表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/483

【第73話:選ばれし者たち】

 巡礼騎士団の宿舎は、聖都の西翼に位置する。

 外壁には神紋が刻まれ、昼夜を問わず祈りの音が絶えない場所。だが、そこは戦場に立つために鍛えられた者たちの砦でもあった。


 広間に集められた数名の騎士たち。いずれも一国の指揮を任されるほどの実力者であり、精鋭の中の精鋭だった。


「――で、目標は異形の“クロナ”か」


 そう呟いたのは、赤銅色の髪を乱雑に束ねた女騎士。名をカリナ=ファルステッド。

 雷撃の魔術を自在に操る“雷迅の剣姫”として知られる人物である。


「力だけを見れば、下手な竜種より厄介だ。しかも、塔の封印に干渉し、記録外の存在と接触した。もはや黙認はできん」


 淡々と応じたのは、黒衣の神官騎士――バルデン=ラザイル。

 その表情は微動だにせず、祈るように胸の前で両手を組んでいた。


「で、総指揮は……」


 カリナの視線が前方へ向かう。そこに立つのは、一人の若き騎士――レイヴン。


「……俺が務める」


 静かだが、よく通る声だった。


 年若くして指揮を担うことへの反発はある。だが、レイヴンの周囲には妙な“納得”が流れていた。それは彼が持つ特異な素質――


「“神秘適応者”の血筋か。確かに、記録外の存在に接触するなら、君ほど適任はいない」


 バルデンの言葉にレイヴンは頷いた。


「クロナ。彼はただの脅威ではない。塔を揺るがすほどの力と、“言葉”を持っている。……ならば俺は、その“言葉”を聞く価値があると信じたい」


 広間に一瞬、沈黙が落ちた。


 だが、やがてカリナが笑った。


「……ま、いいさ。どうせぶつかるなら、“中身”を確かめてからでも遅くはない。私は私のやり方で確かめるだけさ」


 巡礼騎士団、出撃。

 目指すは北東の森、塔の周辺区域――“異形の拠点”。


 一方そのころ。森の奥深く。

 クロナたちの集落では、集会が開かれていた。


 地面に引かれた円陣の中、クロナを囲むようにしてイエガン、ゼイド、ルーニら主要な面々が揃う。


「塔の力の余波……それを感じ取った者たちが、外の世界からやってくる。恐らく、次は人間の中でも選ばれた者たちだ」


 イエガンが地図の上に指を落とす。森の境界線――南側の古道に目印をつけた。


「ここ数日、森の気配が変わった。風に“祈り”の香りが混じっている。……聖都のやつらだ。神殿騎士団か、それに類する部隊が近づいてる」


「巡礼騎士団だろうな」


 ゼイドが静かに言った。


「世界の均衡を保つ“記録”の番人。……そんな連中がわざわざ動くってことは、クロナ、お前の存在がそれだけ大きくなったってことだ」


 クロナは黙って頷いた。


 その目は、まっすぐ森の南――まだ見ぬ“選ばれし者たち”が来るであろう方角を見据えていた。


「戦うつもりはない。だが、また“否定”されるなら、俺は……」


 ふと、クロナの背後に風が舞った。

 風と共に、ミナの声がよぎる気がした。


(――迷うな、クロ)


 クロナはゆっくりと立ち上がる。


「……行こう。迎え撃つんじゃない。俺たちの“あり方”を、世界に示しに行くんだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ