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【第40話:群れのかたち】

静かな朝だった。

太陽が木々の隙間から差し込むと、光がまだ新しい拠点の中心に作られた集会所を照らす。


そこに、クロナが姿を現すと、ゴブリンたちが自然と集まりはじめる。


「クロナ様、今日はどうされますか?」


近衛隊長のトゥガが尋ねると、クロナは広場に設けられた石の壇の上に立ち、仲間たちを見渡す。


「……群れを、再編する」


その言葉にざわつく空気。


「ここには、元の森の群れの者だけじゃない。逃げてきた連中、捨てられた者、孤独に生きてきた奴らもいる。だがもう、バラバラじゃいられない」


クロナの声が、静かに、しかし確かに皆の耳に届いていく。


「俺たちは今、“選ばれた力”を持った群れとして生きている。だからこそ、秩序が必要だ。狩り、建設、防衛、偵察。それぞれの役割を持って、協力しなきゃならない」


「……それって、まるで人間の町みたいだな」


誰かがそうつぶやくと、クロナは少しだけ笑った。


「そうかもな。でも、俺たちは“俺たちなり”にやる。俺たちにしかできない形で」


静まり返った集会所で、次の瞬間、一人の若いゴブリンが手を上げた。


「クロナ様! 自分は“防衛”に志願します! 機敏さには自信があるっす!」


「俺は畑仕事なら任せてほしい!」


「俺は武器を作る技術、少しだけどある!」


次々と上がる声。それは、かつて“生きるだけで精一杯”だった彼らの中に、少しずつ“生き方”が芽生えはじめている証だった。


クロナは皆を見渡し、深くうなずく。


「……いい顔になってきたな」


そんな時――一人の偵察係のゴブリンが慌てて走ってきた。


「クロナ様! 西の外れに、小さな獣人の子供が倒れてます! 身なりからして、旅人のようですが……」


「……!」


クロナの顔が引き締まる。


「すぐ案内しろ」


群れの再編を決めたばかりの彼らに、再び予期せぬ波が押し寄せようとしていた。

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