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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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【第4話:本能が叫ぶ】

「おい、新入り。今日は狩りだ」


早朝。まだ空が白んでいないうちに、洞窟の奥でガンジの声が響いた。

圭は、重たい体を起こす。

昨夜はほとんど眠れなかった。焚き火の煙と、周囲のいびきと、何より……“生”の重圧に圧し潰されそうで。


「働かない奴に喰わせる肉はない。理解できるか?」


「……はい」


短く返し、他のゴブリンたちと共に森へ向かう。

まだ朝露が残る草を踏みしめ、深い森の奥へと分け入っていく。



「今日の獲物はノスラ。でかいネズミみたいなもんだが、歯も爪も毒もある。油断するな」


ガンジの説明を聞きながらも、圭の耳には入ってこなかった。

手には簡素な棍棒。呼吸が浅くなる。

胃が重く、足が震える。


(……俺、できるのか……?)


「クロ、お前は右から回って追い出せ」


そう言われて、反射的に「はい」と答えたものの、体が動かない。


(怖い。近づきたくない)


草むらの先に見えるノスラの影。

鋭い爪。血の匂い。ギラつく目。


圭はその場に立ち尽くしていた。

仲間の誰も、助けてくれない。

誰も振り返らない。


そして——


ノスラの一体が、音もなくこちらに向かってきていた。


「……っ!」


気づいた時には、遅かった。

ノスラが草をかき分けて飛びかかってくる。

圭は棍棒を構えることもできず、地面に倒れた。


「ぐあっ……!」


肩に鋭い痛み。牙が皮膚を裂き、血が噴き出す。

視界がぼやける。呼吸ができない。

ノスラの重みが圧し掛かり、意識が遠のいていく。


——死ぬ。


(ああ……俺、ここで死ぬのか)


こんな世界に転生して、こんな場所で。

夢も、希望も、やり直しもなく。


だが、その時だった。

心の奥で、何かが強く叫んだ。


(嫌だ)


嫌だ。まだ死にたくない。

惨めでも、弱くても、生きたい。


その想いが、全身を駆け巡った。

震える手が、倒れた棍棒をつかむ。


「うああああああっ!」


叫びと共に、棍棒を振り上げる。

ノスラの頭に直撃。

鈍い音が響き、獣が跳ね飛んだ。


圭は、息を切らせながら地面に手をつく。

痛みと血にまみれながらも、今度は自分から一歩踏み出していた。


ノスラがもう一度飛びかかろうとした瞬間——


「そこまでだ」


ガンジの棍棒が、横からノスラの胴体を叩き潰した。


ゴブリンたちが駆け寄り、残った獣たちを仕留めていく。


「……やっと“本能”に従ったようだな、クロ」


圭は肩で息をしながら、地面に座り込んだ。

額から汗が流れ、傷口はズキズキと痛む。

だが、その痛みすらも、生きている証のように思えた。


(俺は、生きたい)


その思いが、初めて明確に、言葉になった。


ここは、喰うか喰われるかの世界。

けれど、それでもいい。


何があっても、俺は——生き残ってやる。



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