる可能性があるかもしれないなんて……
いえ、それは世界史をもとにした一つの考え方。
乙女ゲームの世界に、そんな深い解釈はないはずよ。
まだ、反乱の声なんて聞いたことないもの。そうよ、考えすぎだわ。
そう思うのに、体の震えが止まらなかった。
わたくしは、どうすればいいの――?
ヒロインも詰んでるけど、悪役令嬢も詰んでね?という感じです。
また、シリーズ化したので、他の視点も書けたら書いてみたいです。