表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

197/280

【第196話:黒い観測者と、胎の懸け橋】

川底の奥へ続く黒い通路は、空気さえも押し返すような重さを持っていた。


歩くたび、足音が吸い込まれて消える。

生きている“腹の中”に踏み込んでいるような感覚だった。


クロナは黒核の脈を感じながら進む。


「……ここは、影そのものじゃない。何かを組むための場所だ」


ティナが息を潜め、慎重に言葉を重ねる。


「これほどまでに形を持たない空間……通常の影世界の構造ではありません」


イエガンは静かに頷いた。


「クロナ様。先行して偵察を行うべきなのでしょうか」


クロナは軽く首を振った。


「いや。これは……罠だ。俺たちの動きを記録して、学ぶための」


その瞬間、通路の先で“揺れ”が走った。


黒い海のような影が、壁から滲み出るように形を作り始める。

歪む輪郭。ぼやけた人型。

だがその動きは──妙なほど流れるように滑らかだった。


一体。二体。三体。

クロナ達の前へ、静かに揃って立った。


ティナが目を細める。


「動きの癖が……私たちの戦い方に似ています」


「観て、覚えて、形にしてるんだろうな」


クロナは深く息を吸い、黒翼を広げた。


敵はまだ幼体の延長。

本体へ繋ぐ“観測者”。

ここで時間をかければかけるほど、本体は学習し、強くなる。


ならば──


速攻で潰す。


クロナは黒翼を一閃。

黒い衝撃が影の人型へまとめて叩き込まれ、影肉は一気に霧散した。


「……今の段階ならまだ間に合う。急いで奥へ行くぞ」


ティナが頷き、小走りで追う。


「本体は、この先の“胎”で繋がるのですね」


「そうだ。向こうから流れてる力が分かる。

 多分……これが本物への橋だ」


通路の奥。

微かに赤く光る、鼓動のような音が混じる空間があった。


胎動。


生まれかけの闇。


本体はここで“準備”している。

この先こそが、喰うべき敵の核だ。


クロナは黒翼を畳み、拳を握った。


「行くぞ。ここを突破する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ